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たそがれ清兵衛〜ロケ地を訪ねて

「たそがれ清兵衛」は2002年に封切られた山田洋次監督の初時代劇。

なぜ今頃2002年の映画かというと、このロケ地の一つとなった秋田県角館の武家屋敷通りを、先日旅行で訪ねたからである。
旅行の様子はこちら↓

そこで、乗った人力車の俥夫の方から、まず最初に案内されたのが、この映画の主役の清兵衛が住む下級武士の家。幕末から、ほぼ姿を変えずに残されているこの建物を見た山田洋次監督が、ぜひこの建物で映画に取り入れたいと作った映画が、「たそがれ清兵衛」。

これが映画の舞台となった
旧松本家


上級武士のような黒塀は無い


封切り当時、日本アカデミーショーをはじめ各賞を総ナメにしたので、当時も観たが、
実に20年ぶりにこの映画を観てみた。
便利な時代で、ネットでポチッと観ることができる。
ネット環境で観られない方は、DVDも出ている↓↓↓。


映画は、幕末の庄内地方が舞台。海坂藩の御蔵役を務める井口清兵衛(真田広之)が主人公。冒頭真っ暗な家の中で、みんな悲しんでいる。
本当に真っ暗で、よく見ないと人の顔もわからない。この暗さも、山田洋次監督が、終始リアリズムに拘った結果らしい。この暗い中で、清兵衛の妻が労咳で亡くなる。

清兵衛は下級武士で石高は50石そこから20石はお上に取られ残り30石で闘病生活に苦しんでいた妻の医者代薬代と、認知症の母、2人の幼児を養っていくには借金するしかなかった。
借金返済のため内職をしても、なかなか追いつかない。

そんなわけで、御蔵役の仕事も定時で終わると同僚の誘いも断って、家へ帰る。
口の悪い同僚は、清兵衛のことを「たそがれ清兵衛」と呼んで馬鹿にしていた。

そんなウダツの上がらない男が、実は剣を持たせればものすごく強い。というのがこの物語の爽快なところであるが、また悲しいところでもある。
後半の見どころは、映画初出演という田中泯演じる剣豪余吾善右衛門との壮絶なる決闘。
決闘に至るまでの2人の会話も、また凄い。

また、恋愛について不器用なところも、山田映画らしく描かれている。
幼馴染の朋江(宮沢りえ)との仲も、もうホントに何をやっているんだと言いたくなるが、最後はまあ、幸せだったんだろう。たぶん。

ラストシーンで、壮齢になった清兵衛の娘・以登(岸惠子)が「たそがれ清兵衛は不運な男だったとおっしゃるのをよく聞きましたが、私はそんな風には思いません。(中略)私たち娘を愛し、美しい朋江さんに愛され、充足した思いで短い人生を過ごしたに違いありません。そんな父のことを私は誇りに思っております」と語っているのを聞くと、最後に何か救われるというか、ほっとして心が温まる。

そんなところも、山田映画らしいなと感じさせる。

今回、2回も観てしまった。


今日もお付き合いいただき、ありがとうございます。

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