旅行経験ある人ない人
旅行はたくさんしたほうがいいし、なんなら外国にも最低5カ国は訪れたほうがいいと思う。
こう強く思うことにはひとつ大きな理由があるが、最近思ったのは外国の料理をもっと楽しめるようになるということだ。
たとえば、日本に住んでいる人は日本の慣れ親しんでいる料理が比較対象の基準になるし、実際外国でレストランを訪れた際にも日本と比べてうまいかまずいか、の尺度でしか比較できない。
これはもちろんたとえばイタリア人でも同じで、イタリア料理と比較してうまいかまずいかの尺度しかない。
翻って外国にたくさん訪れている人は変であんまりおいしくない料理、これはこれでおいしいなと思える料理をすくなからず食べているわけで、器の大きさというか、比較対象の許容範囲がだいぶ広がっていると思うからだ。
そうすると、より様々な国の料理をおいしいかおいしくないかだけではなく、愉しめるようになる。
これはいってみれば自称焼きそば愛好家のぼくは、もはや好みだけではなく、味の違いを楽しむという感じに移行してしまったのと似ていると思う。もはや味が違えば、好みかどうかよりそれはそれで楽しいというわけだ。
旅行をあんまりしたことのない人は新しい料理が出てきたらびっくりして、ただあんまり好みじゃないな、などで終わってしまう。翻って何カ国か旅行した人はその先にある楽しさなども体験できるわけで、これはもう旅行していないと伝わらない感覚なのかもしれない。
ぼくのパーソナルな意見では、旅行もそれに似ている。もちろん、ぼくは人にいえるほど旅行をしてきたわけではないけれど、何カ国か訪れるとわかることがある。それは訪れる価値のない国などなくて、もはやつまらない国に当たればそれはそれで土産話になるので面白い、ということだ。
実際、そんな場所などほとんどないのだが、たとえばヨーロッパの嫌われ国フランスも、行ったこともなくて嫌いというより、行ったうえで嫌いというほうが言葉にも説得力があるというものだ。そして行く意味がなかったな、なんて思える旅行もほとんど存在しないのではないだろうか。
やっぱり旅行先に何もなくてそれといって面白いことさえしなかったとしても、やっぱり新しい景色を見ること、これはほかに得難い経験になるし、インプットしまくりでアウトプット皆無のこの時代、まさに必要なことだと思う。そしてそれが一人旅であれば、アウトプットとしての役割はおそらく大きくなる。
もちろん好きかどうかは個人差があるとは思うのだが、2人以上の旅行はエンターテイメントとしての楽しい経験になり、一人旅は人生としての経験に違い。もちろん、どちらがいい悪いというのはないし、一人旅が嫌いな人もいるかもしれない。それはそれで誰にも反対する権利はないけれど、個人的には一人旅で知らない場所にいった経験がない人とある人では差がある気がしてならない。
やっぱり一人でどこかに行ってしまう人のほうが 扱いにくいが 本当に面白い経験をたくさんしているのだ。3回一人旅をしていて話が面白くない人を、ぼくは知らない。
たしかに、ふたりで旅行に行かなければ、プラハやブタペスト、ベルリンに行くことはなかったかもしれないが、一人旅をしなければコーニッシュパイやエスカルゴを食べることはなかっただろうし、経験豊富な人に旅行先で合うこともなかっただろう。旅行先であった人に必ずもう一度会えるとは限らない。なんなら、それ以降一切会うことはないかもしれない。でも、だからといってその人に会ったことが意味のないことだったわけでもない。
色んな新しい食べ物を食べて、知らない人に会える。これの経験をしたことある人には、ない人にはない大きな経験があるわけで、こういうチャンスを逃すというのは一度きりの人生においてちょっとそんなんじゃないか、個人的にはそう思わずにはいられない。