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新しい試み

昨日は仕事を休みにして、午前中はPTA、午後は保護者会と、終日学校デイでした。

PTAは、配布物の印刷のお手伝いだったので、人手は足りていたし、仕事を休むほどのことでもなかったのですけれど、日常的に他のママさんと接する機会の少ない私には、少しの時間だろうと、情報収集や悩みの共有に欠かせない時間だと思っています。

実際、急遽参加してくださった本部の役員さんが、「私もこどもが一人だからね、先輩ママさんに聞きまくったわ」と言って、学校行事のことや高校受験のことなど、さまざま教えてくださいました。

学年委員のママさんも、こどもたちの学習の様子をよく知っています。

提出物の内容やら、定期試験の勉強、できていない科目の対策など、私から見るとずいぶんと親が介入している印象。

中学生になったのを機に、勉強しないのは自己責任と、頼ってきたときしか見てあげていない私とは、かなり状況が違うなぁと感じました。

私の中学時代には、母はもういなかったので、そんなものだろうと思っていました。

それでも、午後の保護者会で先生方から伺うこどもたちの様子は、まだまだしっかりとこどもで、特にツムギの担任の先生の話では、4クラスのうち、ツムギのクラスがダントツに幼く、先生から「早く中学生になってください」と未だ言われているそうです。


家に帰って、ツムギに話かけました。

今日感じたことを率直に。

「それでね、先生曰く、すごく二極化しているんですって。自ら、学習ができるようになっている子と、全く危機感を持っていない子と」

ツムギは明らかに後者だねーと、この辺りまでは笑って話を聞いていましたが、「このままじゃ、どんどん差がついて、行ける高校限られちゃうよ?」と具体策に入ろうと話を進めると、ツムギは途端に機嫌を悪くするのでした。

「高校なんて、どこでもいいからどうでもいいよ!

 大学なんて行かないし。絵か歌の専門学校に行くから、5教科はもう捨ててる」

身も蓋もない会話に、私はすぐに感情のコントロールを失って、「そう、わかった。好きにしたらいいよ。それでいいのね?」と言ってしまいました。

「いいよ!」

いつものように、部屋に戻ってしまうツムギ。


私の怒りは、悲しみからきているんだと、ソファで涙が滲み出る自分を客観視しながら思いました。


いつもなら、ここで放置してしまうのですが、悲しみからきている感情を放っておくことはできませんでした。


部屋に行って声をかけると、ツムギも怒りを蓄えていました。

「そっちが、もういいって言ったんじゃん!

 何がいいたいのか曖昧でわかんないよ!

 ツムギの話を聞いて、何を戸惑っていたの?

 どう言う返事をすればよかったわけ?」

会話をしたかっただけだよ。
こんな早くから諦めたような発言をされて、どう考えたらいいかわからなくて戸惑っていたんだよ。
私にだって答えはわからないよ。

だから、会話をしたかったのに。


ああ、思春期のこどもからしたら、ウザいんだろうな。

こんな状態のときに構い続けると、事態は悪化するかもしれないな。

そう思ったけれど、つい先日もツムギは、瞬間的に怒りを露わにした自分を反省したばかりだったので、きっとこの怒りもその類のものだと、私は心を決めました。


コチョコチョコチョコチョ。

姑息な手口だったけれど、笑わせるしかありませんでした。

笑って、笑って、と、祈るような気持ちで、私はツムギの脇腹をくすぐり続けました。

笑った!

我慢しきれず、声を出して笑い始めましたが、私はくすぐる手を止めませんでした。


ようやく落ち着いて話ができる状況になったツムギに、新たな提案をしました。

まずは、学習する習慣を身につけよう。と。


幸い、夫は夜勤で不在にしていたので、ツムギが苦手としているところをザッと確認すると、一緒に本屋さんに行こうと誘いました。

中学生の参考書や問題集は思ったよりたくさんの種類がありましたが、ツムギに相談した上で、10分ドリルを3教科分買って帰ることにしました。

次は100均。

ツムギに好きなノートを選ばせると、色違いでもう一冊買うように言いました。

「それは、私のだからね」


家に戻り、表紙に「学習ノート」ってタイトルを書くよう油性ペンを用意すると、そのタイトルじゃモチベーションが上がらないと却下されました。


スキルアップノート

       2024.10.1〜

KEITO  W/T


サッサと書き上げた私の表紙を覗き込んで、ツムギが聞きました。

「W/Tって何?」

「ツムギと一緒に勉強するから、With Tsumugi だよ」

それを聞いたツムギは、自分のノートに


Tsumugi & Keito


と、書き込みました。


「最初の目標は、学習の習慣を身につけるだからね。できない目標を決めても仕方がないから、必ず守れることを決めよう。
 これから二人で一緒に勉強するの、週何回、一回何分ならできそう?」

ツムギと相談し、週三回、三十分と決めました。


「ツムギちゃんは、まずは次の定期試験がひとつの目標だね」

そう言うとツムギは恥ずかしそうに、

「五教科の合計360点は無理かな?」と聞いてきました。

「そんなことはないよ。達成できてもできなくても、この目標はいいんだよ」

そう言いながら私は、12月に受けようと思っている資格の話を、初めてツムギに打ち明けました。

「この試験はね、三ヶ月以上が合格するための標準的な勉強期間なんだって。今もう、二ヶ月前なの。
 合格率20%ぐらいの難しい試験なんだ。
 でもね、ツムギちゃんと一緒にがんばって勉強してみようと思う」

そうして、それぞれのノートに、必ず守る数値化できる目標と、結果はわからないけれど、達成したい目標を書き込みました。


「明日から、10月だね。
 早速明日から一緒に勉強しようか」

ツムギはヤル気を出したようでした。

どこまでできるかはわからないけれど、がっつりツムギに付き合おう。

どんな成果があげられるかはわからないけれど、楽しんで取り組んでみよう。


年度末の3月31日に家族になった私たちにとって、今日は4年度めの下半期スタート日です。


ツムギも成長したけれど、私もずいぶん成長しました。

ツムギとの勉強を楽しみに、家路を急いでいるのです。

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