Nº100 2023年版 イタリア語検定の、リスニング問題の倒し方を考えた
今回は、10月に開催されるイタリア語検定の1級・2級の倒し方(2023年版)について考えてみます
そのシリーズ初回であるこの記事のテーマは、リスニング問題です
最初に私の基本的な考え方を示すと、イタリア語検定のリスニング問題を倒す(合格点を超える)ために鍵になるのは、
リスニング力
ではありません
では何か
それは知識だと考えます(というか、結論づけています)
だからみなさん、安心してください
とにかく必要な知識があれば、伊検のリスニング問題をやっつけることができます
リスニング力という正体のよくわからない言葉によってなんとなく雰囲気に流されて、スコアが伸びない本当の原因が見えなくなっていませんか?
あと1ヶ月で合格水準にたどり着いたり、またはより安定的に辿り着けるようにするには、リスニングの練習をすることよりも(それも要るけど)、あなたの知識をもっともっと増やすのです
そこに狙いを定めて時間を費やすことこそが、イタリア語検定1級・2級のリスニング問題を高い確率で攻略することにつながります
これを言うのには、もちろん理由があります
それをこれから順にお話ししながら、残り1ヶ月で何をすれば(なるべく)伊検を倒す可能性が高められるか、もお話ししていきます
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1つ目
まず1つ目は、英検の上位級のリスニング問題と比べてみると、イタリア語検定のリスニングは1問ごとの情報量が少ないうえに、全ての問題において音声が2回聴けることです
このことを説明するのに、英検の1級を持ち出すまでもなく、準1級でも十分足ります
伊検では、ある設問に正解するために必要な情報(選択肢を絞り込むのに必要な情報)はとても少ないです
大半の問題は選択肢が3つしかなく、かつ、正解肢以外の選択肢は明らかな誤りを含んでいるので、断片的に聞き取れた単語だけに基づいて当て勘で選んでも正解できて”しまう”ような作りになっています
しかも、多くの問題は「この1、2カ所!」がわかりさえすれば正解できてしまう、そういう性質なのです
次に、音声が2回聴ける、という点について
伊検のパート2やパート3では「質問を知っている状態で、もう一度音声をはじめから聴き直せる」という有利な状態が生まれます
そうなってくると、聞き取れなかったことが原因とは考えにくく、それでもなお不正解になる人がいたら、その原因として他に思い当たるのは、
単語や表現を知らないため、何度聞いても「わからないものはわからない」という状態
リスニング問題の進行がのんびりし過ぎているため、だんだん興味が薄れてきた状態(これは私に毎回起きる)
のどちらか(または両方)でしょう
以上、1つ目の考察から言える、合格率を高めるために残り1ヶ月でやっておくとよさそうなことは、次のとおりです
読解量を増やす(知識を増やす、ていうか詰め込む)
読んだものは、音読する(文字だけを知った状態では半端なので、音も知っておくべき)
過去問で、正解には結局どこを聞き取ることが必要だったのか、なぜ自分にはそれができなかったのか、分析・対策しておく
もし過去問で安定的に合格点を下回っている人なら、毎日2つか3つくらいは時事的な記事や過去問スクリプトを読むなど、無理やり詰め込むくらいのことは必要でしょう
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2つ目
2つ目は、伊検のリスニング問題は(2級はもちろん、1級でも)読み上げは(よく言えば)丁寧で、しかもある理由で更に理解しやすくなっている点が挙げられます
その理由とは、区切りながら読み上げてくれることです
さらに、「区切りながら・・」には2種類あり、1つ目が音の区切り、2つ目がチャンクの区切りです
これらが、イタリア語検定1級・2級という見た目上の "上位級” であっても、リスニングの実際の難易度を抑制してくれています
順に話します
音の区切りとは、英語ほどではないものの、イタリア語でも前後の単語の母音や子音がまざることで消失したり結合して別の音になったりという現象があります
ですが、伊検1級の読み上げを観察してみても、それはほぼありません
このことでなにが受検者にとって有利なのかというと、文字で読んだときと同じ感覚で聞き取ればよい(だけの)条件で試験が行われているので、要するに正解しやすいのです
次にチャンクの区切りについて
チャンクとは、受験英語でも今では普通に使われるのを見かける言葉ですが、意味のまとまりを指して使われます
ほかに「ミーニング・チャンク」というもっと特定的な言葉を用いる本もあります
チャンクとは
私も note の記事の中でよく使う言葉ですが、初めて聞く方のために簡単な例で紹介します
Sono riuscito a visitare tutti i siti storici che avevo voluto.
という文章/セリフがあるとして、これを次のようにほどよく分解して理解します
Sono riuscito/ a visitare/ tutti i siti storici/ che avevo voluto.
わかりますか? 意味のまとまりというのが、何を指すのか
イタリア人とのやりとりや、動画などで聴いたりする言葉は一見ずらずらとつながって流れるように聞こえますが、慣れればそういう状態からでも頭の中でチャンクごとに処理できるようになります
ここで大事なのは、イタリア語検定では(たとえ1級の問題であっても)そんな処理ができる必要はあまりない、ということです
その理由こそが、リスニング問題の音声はチャンクで区切って読み上げてくれるからなんです
これを聞いて、中にはこう思う人もいるでしょう
「私は過去問を10年分も20年分もやってきたが、そんな”隙間”には気づけないんだが?」
それについて私はこう考えます
チャンクを見分けられるほどの知識がまだないか、あるいは知識が ”ある” 状態であっても脳内での処理速度が遅いか(=習熟度が低い)、が原因である可能性が高い
特に2点目については、自覚がない人も結構多いと思っていて、大学受験生の英語も含めて思うのは、同じ "ある知識がある人” のなかにも何種類もあり、両極で言うと、
パッと意味が "見える" 人
じーっと見つめてがんばって、その結果やっと思い出せるに留まる人
とに分かれます(その間のグラデーションも、言ってみれば、無段階にある)
ある単語・表現を "知っている” は、ある意味スタートに過ぎず、そこから更になんどもいろんな会話やチャット、動画やその他音声の視聴を通して場数を踏んでいって、はじめて「ピンとくる、肌感でわかる」状態になる、と私は結論づけています
どれくらいその表現に慣れ親しんでいるか、が大事
話を戻すと、イタリア語検定ではたとえ1級の受検者であってもそこまでのスキルは要りません
あらかじめチャンクに気づきやすい、わかりやすい速度や読み方で読み上げてくれるからです(まれにそうでない読み上げの設問もありますが)
そうなったときに、
「では不合格に終わる人、さらにはそれが連続する人には何が足りないか」
と考えると、知識ということになります
単語、表現、よくある文の構造。
これらそれぞれについて、自分の中でどれくらい「当たり前」にできているか
こういったことに注意を注ぎながら、まずは文字を読むときにそれを意識できるように訓練し、音読を行い、必要ならそういう視点からのコーチングができる私や第三者に依頼するなどして、土台から固めていくことをおすすめします
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まとめ
わたしは、イタリア語検定の1級、2級の合格率はもっと高くても不思議はないと思うのですが、どういうわけか毎年(そして、それが10年以上)繰り返されています
公開されている数値などをもとに単純に考えてみても、1級で毎年20%くらいは合格してもいいんじゃないかなぁ、と思います
さて、上に書いたのは、私自身の成長過程と第二言語習得について読んだ書籍から学んだことを交えて、自分なりにまとめた内容です
全員に当てはまるはずはありませんが、多くの人に当てはまる部分も相当程度含まれるのではないか、と思っています
この記事の内容が、みなさんの(まぁ、せめて一部の方にとって)イタリア語検定のリスニングセクションの安定的な攻略につながれば私も嬉しいです
最後まで読んでもらって、ありがとうございました
ここらへんがヒントになったよーとか、記事読んだ後でこういうこと始めてみたよーとかもしあれば、コメント欄に書き込んでもらえると私もこういう記事を書いて報われた気持ちになります
よかったら教えてください!