つれないつり(12) ヤマメ
真名川の真ん中を歩く。前方にまっすぐ川が伸びている。上には広い空が広がっている。瀬に陽の光があたり、つややかな丸石が光を帯びる。前方の大きな石にむかってスピナーを投げる。水中で光り輝く金色のブレードはそのまま下流に流されていく。パクンと魚が食った。少しだけ重みを感じる。流れの中から銀色のものが出てくる。小指ほどの小さなヤマメだ。体に合わない大きな針をくわえている。体全体は銀色で下半分にだけうっすらとオレンジが塗られている。縦の楕円がエラの少し後ろから尾びれまで配置されている。