日本で買える洋雑誌とアジアの雑誌
都内の書店に勤務して約2年。雑誌担当として、国内の雑誌から欧米やアジアの雑誌、個人が作るインディペンデントマガジン、リトルプレスマガジン、ZINEなどを見続けてきた。
雑誌担当として、働くなかで、海外の雑誌について日本人は知らなすぎるんじゃないのか。一昔前のクリエイターより海外の情報やクリエイションに触れる機会が減ってしまい、内にこもってしまっているのではないのかと思うようになった。
もちろん、SNSやインターネットなどで、有名無名問わず多くのブランドのコレクションのランウェイをライブで見れたり、世界に繋がることが容易になっているのは確かだ。しかし、それがしっかりと編集されたり、キュレーション、ディレクションされているものがすべてではないし、その海外の表現の根底にあるのは意外と雑誌だったりもしていると感じている。
もっと多くの海外の雑誌に触れて、雑誌の面白さ、雑誌から触れる世界のクリエイションを知ってほしいという、いち書店の、いち雑誌担当の勝手な思いから海外の雑誌をまとめようと思う。
※蔦屋書店や青山ブックセンターなどで購入できる雑誌を紹介しています。
i-D
イギリス・ロンドンを代表するファッション・カルチャー誌『i-D magazine』。当時、『VOGUE UK』で最年少アートディレクターを務めていたテリー・ジョーンズが1980年に創刊。ロンドンパンク時代のストリートカルチャーにフォーカスを当てた新しいスタイルを提案し、世界中から注目を集めた。創刊から40年経った現在も「originate. don't imitate」の理念のもと、一流クリエイターとともに世の中の価値観を変えるコンテンツを世界へ発信している。
また、特徴となっているのが、モデルがウィンクした(片目を瞑った、隠した)表紙。i-Dというロゴを横にしたときをモチーフにしてるとか。
日本版 i-D『i-D Japan』は、1991年と2016年の2回、創刊された。
1991年の『i-D Japan』は、テリー・ジョーンズ自身がアートディレクターを務め、創刊号は小泉今日子が表紙を飾った。また、90年代の日本のカルチャーや空気感を表すようにオウム真理教を取り上げた号もある。
一方、2016年の『i-D Japan』は、創刊号の表紙を水原希子が飾り、日本のユースカルチャーやファッション、社会問題など、本国やWeb版同様多彩なコンテンツで日本のi-Dを作り上げていたが、2019年の4月発売号をもって休刊した。
i-Dは、古くから続く雑誌ではあるが、いまだに世界中に影響を与える雑誌であり、時代の空気をうまく掴んだコンテンツ作り、ファッションフォトが載っているので、ぜひ見かけたら読んで欲しい。
Purple Fashion Magazine
フランスのファッション・カルチャー誌『Purple』。エレン・フライスとオリヴィエ・ザームによって1992年創刊された。それまでのファッション誌とは一線を画した誌面作りやスタイリングなどによって、1990年代以降のクリエイティブシーンに多大な影響を与えた雑誌のひとつとして知られる。
『Purple Fashion』ほか、編集方針の違いで、オリヴィエと袂を分かちエレンが創刊した『Purple Journal』が出版された。
特徴としては、ホンマタカシ、鈴木親、佐内正史、五木田智央など、日本人のフォトグラファーやクリエイター、モデルなどが起用されており、当時から日本国内で認知度の高い雑誌であった。エレンは日本のクリエイターから、日本のクリエイターはエレンから影響を互いに与えあっていた。
現在の『Purple Fashion』もオリヴィエが編集長を務め、卓越した審美眼によりキュレーションされた写真やファッション、テキストなどで、いまなお、Purpleは世界中のクリエイターにインスピレーションを与え続けている。
A Magazine Curated By
“ゲストキュレーター”として様々なファッションデザイナーを招き、一冊丸ごとキュレーションするベルギー発のファッション誌『A Magazine curated by』。No.A,B,C・・・と5号続いた『Number Magazine』を前身とし、2004年に創刊された。
創刊号のゲストキュレーターは、Maison Martin Margiela、2号目には山本耀司、その他にもUNDERCOVERの高橋盾、GucciのAlessandro Micheleなど、世界のファッションを牽引するデザイナーの思考やアイデア、幼少期、関係する人々など内面に深く迫った誌面づくりをしている。
ファッションやカルチャーにフォーカスを当てた雑誌は数多くあるが、ここまで一人のデザイナーを毎号深堀りしてく雑誌は他にない。自分自身も毎号楽しみしている。
また、人気デザイナーの号は、古書市場でも手に入りにくく、プレ値がついていることからも、A Magazineの評価の高さを伺い知れる。
BUFFALO ZINE
スペイン出身、現在ロンドンを拠点とするデイヴィッド・ウズクイザとエイドリアン・ゴンザレス・コーエンが2011年に創刊した新感覚カルチャーマガジン。
無名の新人からスーパースターまで幅広いアーティストを取り上げつつ、アート、ファッション、音楽、サブカルチャー、ライフスタイルを全方位からカバーする他に類を見ないユニークな雑誌。
毎号変わるフォーマットやブックデザインが特徴で、攻めた実験的なデザインがとても魅力的。特に2019年に出たIssue09は、「Copy(right)」をテーマに有名雑誌をパロディした表紙で、雑誌好きにはたまらないものだった。
System
NuméroやNuméroHommeの編集長を務めたJonathan Wingfield、Alexia Niedzielski、Elizabeth von Guttman、Thomas Lenthalの4名によって創刊されたファッション誌 『System』。ファッション界のキーパーソンにインタビューをし、クリエイティブの根底にあるものへ迫り、インディペンデントなスタイルで世界中のファッションを映し出てきた。
ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズ というファッション界において最も重要なデザイナー2人の対談を掲載するなど、数十年後に見返しても貴重かつ後世へ残したい記事作りをしている。
最新号では藤原ヒロシが表紙を飾り、Issue14では、山本耀司が特集されるなど日本人にも馴染みのある人物が登場する雑誌で、日本ではなかなか語られないインタビューなども載っている。
Interview
1969年、アンディー・ウォーホールによって創刊されたインタビュー誌『Interview』
世界各国のセレブリティ、俳優、モデル、アーティストなど、様々な分野の人を取り上げ、タイトルの通り、インタビューを掲載する雑誌。
ウォーホールが編集に携わっていた時期には、インタビューを無編集で掲載するなどの風変わりな編集方針だった。また、現在まで受け継がれている大きな判型など、その当時では考えられないくらい先鋭的な誌面構成をしていた。
2018年に休刊となったが、現在も刊行され、ティモシー・シャラメやセリーナ・ゴメスなど、世界的スターのインタビューを掲載している。
HYPEBEAST Magazine
香港発信の世界でも有数の閲覧数を誇るオンラインファションカルチャーメディア『HYPEBEAST』の雑誌版。2012年に雑誌が創刊され、THE BATHING APEやSupreme、KAWS、藤原ヒロシ、VERDYなどが表紙を飾り、世界のストリートカルチャーを牽引し、多大な影響を与えてきた雑誌。
香港発ということもあり、日本に関する人やモノ、ブランドが頻繁に登場していて、日本人にとっても馴染み深い雑誌と言える。また、逆輸入的にHYPEBEASTから知ることも多く、外視点からの日本という国を見つめ直すきっかけにもなる。
号によってはスリーブケースなどこだわったデザインかつ、一部店舗でしか入手できないものなので、コレクターズアイテムとしての側面もある。当たり前になったストリートカルチャー発のファッション、カルチャーをグローバル視点から知れる雑誌。
Kinfolk Magazine
2011年、アメリカ オレゴン州ポートランドで創刊されたライフスタイル誌。編集長のネイサン・ウィリアムが、25歳のときに友人たち数名とはじめた雑誌で、世界で爆発的に広まったライフスタイル系ブーム、ポートランドムーブメントの火付け役とも言える。
日本の俗に言う"暮らし系”や"丁寧な暮らし"ムーブメントも元を辿れば、必ずKinfolkに行き着くと言っても過言ではない。現在では、日本、中国、韓国で出版されている。
"丁寧な暮らし"の消費によって、日本国内では若干下火ではあるが、現在でも根強い人気のあるライフスタイル誌。
Sindroms Magazine
世界的なライフスタイルマガジンブームを牽引してきた『Kinfolk』の一時代を築いたメンバーを中心に発行しているデンマーク発のマガジン『Sindroms』。号ごとに、Red、Yellow、Whiteといった特定の色をテーマに据えたコンテンツをキュレーションし、編集しているのが特徴。
毎号一つの色を通じ、日々更新され消費されていく最新アイテムなどの"情報"ではなく、社会や文化が持っている、より本質的な"価値"の部分を探求している。
作家や詩人、イラストレーター、デザイナーなど多岐にわたる分野のクリエイターが色をテーマに表現し、編集された雑誌は読み終えたあとに少しだけ、世界が豊かになるような感覚を得れる。
色という老若男女、人種、国籍問わず、識別できる、言語を超えたものでの表現は、言葉がわからなくても、読解できなくても見ているだけ楽しく、不思議な体験ができる。
CEREAL
"TRAVEL & STYLE"をコンセプトに掲げるイギリス発のライフスタイル誌『CEREAL』。デザイン、アート、スタイルに関するストーリーとインタビューを交えながら様々な都市を取り上げている。
どこへ滞在し、何をするという旅行誌やガイド誌のありきたりの提案ではなく、デザイナー、建築家、アーティスト、シェフとのインタビューや会話、オリジナルのエッセイ、短編小説、詩などを各都市の特徴などとともに1冊にまとめている。
ヴィジュアルが特徴的で、写真集のようにレイアウトされ、トンマナも統一され、何を読者に伝えるべきかしっかりと芯を持ち編集されている。
また、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ロサンゼルス、コペンハーゲンなどの都市の食、お店、観光地などをまとめた『Cereal City Guides』シリーズも出版されており、CEREAL世界観を体験できるガイド本となっている。
apartamento
2008年に創刊されたスペインのライフスタイル・インテリアマガジン『apartamento』。世界中のアーティストの自宅などを訪問し、インタビューとともにリアルな部屋やインテリア、衣食住にまつわる空間を紹介している。
ISSUE 23では、アーティスト・横尾忠則の自宅兼アトリエに取材した記事を掲載。また、特集では21世紀を代表する日本の建築家・篠原一男の「上原通りの家」を取り上げている。その他にも陶芸アーティスト・桑田卓郎を取材するなど、日本にも密接に関わる雑誌だ。
また、『Apartamento Publishing』として雑誌だけではなく、料理にまつわる「Apartamento Cookbook」やインテリアに関する書籍を出版するなど、精力的に出版活動をしている。
ARK JOURNAL
2019年4月に創刊したインテリア、デザイン、建築をテーマとする雑誌インテリア雑誌『ARK JOURNAL』。デンマーク・コペンハーゲンを拠点に、北欧 ・スカンジナビアのライフスタイルを紹介している。クリエイター、スタイリストを長年務めるMetteBarfordを中心に、確かな審美眼を持った編集者たちが携わっています。
"空間・オブジェクト・オブジェクトの作り手"をテーマとし、建築・デザイン・アートの相互作用にスカンジナビアの価値観や美学を通して誌面を作り上げている。
日本での流通量はごく僅かで、すでに感度の高い人達には広まっている。日本人にとってインスピレーションの塊のような雑誌。
THE NEW ORDER
世界的な支持を集めるファッション系ウェブメディア「SLAMXHYPE」を前身とするファッション&カルチャーマガジン『THE NEW ORDER』。編集長を務めるJamesOliverは東京を拠点に活動し、編集や撮影などを行っている。
野村訓市、俳優の野村周平、俳優の窪塚洋介をモデルに起用し、新進気鋭のフォトグラファー小浪次郎が撮影したファッションブランドWACKOMARIAのページや気鋭の彫刻家小畑多丘などを取り上げるなど、日本のカルチャーやファッションなども世界へ発信している。
her. magazine
『THE NEW ORDER』の発起人であるJames Oliverが2015年に創刊したファッション&カルチャー誌。THE NEW ORDERの姉妹誌のようなものとなっていて、女性をメインに取り上げている。
あいみょんや長澤まさみなどが表紙を飾るなど、THE NEW ORDER同様に、日本の女性のカルチャー、ファッション、クリエイティビティを世界へ発信している。
USTA
ポーランドを中心としたジャーナリストやフォトグラファー、グラフィックデザイナーによるフードマガジン『USTA』。
ただ食を伝えるのではなく、毎号テーマにあったヴィジュアル表現をし、食の魅力、食に携わる人、場所を取り上げている。
日本人には持ち合わせていない食の写真とフードディレクションがされていて、毎号めっちゃくちゃ刺激を受けている。
Lunch Lady
簡単にできる手づくりランチや暮らしをより楽しくするためのアイデアを紹介するオーストラリアのフードマガジン『Lunch Lady』。ガーリーで可愛らしいエディトリアルデザインが特徴。
子育てを難しく捉えすぎず、家族の暮らしに対してバランスのとれたライフスタイルを提案し、カラフルでアイデアあふれる遊び心が、子育てをする親に楽しもうという視点を思い出させてくれる。
作っているものも英語ではあるが簡単に試せそうなもので、見ているだけで楽しくなれる。
JOON
ナイキやユニクロなどのアートディレクションを手がける、ポートランドのデザインスタジオ&ギャラリーFISKのBijan Berahimiによる『JOON Magazine』。
クリエイティブなカルチャーを探求する内容となっており、ポートランドのエキサイティングなアートシーンに焦点を当てるほか、地元の印刷会社Brown Printingとタッグを組み印刷などを行い、巻末には使用した紙、印刷、紙の加工などのデータを記載した「PRINTING INDEX」があるなど、デザインと印刷による可能性を模索している。
「IDEE」創始者・黒崎輝男氏やポートランド出身のヒップホップアーティストDodgrなど、ポートランドとその周辺の人たちを取り上げた内容となっている。
印刷がとにかくこだわり抜いたもので、ぜひ手に取ってその感触を味わって欲しい。
アジアの雑誌(韓国/香港/中国/台湾)
いま、とても面白く感じるのが、アジアの雑誌。特に日本と海を挟んだ東アジアの地域。
90年代以降、日本の雑誌やファッション、カルチャーの影響を受けた東アジアの地域は、日本文化を吸収し、自国の文化と混ざり合い、独自のカルチャーへ進化を遂げてきた。
90年代に日本から影響を受けた子どもたちは大人になり、雑誌などカルチャーを作り上げる中心となり、その作り上げた雑誌たちは日本とその各国の文化や価値観が融合し、唯一無二の存在になっています。そして、そのヴィジュアル表現やファッション、外から見た日本という国の記事などは、とても新鮮かつ、斬新で、東アジアの国々に影響を与えた存在だった日本に新たな影響を与えている。
日本がルーツにあるけど、日本とは違った雑誌。
色んな政治や国家のしがらみはあるけど、作ってるものはめちゃくちゃ面白いしかっこいい!
そんなアジアの雑誌を紹介します。
Magazine B / Magazine F(韓国)
毎号一つのブランドをピックアップし、緻密な取材とインタビューによってプロファイリング、その魅力を深掘りする韓国発のブランドドキュメントマガジン『Magaizne B』。韓国語verと英語verの2種類があり、日本では主に英語が流通している。
現在まで、84号発売されており、CHANELやMAISON MARGIELAのようなアパレルブランド、YouTubeやNetflixのようなサービス、京都やポートランドのような都市、MUJIやTSUTAYA、星のやのような日本企業など、あらゆるブランドといえるものを取り上げている。
取材力がとにかくすごく、ブランドのデザイナーなどのクリエイターはもちろん、社員やスタッフなどの身内、愛用者、そのブランド発祥の都市に住むキーパーソンなど、様々な人へインタビューをし、多角的にブランドの魅力をまとめている。
日本の『d design travel』を参考にしているのは間違いないが、ここまで続くともはや別物に進化を遂げた。
また、Magazine Bの派生として『Magazine F』というフードドキュメンタリーマガジンも登場した。
韓国国内で最も有名なフードデリバリーサービス「BAEMIN」のチームが共同制作で手がける。食卓において顕著な存在感を放つ材料(調味料など)を一つ選びに徹底的に探究している。
ここまでひとつのモノ深堀りする雑誌は、日本国内においてもなかなかないので、今後も注目したい雑誌のひとつ。
MAPS(韓国)
韓国のインディペンデントファッションマガジン『MAPS』。日本と同様に商業的なファッション誌が大多数を占める韓国で、インディペンデント的な雑誌作りをしている。
特徴的なのが、尖ったヴィジュアルやスタイリング。特に個人的に好きなのは、COMME des GARCONSをメインに添えた号たち。日本人のスタイリストやクリエイターなども関わっているが、モデルの雰囲気、誌面づくり、ディレクションが日本とは違い、不思議な面白さを感じることができる。
韓国アイドルなどが注目されがちではあるが、インディペンデントな韓国発のファッション誌を注目して欲しい。
BranD(香港)
香港のブランディングデザイン誌「BranD」。
香港だけではなく、世界中のロゴやブランディングなど、多岐にわたりグラフィックデザインを取り上げている。
日本のイラストレーターやグラフィックデザイナーも度々掲載されており、日本のデザイナーの認知度が高い雑誌でもある。
内容や取り上げている人はもちろんこと、エディトリアルデザインの質が高く、ギミックのある表紙やクールなレイアウトに毎号胸踊らせている。
MILK X magazine(香港)
ファッションやアート、ライフスタイルに着目し、様々なブランドやクリエイターを取り上げて毎号1冊の雑誌にまとめあげる香港発ファッションマガジンの『MILK X』。2006年に創刊され、すでに14年継続して出版されている。
誌面を見てみると、日本の雑誌や人、ファッションなど日本のカルチャーから色濃く影響を受けつつ、香港的な欧米からのカルチャーがミックスされたデザインや特集が印象的。
Issue145は、日本特集で、日本のカルチャーやファッションの歴史をしっかり辿っている。取り上げてるスポットや人物もすごくいいし、アイテムのレイアウトとかシューティングのページもめちゃくちゃいい。
漢字文化圏なので、なんとなく内容がわかるのもいい。
個人的には、大好きで注目している雑誌の一つ。
Steppy lifestyle Magazine(中国)
中国発のライフスタイル・カルチャーマガジン「Steppy magazine」。3号まで出版されていて、空山基のセクシーロボットや坂本龍一が表紙を飾っている。
POPEYEや日本から影響受けまくりの雑誌で、めっちゃ日本的だな〜と読みながら中国から見る日本のカルチャーを学べる。
取材や写真のクオリティは、日本の商業誌とも引けをとらないし、中国という国がいかに文化的に発展し、若者世代は自分たちと変わらない感覚を持っているんだなということを理解できる。
LOST(中国)
上海発のトラベル&ライフスタイル誌『LOST』。どこに行くのかが重要なのではない、何かを感じることができたなら、それが旅だ。という考え方を持ち、雑誌を作っている。
コデックス装という、どのページからでも完全に開き、読むことができる製本手法を使い、美しい写真やその都市、地域の魅力を余すことなく伝えている。
中国語だけではなく、英語も併記するバイリンガル誌なので、中国語が読めなくても大丈夫な雑誌。
Closing Ceremony Magazine(中国)
2013年に上海のフォトグラファーXiaopeng Yuan(シャオペン・ユアン)、グラフィックデザイナーYijun Wang(イージュン・ワン)によって設立された出版レーベル「Same Paper」から発行されるフォトマガジン『Closing Ceremony Magazine』。
ポストデジタル世代の若者が紡ぎだす、型にはまらずとにかく写真を楽しんだ雑誌。
中国という国のバックグラウンドがあるためか、Closing Ceremonyは身体的で、生々しいがエロさがあまりない体や生を感じさせる表現のキュレーション、編集がされている雑誌だなと感じる。欧米のそういったコンセプチャルなフォトマガジンとはまた違った、中国ならではというか、そういった印象を持っている。(レン・ハンのような感覚は、日本にはない訳だし)
ROUGE FASHIONBOOK
中国のファッション・アートマガジン『ROUGE FASHIONBOOK』。6号まで出版されている。
判型が大判で、写真を大胆にレイアウトした誌面はインパクトがある。
Closing Ceremony同様に写真やファッションディレクションの感性が、日本にも欧米とも違う独特なもので、魅力的なだと感じる。やはり、どことなく身体的で生々しさのあるあるものが多い。その中国クリエイティブと身体性みたいなのはちゃんと調べて、理由やルーツを突き止めたいなと思う。
あとがき
今回、紹介した雑誌以外にも「DRIFT」というコーヒーカルチャーマガジンや「032c」、「KING KONG」、「ARENA HOMME+」といったファッション誌など、世界には楽しい雑誌がまだまだあるが、自分が好きな洋雑誌の一部を紹介した。
また、アジアの雑誌でも、韓国のデザイン誌や台湾の「新活水」や「秋刀魚」など、紹介しきれなかったいい雑誌はまだまだある。
ぜひ、世界中の色んな雑誌を読んで欲しいし、そこから新たな刺激や視点を得て欲しいなと自分は思っている。いまの職場で、世界中の雑誌を触れるようになってからほんの少しですけど、人生が変わった気する。
日々、世界中の雑誌を見ているけど、世界にはまだ知らない雑誌はたくさんある。もし、日本の書店にないような面白い雑誌があったらぜひ教えて下さい!!
後半のアジアの雑誌に関しては、洋雑誌以上に情報がネットなどに日本語で出回ってなく、働いて、雑誌を購入して得た知識であったため有料記事にしようと思っていましたが、もっと多くの人にアジアの雑誌の魅力、アジアのカルチャー、表現の面白さを知って欲しく無料公開にしました。
以前のnoteにも書きましたが、書店員はびっくりするほど薄給です…
[書店員 時給]で検索したら驚くくらいです。
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今回で燃え尽きたので、少し経ってから書ききれなかった海外の雑誌について書こうかなと思っています。