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【MBTI】怒りの構造化① Fe / Fi 編
2025/02/11 事例を追加
2025/02/16 心理機能の説明を追加
(16Personalitiesは実際のMBTIの定義とは異なるという見解があるが、本記事では便宜上MBTIと呼称する。)
筆者はあまり怒りの感情を抱かない人間だが、ふとした拍子に他者の怒りを買い、衝突することがある。それにより予定していた計画がパーになったり今後の関係に不信感が漂う事があるが、これは計画性や未来志向を持つINTJとしては結構凹む。
しかし同時に、全自動自己改善マシーンであるINTJは、「相手の地雷を可視化すれば良いのではないか?」と考える。
この記事では、目的論的アプローチを用いて、心理機能ごとの怒りの背後にある目的を明らかにし、その構造の整理を試みる。
それにより、どうすれば怒りを回避できるか、相手との今後の関係性をどうしたいか等、客観的に判断できるようになることが目的である。
心理機能に優劣をつける事が目的ではないため、ご留意頂きたい。
目的論の詳細は以下の記事をご参照ください。
目的論的アプローチでは、「なぜ自分/相手が怒ったのか?」という過去の原因を深掘りするのではなく、「この怒りはどんな目的を果たすために生じたのか?」と考える。
本記事から複数回に分けて、MBTIの8つの心理機能ごとに、怒りの裏に存在する目的を目的論的アプローチを通して考察してみようと思う。前例がないため、異なる見解を持つ方がいればぜひコメントして欲しい。
今回はFi(内向的感情)、Fe(外交的感情)の怒りがテーマである。
心理機能について
MBTIの各タイプには、主機能(1番目に強い機能)から劣等機能(4番目に弱い機能)まで、4つの心理機能(認知機能)が働いている。
この心理機能の組み合わせによって、各MBTIタイプの思考や行動の傾向が決まる。
MBTIの心理機能には、「正常時」「ループ」「グリップ」という3つの状態があり、それぞれ異なるメカニズムで働く。
•正常時 → 主機能(1番目)を中心に、補助機能(2番目)が適切に支えることで、心理的に安定している状態。
•不健全ループ → ストレス下で主機能(1番目)と第3機能(3番目)の過剰使用で偏った思考や行動に陥る状態。
•劣勢グリップ → 強いストレスにより、普段使わない劣等機能(4番目)が暴走する状態。
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心理機能の配置と怒りの危険度
先に心理機能について説明する。
主機能:
最も得意な機能で無意識に使える
補助機能:
主機能を支え、性格のバランスを取る
代替機能:
発達すると役立つが、ストレスがかかると未熟な形で現れることもある
劣勢機能:
最も苦手な機能で過剰なストレス時に不安定な形で現れる
心理機能の配置による怒りの考え方は以下。
主機能による怒り:危険度高
本人の一貫した価値観に基づく根源的な怒りであり、明確な地雷である。
これを刺激する人間とは距離を置こうとするだろう。補助機能による怒り:危険度中
怒りを理性で抑えようとするが、怒りが許容値を超えると爆発する。
相手との関係性も意識しながら怒るため、直接対立することもあれば、間接的に表現することもある。代替機能による怒り:危険度無〜中
代替機能が未熟な状態で発生する不安定な怒りである。代替機能の発達に伴いコントロールできる様になるが、高ストレス下のループ状態で現れる事もある。
本記事では説明を省く。劣勢機能による怒り:危険度無〜高
健全時は怒りを感じないが、極度の高ストレス下のグリップ状態で刺激されると暴走する。その時は極端な行動を取るため最も危険な怒りとなる。
Fe(外向的感情)の怒り
怒りの目的
共同体や人間関係の調和の維持
Fe主機能(ESFJ、ENFJ)
Fe補助機能(ISFJ、INFJ)
Feユーザーは学校や職場等において自身が仲間と設定した共同体の中での価値観が同一(善悪は問わない)である事を重視する。
共同体の価値観と異なる言動に強い不快感を覚えるが、その目的は調和を乱す人を共同体から排除する事だと考える。
ESFJ・ENFJはその様な人と衝突を引き起こす可能性がある。
一方、ISFJ・INFJは直接的に怒るよりも、静かに距離を置くこともあるだろう。
知人(ISFJ)は職場で一人だけ理由をつけて業務を放棄する同僚に対して怒りを抱いていた。
彼女はその人と二人きりで食事をする事は生理的に嫌だと語っていた。
共同体の価値観と異なる言動は、Feユーザーの反感を買いやすい。
そのため、彼らとの関係を重視する場合、そのような言動は避けた方が無難である。
また、怒りを買うとFeユーザーに集団的に排斥されるリスクがあるため、共同体の価値観が自分に合わない場合、自ら共同体から距離を取ることで結果的に精神的負担を減らせる。
Fe 劣勢(ISTP、INTP)
ISTP、INTPは健全時はあまり感情的になることはない。しかし、失敗体験等を通してFeグリップ状態となっている場合、他者との繋がりを制御するFeが暴走し、自分が排斥される事への恐怖感から感情的な反応をする事がある。
その目的は他者との繋がりを維持するためと考える。
知人の彼女(IXTP)は大学で馴染めなかった事をきっかけに知人に依存しており、知人が別れ話を切り出した際に激怒し、一悶着あったようだ。
彼らとの関係を重視する場合、彼らの実績や肩書きの話ではなく、彼らの人間性への興味を示すことで排斥の意図がないことを伝えると良いだろう。
逆に関係を断ちたい場合、相手はより強い感情的な反発(ストーキング等)を示す可能性があるため細心の注意が必要。
Fi(内向的感情)の怒り
怒りの目的
自分の信念や価値観の防衛
Fi主機能(ISFP、INFP)
Fi補助機能(ESFP、ENFP)
Fiユーザーにとって趣味や個人的なこだわりは自分自身を形成する要素である。それを否定されたり、変化させようという圧力を受けると、静かに距離を置くこともあれば、感情の昂りから怒りを見せることもある。これは自分の信念や価値観を守る事が目的であると考える。
ISFP、INFPの場合はそのような衝動的な反応が状況を好転させるとは限らず、むしろ自分の信念がさらに侵される可能性があることを合理的に判断する。怒りを胸の内に潜め、表面上は平静を装うことを選ぶことも多い。
その場合、卒業や転職等、相手が利害関係者でなくなったタイミングで何の前触れもなく関係を断つことも考えられる。
知人(ENFP)は過去のサークルの体育会系な空気感が自分との不一致を感じていたようで、大学を卒業して以来誘いを全て断っている。
誰に対しても言える事ではあるが、特にFiユーザーとの関係を大切にしたいなら、彼らの信念や趣味、こだわりを笑いものにしたり否定はしない方がよい。
不用意な発言は、思いついても関係維持のために控える選択をするべきである。
逆に、彼らの趣味やこだわりに興味を持つ事が関係性を深める事にも繋がる。
Fi劣勢(ESTJ、ENTJ)
ESTJやENTJは、社会的な成功や影響力を持つことが、自分の価値を証明する手段であり、向上のための努力を惜しまない。
そのため、彼らのFiグリップが表立って議論される事は少ないように思える。
しかし、リストラや実力不足、定年退職等の理由でそれが叶わず、自分の社会的な存在価値を見失った場合、Fiグリップ状態に陥り、普段は抑えている感情を爆発させ、自分の信念を周囲に訴えようとする。
これは、自分の信念を社会的な否定から守る事が目的だと考える。
そして、社会的な否定への恐怖が限界に達したとき、その行動は衝動的で激しいものになる。
知人の父(EXTJ)は職場での失敗を元に自信を無くし、退職後にアルコール依存症を引き起こした。
現在彼は支援団体を頼りながら治療を続けている。
この状態では、こちらからの感情的なアプローチだけでは彼らの目的は絶対に達成されない。もし彼らを大切に思うなら、粘り強い対話を通して社会軸の評価でなく自分軸の評価で自信が取り戻せるように、サポートする必要がある。
深刻な場合には、社会福祉等の専門的な支援を検討することも重要だ。