「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」 「敵を知る」はできていますか?
コンサルティングの現場で、経営計画を策定するためにお客様企業と外部環境を検討する機会があります。その中でよく感じるのが、「競合企業」について十分に理解されていないケースが少なくないということです。
競合の名前は挙がるものの、その特徴や強み・弱みについて具体的に話されることは多くありません。時には「競合の問題点」をあげることに終始し、「当社はそれよりも良い事業を行っている」という自己評価で満足されていることもあります。
さすがにこのような場合、「競合企業も何かしらの強みを持って市場から支持されているのです。その強みを知ることは、差別化のために必要な視点です。」とお伝えすることがあります。
孫子の言葉に「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」は有名ですが、これでは「敵を知る」という状態に達しているとは言いがたい状況です。なぜそのような状況に陥るのでしょうか?
1つの要因として、商品やサービスの特質によって競合の動向が分かりにくいことが挙げられます。特に法人向け商材ではその傾向が強いように感じます。一方で、消費者向け商材は自分でも購入・体験できるため、競合を知る機会が多いと言えます。
とはいえ、最大の要因は「経営者や経営幹部の競合を知ろうとする意識」にあると感じます。業績が良い企業の経営者にヒアリングを行うと、競合について非常に詳しく理解されているケースが多々あります。競合の強みも弱みも把握し、それを踏まえた上で自社の差別化戦略を構築されています。
これらの経営者が特別な手法を使っているわけではありません。お得意先や業界誌、業界の集まりなどを活用し、地道に情報収集を行っています。その背景にあるのは、「自社の成長のために競合を知りたい」「学びたい」という謙虚さと知的好奇心です。
国内市場は人口減少に伴い、競争がますます激しくなると予測されています。その中で「百戦危うからず」を実現するためには、「敵を知る」ことがますます重要になるでしょう。
2025年のテーマとして「競合を知る」を掲げ、自社の未来に向けた差別化を考えてみてはいかがでしょうか?