【認知的不協和理論】日本型ファシズムの成立【心理的メカニズム】ーー⑦日本型ファシズムの成立ーー「鬼畜米英」から「対米従属」への変節・寝返り
大日本帝国(軍国主義、全体主義、ファシズム)の正当化ーー「鬼畜米英」から「対米従属」への変節・寝返り
軍備を増強し、批判者を弾圧・粛清し、外国を侵略する国は、「敵国が侵略しようとしている。これは国を守る自衛のための戦争だ。相手国が悪い。自分たちは正義。我国は被害者だ。批判者は我国を陥れようとしているスパイだ。売国奴だ」と常に誰かを攻撃することで、自国の行動を正当化しようとする。
そして常に、独裁者は自分の『権力支配構造』を強化するために『仮想敵』を作り、敵国の脅威を煽ることで、独裁体制・既得権益を強固なものにしようとする。それは現在のロシア・中国・北朝鮮・イスラエルに限らない。
『大日本帝国』の成立ーー『権力支配構造』の絶対化→『軍国主義体制』の形成
戦前の日本で、欧米列強によるアジア侵略に対する「不安・恐怖・劣等感」の中で、その脅威に対抗するために富国強兵のスローガンを掲げ、国内の産業・財政・教育制度を整備し、軍事力を強化し、中央集権国家体制を確立していった。
と同時に、対外的には資源・領土・利権を求めて大陸に侵略・植民地化していく中で 、『皇国史観』(選民思想)に基づく『忠君愛国』教育を推進し、「日本は神の国。優れた民族」「外国人は野蛮な劣等民族。日本を貶めようとしている」などのプロパガンダで差別や不安・恐怖・憎悪を煽り、洗脳し、全体主義・軍国主義・帝国主義体制を整えていく。
そして、その『軍部・政治家・財閥』のトライアングル(軍部独裁体制)の中で、国民はただの1つの『使い捨ての消耗品』となり、次第にエスカレートし、軍部の暴走により日中戦争に突入し、そのブームに乗り遅れまいと新聞が戦争を煽り、戦争に疑問を呈し、全体を客観的に分析し、冷静に判断できる人や、政府に批判的な人を次々と左遷・弾圧・粛清していく。
その『依存の悪循環(負のスパイラル)』の中で、もはや誰も止める人がいなくなり、欲望(支配欲)の暴走・膨張の抑制が効かなくなり、嘘に嘘を積み重ね、後戻りすることができなくなり、ついには欧米との利害衝突の中で太平洋戦争(真珠湾攻撃)へと突入する。
そこでは、自分の『権力支配構造』を正当化するために「欧米は日本を侵略し、蹂躙しようとしている(鬼畜米英)」という被害妄想のもと、「欧米列強から東アジアを解放する」という名目で、「自存自衛・大東亜共栄圏建設・八紘一宇」などのスローガンを掲げ、その行動(侵略戦争)を正当化しようとした。
その『依存の悪循環(負のスパイラル)』の中で、“冷静な判断力・想像力”が麻痺してしまい、“人間としての尊厳・共感能力”が失われ、特攻や玉砕やインパールや捕虜·住民虐殺などを次々と行う。そこでは決して自分の誤り・失敗を認めない。批判や反対の声に耳を傾けることができない。反省し、撤退することができない。
それは、極限状態で「不安・恐怖・劣等感・罪悪感・不全感」が膨張する中で、国家・権力者・神・教祖と同一化し、他者・弱者・少数者・批判者に強制・支配・虐待・虐殺することで、快感・優越感・万能感を得ようとしているのである。それは“依存行動(依存症)”である。
その“依存行動”の目的は、「“国家・天皇・組織のため”という名目で、ただ自分に服従させる。強制する。捕虜や住民を虐殺する(させる)、部下を特攻(死)に追いやることで組織を一体化させ、支配欲を満たし、安心感・満足感・優越感・万能感を得る」ことにある。
だから指揮官は部下に命令するだけで、自ら進んで死にに行くことは決してない。
それらは正義感や責任感や愛国心からの行動ではなく、人をいじめ痛めつける事、弱者に命令し、支配、強制する事によって優越感を得ようとする行動である。だから、自分は安全な所でのうのうと裕福に暮らし、その行動を「国を守るためで仕方がなかった。それは決して私利私欲のためではなかった」などと自己正当化し、自分のしたことを反省し、責任を取ることはない。(それは現在の“パワハラ問題”や“ブラック校則問題”と同じ)
そして敗戦後も、日本自ら自分達がやった行動を反省することもなく、「なぜたくさんの犠牲者を出してしまったのか?」という根本原因を究明し、事実を解明し、指導者の戦争責任を追及することなく、米ソを中心とした『東西冷戦構造』の中にそのまま組み込まれ、それまで「天皇陛下万歳!鬼畜米英!」を叫び、多くの人間を死に追いやった同じ人達がそのまま「対米従属!反共産主義!」に変節し、寝返った。
そして、自分の行動(変節・寝返り・服従・隷属)を正当化するために仮想敵を作り、恐怖を煽るとともに、批判者を誹謗中傷する。
それは不安・恐怖・劣等感・罪悪感・無能感の中で、国家(天皇)・強者(米国)に同一化することで、安心しようとする『心理的メカニズム』が働いている。そして、その『権力支配構造』を正当化するために、常に『仮想敵』を作り出し、人々の不安・恐怖・憎悪を煽ろうとする。
『権力支配構造』の変節・寝返り。ーー「皇国史観・鬼畜米英」から「対米従属・反共産主義」へ。
人は、戦争・災害・疫病・貧困・虐待などのストレスに曝され続けると脳の神経伝達物質のバランスが崩れ、感情・欲望・行動を抑制することが困難になる。そして、そのストレスを軽減しようとする防衛機制が働き、保守的になりやすくなる。そして、自分の身を守ろうとする防衛本能から攻撃的になる。
脳の抑制機能が低下し、「不安・恐怖」が強まれば強まるほど、何か大きなもの、強いものに縋ろうとする。依存しようとする。それは神・宗教・思想・イデオロギーだったり、アイドル・スポーツ・モノ・金・スマホ・SNS・ゲーム・ギャンブルだったりして、それに傾倒し、熱中し、心酔し、依存することで安心感・満足感・陶酔感を得ようとしているのである。
それ故に権力者(独裁者)は、五輪万博などのイベントや、自然開発(新幹線・リニア・原発・ダム・リゾート・都市開発・IRなど)や宇宙開発などの国策事業を推し進めることで「一体感」「愛国心」を煽る。と同時に、「敵国が我国を攻撃しようとしている。批判者は我国を貶めようとしている。敵国のスパイだ」と不安・恐怖・憎悪を煽り、軍備を拡大し、敵国を侵略することで自分の権力支配体制・既得権益を正当化・絶対化しようとする。
しかし、それは一方で、それに依存し過ぎると周りがよく見えなくなる。脳が『依存状態』になり、物事を客観的・俯瞰的・多角的に見れなくなってしまう。反対の立場になって考えられなくなってしまう。1つの価値観(金儲け、自然開発、軍拡、反緊縮など)に凝り固まってしまい、それを正当化しようとする余り、その行動を他者から批判されたり、注意されたりすると激しく攻撃するようになってしまう。
そこでは科学的・論理的思考が麻痺してしまい、デマや陰謀論に騙されやすくなってしまう。自分に都合の良いことばかり執着し、都合の悪いことは無視する。否認する。見えなくなる。捏造する。嘘をつく。そして、最後には自分を正当化するために他者を誹謗中傷する。
そして、それは戦争や緊急事態・有事・災害や不正汚職・スキャンダルのときの対応の遅れとなって表れる。
窮地に陥ったときにパニックに陥り、今何が一番大事か判断し、何をすべきか臨機応変な対応ができない。どうしたら問題を解決できるかを考えられない。自分の保身・利益にばかり拘り、被害者・被災者・国民の立場に立って素早く行動に移すことができない。自分の行動を反省し、改善・改革できない。
それが、『モリカケ桜』や『自民党裏金問題』に対する対応になって表れてくる。自分の身を守ろうとする余り、必死に言い訳ばかりして、誰かに責任転嫁しようとする。パニックに陥り、嘘に嘘を積み重ね、資料を捏造・改竄・廃棄する。
それは、敗戦時、日本各地の軍の施設や行政機関で、連合国の責任追及を避けようと膨大な公文書が焼却されたのと同じ。そこでは“悪いこと”を無かったことにして、決して反省することはない。
ネトウヨ・カルトは「特攻は犬死だ。なんの意味もなかった」と言うと激昂する。そこでは大局的な視点で物事を捉えることができない。失敗を失敗と認識し、嘘を嘘と認め、悪いことを悪かったと反省できなければ発展・進歩することはできない。
また「ゆとり教育、ジェンダーフリー、性教育、選択的夫婦別姓、LGBT法、教育格差是正、差別撤廃、ヘイト規制、死刑廃止など」の主張に対して激しく抵抗する。それは不安・恐怖・劣等感・罪悪感・無能感の中で、『権力支配構造・経済成長第一主義・学歴社会・縁故主義・世襲・家父長制・男尊女卑など』(ピラミッド思考)に依存し過ぎているから、その今まで信じて生きてきた支配構造・既得権益・依存行動が否定され、破壊されるのが怖いからに他ならない。
それはネトウヨ・カルトが国家・権力者・教祖に同一化・隷属・服従することで、安心感・満足感・快感(ドーパミン)を得ようとしているから、それを正当化するために、それを否定しようとする意見に対して「自分を攻撃しようとしている。日本を貶めようとしている。自虐史観だ。共産主義者だ。DS(ディープステート)だ。日本人ヘイトだ!」と怒り出す。
つまり保守派は、「国家に服従・隷属する」ことを正当化するために、常に『仮想敵』を作り、不安・恐怖を煽ることで、自分の権力支配構造・独裁体制・既得権益・縁故主義・家族主義を正当化しようとしているのである。
戦後『権力支配構造』の正当化と、『歴史修正主義』という“神話”
戦前は、欧米列強のアジア侵略による脅威に対する不安・恐怖・劣等感の中で、自分たちの権力支配構造・既得権益(明治維新→藩閥政治→軍部独裁体制)を正当化し、強化していった。
しかし、そこで『依存の悪循環(負のスパイラル)』に陥り、自分の欲望(支配欲・被害妄想)の暴走を抑制することができず、終には太平洋戦争(真珠湾攻撃)に踏み切り、破滅する。
そして、日本はポツダム宣言を受託し、アメリカ占領支配のもとで『軍部・政治家・財閥』の支配層(軍部独裁体制)を解体し、民主化を図ろうとするも、その後の『朝鮮戦争』から『米ソ対立』=『東西冷戦』へと移行する過程で、アメリカ軍産複合体支配体制の中に組み入れられてしまい、アメリカ主導のもとで、新しい『権力支配構造』が形成された。
そこでは「反共産主義」のプロパガンダのもと、一度は解体しようとした戦前の『軍部・政治家・財閥』の『権力支配構造(組織)』が、そのまま『自民党・官僚・財界』に再生・移行されてしまった。
そして、そこで、自分達の『権力支配構造』を正当性するために、様々な工作活動が行われた。
その様々な工作活動の1つとして、『歴史修正主義』がある。
その自分の行動(変節・寝返り)を正当化するために、自分達の『権力支配構造・既得権益』=『対米従属・自民党独裁体制』を正当化するために歴史を書き換える。
そこでは、【歴史否認・修正】すると同時に、「共産主義国が侵略しようとしている」という【被害妄想・陰謀論】の中で、マスコミを使って国民の不安・恐怖や憎悪を煽ることで 『自民党・財界・官僚』のトライアングル(『権力支配構造』=『対米従属・自民党独裁体制』=『日本型ファシズム』)を強化しようとしている。
そこでは軍事費は拡大する一方で、教育予算や防災予算は削減されていく。
その結果⋯
そうして仮想敵国の脅威を煽れば煽るほど、日本は軍国主義・全体主義(戦前の大日本帝国)に後戻りし、「国のため」という名目で、米国に土地を差し出し、言い値で兵器を買い続け、結果、米国や支配層は儲かっていく、一方で、日本国はどんどんと疲弊していく。