幡野さんの人生相談から「辞める」について考えた4000字。
もうずっとこの方の写真と文章のファンなんです。
写真のことは全くわからないので「ファン」と言ってもきっと「にわか」なんだと思う。「野球を知らない奴が巨人を語るな!」みたいな話なんだと思うよ。「ホームランっていいよねぇ!ホームラン!なんかカキンッて感じでさぁ!あとヒットエンドランも響きが好き!あ、なんで審判なのにヴァンパイアなの?血吸うの?」くらいの感じですよ。
でもなんか好きなんだよなぁ。写真なんてただ風景を切り取るだけじゃんって思っていた私に、「風景を切り取るってなんて素敵なんだ」と思わせてくれたんだもん。なんだろう、そこにある感情ごと切り取られた感じっていうのかなぁ。やっぱり上手くは伝えられない。にわかな私です。
いつか写真を撮っていただきたい。と本気で思っているけれど、でも「いつか」と言っていたら絶対に「いつか」は来ない。幡野さんには余命があるから。
いや、違うな、これは余命の問題じゃない。今勇気を出せない私の問題だ。私だっていつまで生きているかわからないんだもの。もしかしたら、今日受ける予定のPCR検査で陽性となって、もしかしたら悪化して、もしかしたら命を失うこともある。出せる勇気はすぐに出したほうがいい。でも、今じゃないな。幡野さんを今、フィリピンに呼ぶわけないは行かない。
日本に帰ったらすぐに連絡をしよう。新しい生活のスタートは、幡野さんの写真からと決めているんです。1年後か・・・うん、何も考えまい。1年を最高に過ごして、しっかりと仕事を辞めて、胸を張って依頼するんだ。
「写真、撮ってください!」
おじさんが、おじさんに。依頼するのだ!女子高生のような純真さで。キラキラとした眼差しで。そんな自分でいられるようにこの一年をキラキラ過ごそうと思う。
違う違う。
今日の本題はこれじゃないんです。でもこれについても書きたくなったから、明日書きます。
本題は・・・幡野さんがCakesに乗せた記事についての話。
あんなに楽しかった部活が辛くなって、辛くて仕方がないのに辞めるに辞められない高校生からの相談に幡野さんが答えています。何はともあれ、まずは記事を読んでくださいね!
読むのが面倒くさいあなたのために、ちょっとだけ引用します。
部活や友達がおもしろかったのはとてもいいことだけど、変化したり崩れてしまっても大丈夫なように、たくさんの関係性を持っていることって大切です。これからはたくさんの柱で建物を支えるように、おもしろさが一つなくなっても大丈夫なように、たくさんのおもしろさを持っていた方がいいよ。
部活を辞めるも続けるも、好きな方を選んでください。でも選び方には気をつけてね。誰かに決められないように、逃げてはいけないっておもわないように、あたらしい関係性を作るのも、崩れた関係性を修復するのだってあり。でもその選択の全てに勇気が必要です。
キミがいま経験しているように、人生って嫌なことから学んで大人になっていくものです。大人はそれを経験して知っているものだから、最短距離で答え合わせをするように、ああしろこうしろってキミにいっちゃうし、ぼくも書いてきたけど、実は自分で考えて答えを出したときが大人になる瞬間なんだ。
だから、人生の選択を誰かに委ねちゃダメだし、誰かに決めてもらってもダメだよ。好きな方を選べばいいじゃん。自分で考える力がなくて、選択を委ねてしまう人って大人でもたくさんいるんだけど、それじゃダメなんだよ。
ちょっとって言いながらめっちゃ引用してるじゃん!!!だってどこも切れないんだもの!!!
「桐島部活辞めるってよ」の話とか、「新世紀エヴァンゲリオン」の話とか、例えや引用がいちいち見事なんだけれど、自分で決めること、そして「辞める」ことも勇気なんだってことをまっすぐな文章で伝えてくれているんです。
これ、たくさんの人に読んでいただきたいなぁ。
特に、不登校に、学校の苦しさに、悩む子どもと親に。あとついでに先生方に。
今日は「辞める」について書こうと思います。
私に近い人が見た私の印象はきっと「始める人」なんだと思う。
新しいことを始めるのが好きで、初めての人に出会うのが好きで、思い立ったらどんどんやってきたつもりです。
やりたけりゃ やればいいじゃん いますぐに
これが私のモットーだし、そうやって生きてきたつもりなんです。
でも、実は、その倍くらい「辞めて」います。
あったりまえの話なんだよね。人が持っている時間はみんな24時間だから、新しいことを始める時間は、今までやっていた何かを削る時間でもあったりするんだよ。だから私は「始める人」でもあるし「辞める人」でもあるんです。エヘン。
でも、この記事を読むまで、「辞めたこと」についてちゃんと考えたことなかったなぁって思ったんだよね。私が辞めたたくさんのことをここに記しておこうかなって思ったの。どんなに辞めても幸せになれるし、私は今とっても幸せなんだけれど、改めてそれを記しておこうって感じ。
人生最初の辞めた記憶はね、もうこれははっきりしていて
「そろばん」です。
小学1年生か2年生の時に、当時仲が良かった「あっくん」と一緒に「そろばん塾」に通い始めたのね。一番最初の「10級」を取るくらいまでは結構楽しくやっていたんだよな。
で、ある時「スクールバス」の運転手さんに言われたんだよ。
「君は『そろばん』をやってるのか。それな、まだ計算機がない頃の道具だよ?おじさんが計算機使ったほうが早いぞ。」
頑張る子どもになんて酷いことを言うんだ!と大人の今は思うけれど、当時の私は「酷いことを言われた!」って認識は全くなくってさ「そうかぁ!なるほどそうだよなぁ!」って納得しちゃったんだよね。
小学校1・2年生の頃のことなんてほとんど何にも覚えていないけれど、あの運転手さんの顔と、言われた時の光景はなんだかずっと覚えているの。それくらい衝撃的だったんだと思う。
その瞬間、あんなに楽しかったそろばんがつまらなくなっちゃった。
やっていることは昨日までと変わらないのにね。一言おじさんのセリフを聞いただけで、風景がガラリと変わったんだよ。人は事実じゃなく「イメージ」で世の中を見ているんだね。人生って面白いね。
まぁとにかくやる気がなくなった。
だから、辞めたの。私のそろばんの肩書きは「10級」です。エヘン。
今思うとよく親も許してくれたよなぁって思う。あの頃の我が家は、父親が身内の借金の肩代わりをして、馬車馬のように働いていた頃だった。昼は養豚業をやりながら、夜は居酒屋の経営とかもしていた頃。母親も家業をやりながらも商店でパートしたりしていた。だから、お金もそんなになかったと思う。それでも息子が「やりたい」と言ったことを嫌な顔ひとつせずにやらせてくれたんだよ。
それがさ、たかだか「10級」取っただけで「やめたい」だもん。
普通怒るよなぁって今は思うし、怒られた記憶が全くないことに感謝しています。ありがとね、父ちゃん、母ちゃん。何にしても、あれが一番初めの「辞めた」記憶。
始めたことを、辞めてもいいんだ。
そのスタートが「そろばん」だったと思う。
それからは、始めては辞めてを繰り返してきた。
バレーボールは1年半で辞めた。
卓球は中学校3年間は続けたけれど、高校では演劇部。
合気道の体験に行った、続けるぞって意気込んだままやめた。
スポーツジムもあんなに楽しかったのに、全く行かなくなったな。
キックボクシングジムにも行ったぞ。辞めたけど。
あ、乗馬も。辞めたねぇ。
教育大学を卒業したのに、先生になるのを辞めて東京に飛び出した。
役者を目指して、奨学金も全部捨て(先生になったら返還しなくていいやつ)東京に飛び出したの。
なのに役者を目指すことすら、3年で辞めた。
張り切って勉強した手話も続けていないし、中国語の勉強も家庭教師雇ってまで頑張ったのに、もう何も覚えていない。
そして今、11年続けた教員を辞めようと計画している。
わはははは。酷いなこりゃ。
でもね、その分たくさん始めてきたし、その分たくさん出会ってきたよ。
手元に面白いものをたくさん抱えているんだ。文字で書いたらあっという間だけれどさ、どの「辞める」にも「始める」にも勇気が必要だったよ。ただ、そうやって「勇気」を鍛えることで、大きなことを辞めたり、始めたりすることもできるようになってきたんだ。私は辞めることで「勇気」を育ててきたんだなって思う。
幡野さんが言う
最初はちいさい勇気なんだけど、だんだんと大きい勇気になっていきます。だからキミも誰にも委託せずに、自分の勇気を持ちましょう。
をね、ちゃんと実感できているんです。
だからこそ、小学校4年生の娘が「学校行くの辞めたい」って言った時も、「いいんじゃない。自分でそう考えて決めたなら、やってみたら?」って言えたし、今こうやって応援できているんだと思う。学校辞めても、次の楽しみはあるし、次の学びはある。
だって私が初めてきたことも、辞めてきたことも、全部無駄じゃないし、それが今の私の幸せな生活を作っているから。
君の「辞める」を応援できる大人でありたいんだ。
勇気を応援できる大人でありたいの。
小さな勇気を振り絞れたら、大きな勇気に育っていくからね。
勇気がないまま大人になったら、やりたいことや好きなことが何にもできずに終わっちゃうこともあるんだよ。そんなの、あんまり幸せじゃないなぁって思うんです。
あ、ついでに言うと、君の「始める」や「辞める」を邪魔する大人は
ほとんどが「勇気を育てずに生きてきた大人」です。
他人の勇気を認められない大人です。
だからね、相手が大人でも、人の言うことを聞かなくてもいいんだよ。君の信じたことをやってみて失敗したとしても、ちゃんと勇気が育っているからさ。応援してくれる大人を探そうね。
やりたいように思うがままに、始めたり辞めたりしてみることを、若いうちはやったらいいよ。
たくさんの「おもしろさ」をさ、手に入れようよ。そうしたら人生何があっても、面白いよ。
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