雪が溶けたら | 水仙
身を寄せ合って、噂話?
香水に憧れて振りまくのは、
ちょっと強めの、シャンプーの香り?
他とは違う 特別な私になる憧れ
群れから外れて 居場所を失う恐怖心
何度も、ふたつを天秤にかけて
結局、後者に勝てないまま
日々を過ごす、ありふれた、女子中学生。
水仙の花は、時にそんなふうに目に映る。
少しうつむきながら
鏡の中の私の顔をじーっと、覗き込む。
クラスでいちばん、かわいいあの子、
だけど一番、私が可愛い。
念じるように、心の中で繰り返す。
風に揺られて少し乱れたその髪を
何度も何度も、くしで梳かす。
健康的な唇に
もっと赤を挿したくて
色付きのリップクリームを
するするするりと、重ねて塗る。
自分をちゃんと愛せたある日、
誰かに恋することを覚えた。
誰かに恋し、想いを伝えたある日、
誰かを愛し、愛することを覚えた。
うつむいていた背中は、すーっと空へと伸び
他とは違う特別じゃなくて
あなたの特別にさえ、なれればいいと気づいた。
今年の春は、忘れられない春になる、予感。
いただいたサポートで、新しい筆か、紙を買いにいきます。 あなたに新しい表現を還元いたします(^^)