小川洋子著「人質の朗読会」は、珠玉の短編集です。
決して、波乱万丈の人生ではなくても
誰かに話して聞かせたい「大切な」思い出が
誰しもあるのではないでしょうか?
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ここには、
そんな思い出が8話収められています。
思い出の持ち主は、
塾講師であったり、専業主婦であったり
歯科助手であったり、
インテリアコーディネータであったり・・・。
市井に暮らす、ごく普通の人々です。
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ただ、
この8人には、一つの共通点があります。
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ある旅行会社が企画した南米のある国への団体旅行。
そのツアー先で
観光客と添乗員が乗ったマイクロバスが反政府ゲリラに襲撃され
全員が拉致されてしまいます。
やむなく警察の特殊部隊がアジトに強行突入し、
犯人グループが全員死亡、
犯人が仕掛けていたダイナマイトにより
人質全員が死亡してしまいます。
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人質になっていたのが、この8人なのです。
つまり、
「思い出」の語り手は、すでに亡くなっています。
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このことを踏まえて読み進めていくと、
一話読み終えるたびに
とても感慨深いものが、こみ上げてきます。
一話一話おろそかにはできないという
不思議な感情が芽生えてきます。
初めて味わう、不思議な読書体験でした。
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そして、彼らの体験した「思い出」が、
将来どんな職業を選ぶのかに
大きく「影響している」のも興味深いのです。
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