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"毒"祖母との決別
ステップファミリーが抱える問題のひとつに、異なる家族文化を過ごしてきた人たちが、ある日を境に同じ屋根の下で暮らすことで、構造的な複雑さが生まれてくるということが挙げられると思います。
我が家は、実父と継母と一人っ子という、極めてシンプルでコンパクトなステップファミリーであるけれど、それでも丸四年を迎えようとしている今になっても、その問題をクリアできずにいます。
シンプルでコンパクトと言ったけれど、継母と仲良しの継伯母が、頻繁に泊まりにくるという点では、少し複雑さを増しているかもしれませんが。
⚫︎家族こそ大切にする存在で、できれば自分のだらしない部分は見せたくない(家の中ではだいぶ見られてしまうのですけれど)
⚫︎なんでも協力し合い、許す限り一緒の時間を過ごしたい
これが継母家の家族観。
⚫︎家族なんだから、何の遠慮もせず、素の自分を曝け出したい(なんなら、オナラだって愛おしい)
⚫︎家事をするのは母(または、大人)の仕事であり、こどもは言われた時だけお手伝いをすれば良い
これが実父家の家族観。
今までも、決して押しつけようと思ってきた訳ではなく、私の価値観を話し、どう思う?と話し合いを重ねてきたつもり。
でも、この価値観が真逆だと、日常的にはお互いにストレスが溜まり、上手くいかないことが多いと思うのです。
二日前に、この価値観の違いで、継伯母を不愉快な気持ちにさせてしまったツムギ。
私は、そのズレに気づいていたので、仲裁に入ろうと思ったのだけれど、上手くツムギの理解を得ることができず、二人は見えない壁を作ったまま、姉は自宅に帰っていってしまいました。
これ、今後も続くのかなぁ。
繰り返されるイザコザに嫌気が差した私は、ちゃんと自分から謝ってこられるようになったツムギに、もう一歩深いところで理解をしてほしいと、私の思いを説明しました。
そのやりとりは今日の本題ではないので、割愛させていただくとして、会話を続けていった中で、ツムギがふと、祖母のことを口にしたので、そこからの話をしようと思います。
それまでは、ウチは厳しい!友達の家とは違う!普通の家がいい!と私に涙ながらに訴えていたのに、先日話してくれた家事に纏わる話をもう一度持ち出したのです。
「この間おばあちゃんがね、洗濯は気づいた人がやってるんだよって言ったら、『お父さんも洗濯をするの?洗濯はケイトさんの仕事じゃないの?』って言ったでしょ。なんで、お父さんの心配はするのに、ツムギの心配はしてくれないの?」
「ああ、ツムギちゃん、それは私も感じていたよ。『ツムギも洗濯をするの?』って聞かなかったんだ?って」
実際、私はこの話を親友に話していたときに、「結局、義母は自分の息子しか見ていないのよ」と問題の本質はここにあるんだと主張していたばかりでした。
「ツムギちゃん、おばあちゃんのことが大好きで大切な人だと思っていることと、ツムギちゃんが傷つくことを言われることは別々に考えてもいいことよ」
夫からの話しか聞いていないので、具体的な内容は伏せておきますが、ツムギが一歳半から過ごした家で、何度となく感情的な言葉で孫娘を傷つけてきたことを私は知っていました。
それを知っていながら、もっと早くに二人を引き離すことができなかった夫にも弱さを感じて悔しいのですが、そうは言っても、家族は家族。
これまで、他所者の私が、そこに触れることはありませんでした。
でも、今、ツムギが自ら言葉に出してくれた。
私は、いつになく強い口調で言いました。
「ツムギ、おばあちゃんからの傷つく言葉は全部捨てなさい。もしまた、嫌な思いをすることがあったら、お父さんか私に話しなさい。私たちがツムギの心を守るから」
本当に、私は、この小さな女の子を、傷つけてきたすべてのことから救い出してあげたかったのです。
「おばあちゃんのことは、大好きなままでいいんだよ。だけど、嫌な気持ちになったら、私たちに吐き出しなさい。ツムギががまんすることないの。それが家族だと思うよ」
長く長く封印していた言葉を、ようやく伝える日がきました。
ツムギにとっての救いになったかどうかはわからないけれど、"毒"とは決別できるのではないかと思います。
どうか、"毒"祖母の呪縛から、ツムギが解放されますように。
どうか、これからは、ただ優しい大好きなおばあちゃんとして、ツムギの心に残っていきますように。