事業承継大作戦
私の会社は、もう何年かしたら50周年を迎える業歴のある会社。
母方の家族で創業し、以来私で4代目となる。
私の父が3代目。
しかし筆頭株主は私の母となるが、母は仕事では関わってはいない状況でした。
この事も要因であり、確実な対応しないといけない状況となっていた。
事業承継の為の特別税制は使えない状況ではあったが、後からすればそれが良かったのかも知れない。
私の会社の業績は、幸いにもそこそこ好調。
その事により株価は高騰していた。
上場会社ではないため、株価の評価には独特のルールがある。
下げる方法もいくつかはあるはずで、人為的な対策をしなければならなかった。
ちなみに、私が対策始める時の1株は約25万くらい、これが全部で4000株ある為、絶望感しかなかった。
私の父は、何か対策をし始めていたかは、私には分からなかった。
この対策をしているとも引き継がれてはなかった。
また、経理を担当していた役員も半ば他人事となっていたからか、漠然としか話はしてこないし、事業承継については考えてこられなかったのであろう。
会計事務所についても、私には何の対策いるかなど伝えてもこなかった。
みかねて保険代理店と私の姉と妹とで見切り発車的に対策スタート。
株の買取資金が私には到底足りない為、法人個人名義変更保険に加入した。
慌てて会計事務所が提案をはじめてきた。
と言っても損金対策で保険を売りにきたと言うくらいでしかなかった。
他はざっくり一般論の話だけだった。
とりあえず会計事務所がコンサルと言う形でようやく関わっていただいたが、まともに指導して来るわけではなかった。
株価の見込み値と対応方法しか伝えてこない。
この時の示された内容だと終わりが見えない様にしか感じなかった。
終わりが見えない事業承継対応に、私は別解があるのでは?と感じ自分で調べてみました。
流石に株価が具体的にどうなるか、とかの数字は分からないけれども、答えを見つけようとした。
その結果、一つのアイデアが浮かんできた。
参考にしたのは、不動産投資会社に関する記事と持株会社による株価対策の記事。
この2つを組み合わせて行けば、株価対策としては現状よりパンチが効いたものにはなる様な直感が働いた。
会計事務所へ逆提案。
持株会社を設立し、不動産投資をするのはアリですか?と切り出してみた。
本来ならこの様なアイデアは出して欲しいと思いながらの提案。
この時には、株式移転による親会社設立のパターンは思いつかず、単純に個人出資した持株会社を設立後に不動産投資と株式買取を考えていたものの、会計事務所からは弊社が取引ない銀行紹介の上で株式移転による親会社設立と不動産投資のパターンを教えていただく事になった。
私はあらかじめ会計事務所へ取引銀行にもいろんなパターンを打診して欲しいと依頼はしていたが、そちらについてはされないままに上述の提案を受けてしまったため、対応には不信感は残ってしまった。
結局は取引がない銀行は断ってしまう事にはなった。
取引銀行に対しこのパターンを伝え、対応できるか確認を取り、やってみましょうとなった。
あとはどこに投資するのか、って課題が残った。
私の意図は、すぐに不動産収益が上げれる物件で、それなりの投資金額とする事で、3年後には評価方法の変更で株価は下がるって読みでした。
不動産会社からの紹介で結局マンションを購入する事にした他、コインパーキングとして運用していた不動産を事業会社から持株会社に移した。
このタイミングで、私の計画に反対した取締役もいたのは事実で、
融資により不動産投資するのは責任が取れないって話となり、
但し対案を考えているかと言えばそうではなかった。
結果的にこの取締役には退いていただく事になった。
無事に取引銀行にも物件内容も確認いただき、融資についても稟議が通ったと連絡も来た。
但し、会計事務所については、弊社に取引ない銀行を絡めたい様ではあったが、そこは弊社の取引銀行は自行のみでするから大丈夫!と断りを入れていたのであった。
私のしていた株価の想定は、
事業会社自体の株価は大して変化がない又は微増する可能性はあるが、
持株会社の株価は、三年経てば不動産投資効果で下がっていく、
こう思ってました。
最初は純粋な投資が手っ取り早い、自社物件購入だと査定が大変な認識があり、まずは純粋な不動産投資へ。
この時の融資額は12億円。
マンション一棟とコインパーキング1件。
私の意図を取引銀行が感じたのか、
次に自社利用物件の異動の提案をいただいた。
但しこのタイミングで隣地の売却話もあり合わせての融資をする事にした。
但し、一部は自社への未払いとして毎月自社へ返済にする事にした。
この時の融資額は約5億円。
ここまでは全て同じ取引銀行からの融資にしている。
本業自体は評価は高く、帝国データバンクでの評点は高く、
加えて今までの信頼関係が出来ているのもある。
そして事業承継と共に対策しないといけない母方の親族の法人の事。
こちらは弊社からしたら兄弟会社とでも言うか、創業者が同じである。
こちらは事業承継をせずに会社清算の方向となっていた。
その時に課題として使わなくなる不動産の使い途をどうするか、
法人として保有であれば、資産管理会社として活かせたかも知れないが、
親族の方の保有であるため、その対応も考えなければいけなかった。
私は利用価値があると見て買取を申し出た。
但し同族間取引に該当のため、不動産鑑定も入れての対応。
こちらについても事前に取引銀行に相談していた事もあり、多少の無理をお願いする事になりながらも、融資対応いただける事になった。
この時の融資額は3物件で3.5億円。
これも同じ取引銀行からの融資。
少し不動産投資と融資の話になってしまったが、
株価の話に戻せば、効果はテキメンでした。
事業会社は順調ながら、持株会社による不動産投資から3年経過により、25万だった株価は8000台になり、更に0円まで下がる事が分かってきた。
それ故に株式集約しやすい環境となった。
少し強引に株価引き下げを狙っての行動を会社として行いました。
これが出来なければ10桁もする株式の対応は絶望的だっただろう。
この記事を読んだ方はどの様な対策を考えるがは私には分かりませんが、私は私なりに対策を考えたつもりである。
私のとった対策だけが全てではないし、他の対策で成功する事だってあり得る話ではある。
私は経営権を確保しながら、事業会社の決算には深い痛みを作らずに、
新規事業として不動産投資、不動産保有などを作り、同時に株価引き下げを実現できた。
もしあの時に退いていただいた取締役が今の状況を知ったら驚かれると思う。
株価は下がった、保有資産は増える、この記事では触れていないが施工会社を買収し、本業周辺の工事もできる様になった。
#この経験に学べ