つれないつり(6) ハネ
前回の釣行の二日後、また釣りににやってきた。
釣れなかったことがあまりにも悔しかった。
そして何より、釣れなかったが釣れることがわかったのだ。
今回は誰も誘わず、独りできた。
今夜も街灯が暗い水面に浮かぶたくさんの波紋を浮かび出している。
水面にじっと目を凝らすと相変わらず、その細い体から考えられないような速度でバチがスイスイと水面を泳いでいる。
前にSが釣ったポイントを丹念に攻める。小さなアタリはあるものの魚はノラない。しばらくすると、全く反応がなくなった。Sが使ってい