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2023年これからどんな経済状況になる?

40年間にわたり金利は低下し、金融市場を支え続けてきた

まず最初に、前回記事「これからインフレはどうなる(インフレと国家債務の関係)」のおさらいから、はじめさせてください。
・1971年:ドルと金の兌換停止(ニクソンショック)
・1972年:第一次オイルショック
・1979年:第二次オイルショック
その結果、モノやサービスに対する紙幣の評価が相対的に下がり、高いインフレが発生しました。

下のグラフは、アメリカ10年国債の超長期の金利の推移です。
この時、アメリカの10年国債の金利は上昇し続け、1981年には15.84%の最高金利を記録しました。

アメリカ10年国債の利回り推移(1962年~2022年)
bloomberg社のデータをもとにフジトミ証券が作成したグラフを筆者が加筆しています。

しかし、その後は、金利は一貫して下げ続け、40年後の2021年に0.3%の史上最低金利を記録しました。この金利の低下は、借金がしやすい環境を作り、40年間にわたり、経済を支援しつづけました。また、株式市場にとっても強い追い風となっていました。

ニューヨークDOW平均株価推移(1987年~2022年)
Dow Jones社が作成したチャートに筆者が加筆しています。 

金利低下と紙幣増刷に支えられた金融商品が、 金利反転に伴い下落し始めた


上記のグラフは、ニューヨークDOW平均株価の推移です。アメリカ10年国債が15.84%の最高金利をつけた1981年当時、ニューヨークDOW平均株価は900ドル程度でした。これが41年後の2022年には史上最高値36799ドルを記録しています。株価は約40倍に上昇したことになります。これは、41年間にわたり、一度もマイナスすることなく、毎年10%弱の値上がりが続いてようやく到達できる水準です。この間のアメリカの成長率が2%~4%程度であったことを考えると、その差は、バブルであった可能性があります。

前回記事「これからインフレはどうなる(インフレと国家債務の関係)」でも触れましたが、2022年時点で先進国の政府債務は、第二次世界大戦直後の水準に比肩する高い水準となっています。そして、これを中央銀行が、大量の紙幣を発行することで支えています。大量に発行された紙幣は、これまで株式市場などの金融市場に吸収されてきましたが、最近になって、紙幣があふれ出し、インフレが発生しています。米(FRB)欧(ECB)の中央銀行は、金利を引き上げ、経済にブレーキをかけることで、インフレを抑え込もうとしていますが、これが、金融市場の下落を引き起こし、行き場を失った紙幣が、より高いインフレを引き起こす可能性が出てきています。

通常、リスク事象が発生すると株式市場が下落し、安全資産である国債に資金は逃避します。しかし、現在は中央銀行の利上げにより国債の金利が上昇(=国債の価格が下落)しており、株式市場からの逃避資金は、国債市場に逃避するわけにはいきません。株式投資は価格下落でダメ、国債投資も価格下落でダメ、銀行預金(紙幣)もインフレでダメ、このような状況は、非常に特殊な状況で、世界恐慌のような経済のクラッシュの際に発生します。

ではこのようなときには、どのような資産を選択すべきなのでしょうか。次回の記事では、このあたりについて、検討してみたいと思います。

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