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Nº103 2023年版 イタリア語検定2級の、筆記問題 Parte I
10月に開催されるイタリア語検定の1級・2級の倒し方(2023年版)について考えてみましょう
そのシリーズ第4回であるこの記事のテーマは、2級の筆記試験 Parte I です
今回の記事は、過去問の見直しをしたという自覚のある人に向けて、
「ここまで頭にちゃんと入ってますか?」
「公式の過去問の”解説”(ぽいもの)を丸暗記しただけで、オッケー!とか思ってない?」
という視点で書いていきます
別の言い方をすれば、正しく過去問を改めて理解し、そこから得たことで類題に備えましょう、ということです
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今回の記事では、2022年のイタリア語検定2級の出題をもとにしてお話しします
以下、私目線であれこれコメントしたり解説したりしますが、著作権に配慮しながら書いていくため、みなさんは2022年の2級の過去問を自身で用意していただき、問題の全文や協会による正解はそちらで確認してください
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では、始めていきましょう
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さっそくですが、問題23を丸暗記すると失敗します
この問題は、morire dalla voglia という表現についてなのですが、ここでやっちゃいけないのは、
「なるほど、・・・で死にそうだ、と言いたい時は morire da ・・・と言えばいいのか!わかった!」
というぬか喜びです
たとえば、腹が減って死にそうだ、をイタリア語で
Sto morendo di fame.
と言ったりしますが、ここからわかる通り、morire に対してその原因(morire の”性質”と私は表現していますが)を特定するために di が使われています
これを一般化していうなら、自動詞のあとに”性質”を限定するためには di が使われると言えます
di と da で比べると、私の肌感では di のほうが圧倒的に出会うことが多いです
問題23では、まずそのことを念頭においた上で、今回は voglia di qualcosa だから定冠詞も必要だし(先の例から外れて)dalla なんだなという理解をすることが必要です
ちなみに da は、ここでは「起因・原因」を示す役割で使われています
もし私なら、丸暗記したであろう受検者が一定数いることを見越した上で、あえて非常によく似た文内容の問題を作り、ただし今回は di が正解になるように”仕込んで”おきますね
多分それで正解率は少なくとも50%程度には下げられるんじゃないでしょうか
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問題26は、ne をもれなく理解しているかが問われています
問われていること自体は、基本的な ne の2用法のうちの1つに過ぎず、イージーです
が、正解したのはだいたい10人に2人
寂しい結果です
ne は、2級にすでに合格した人の中でさえ、いつつかうのかをはっきりと言えない人がいます
イタリア語検定の2級はもちろん、1級を含めたとしても、知っておくべきなのは1つだけです
それは、di または da と絡む表現で使われるやつだ、ということです
di にだけ注意を削がれている人は少なくないと思いますが、実際に da に関連しても使われます
もっとも単純な例の一つは、これです
Sono uscito dal locale.
Ne sono uscito.
あるいは、もしこう言われたらあなたはパッとどんな意味を想定しますか?
Ne scaturisce l'acqua.
あえて前後関係を隠した状態であっても、使われている他の単語から考えると、たとえば「どこかから水が湧き出ている」を意味する可能性に辿り着くのは容易でしょう
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問題29では、正解する鍵は名詞の省略に気付けることです
il più + 形容詞 という比較の単元の話としてしか公式の解説では触れられていません
ですが、
私が思うに、不正解の人々が抱えていた問題はそこではありません
本当の分水嶺は、その形容詞が係っている名詞が省略されており、その名詞こそ文の前半で触れられている dolce だということです
il dolce って言いますよね
そこを理解しないままに、
「あー、これは相対的最上級を作れば良かったのかー」
と、上っ面だけぼーっとなぞっただけの人は、浪人体質だと私は分類しています
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ところで、浪人体質といえば
何度も受験してくれる人がいるのは、資金難にあえいでいるイタリア語検定協会からすると”大切なお客様”かもしれません
しかし私としては「イタリア語検定はスカッと合格するもの」なので、せめて”一浪”までで合格する人が増えると良いなと思います
なにより、検定試験に合格することはゴールじゃないですよね?
なのに、イタリア語検定に合格することがいつのまにか最終局面になってしまい、本来その先に思い描いていた「イタリア人とのコミュニケーションができるようになった自分の姿」が置き去りになってしまったら寂しいですよね
私からのメンバー向けの情報発信やイタリア語スキルアップのサービスに興味がある方は、私の note をフォローしていただいてこれまでの記事を読んでみてください
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問題30は、公式の解説が雑いので私が補足します
”公式の解説が雑い”というのは、私からみて学習者にとって説明してあげないといけないことを全部すっ飛ばしていることを指します
具体的には、選択肢 d) についてもっと学習者目線で伝えてあげて欲しいことが全く見当たらない、ということです
出題のポイントは動詞 Bisognare の使い方についての理解度を問うことなのですが、今回は空欄の後続に che + congiuntivo 節があることから
"なお、「〜する必要がある」は後ろに<di + 動詞の不定詞>を伴っていれば、d) のような<avere bisogno>の形でも表現できますが、ここでは不適切です”
(出典:実用イタリア語検定2023 1・2・準2級 問題・解説)
という、拙速に過ぎる書き方になっています
それを、これから私が、みなさんのために説明いたします
みなさんがここで知っておいて欲しいのは、
avere bisogno は、avere bisogno di だけでなく、avere bisogno che + congiuntivo でもふつーに使われる
ということです
これ、私のうろ覚えとかではなく、ちゃんと現地のイタリア人も賛同してくれていたり、イタリア人がイタリア人向けに作成した Youtube の動画の中にもふつーに出てきていますから、みなさんも安心して信じられるでしょう
まず、これが一つ。
次に、
問題30の正解は d) でもよい、となるのではないか
という点について話します
あいにく、この主張は認められない可能性が高い
それはなぜか?
それは、他の表現についても同様に当てはまるのですが、主節 Ho bisogno の主語(つまり io)と che 節(従属節)の主語(問題30の内容からすると、ioが最も妥当)が同じであるとき、イタリア人は di + 動詞の原形 という方を選択するからです
よって問題30のケースでも、Ho bisogno che (io) vada dal..とするのは社会言語学的には正解とは言えないのではないか、ということになります(まさに私自身が、このように考えている)
たとえば、spero di と spero che + congiuntivo について考えると、
Spero di andare in Italia.
とはいうが、
Spero che (io) vada in Italia.
とは、”言わない”ということです
ただし、文法的にどうかと考えると、間違いである、とまでは言えません
そうなると、試験の運営側(イタリア語検定協会)がどのような基準で正誤を判定しているのか、また、その基準は試験前に受検者にあらかじめ明示的に伝えてあるのかどうか、などを精査する余地はでてくるかとは思います
(誰もそんな面倒なことはしないだろう、、けども、かといって誰もしなければ、永遠に曖昧な試験開催が続けられてしまうリスクがある)
いろいろ説明しましたが、要するに、みなさんは問題30の正解が何であるか、にとどまらず、ぜひ”両方とも”自分の表現の選択肢としてストックしていただければと思います
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ひとまず、ここまで
実は上で扱った問題以外にも、問題32・33、35、37、38、40、41、43についても「こんなことを話そうかな」とアイデアは出してあるのですが、それらについては読んでくれた人からリクエストがあれば続編として記事にまとめたいと思います
なにより、この段落の時点で文字数が3600近くになっているので、既に長すぎだと思うし
もしイタリア語検定2級について、私目線での考察や解説を聞いてみたいと思ってくださった方は、コメントなどでお知らせくださいませ
ではひとまず、ここまで
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![Ken,](https://assets.st-note.com/poc-image/manual/preset_user_image/production/ic0567a0e070c.jpg?width=600&crop=1:1,smart)