見出し画像

これからの教育に必要なこと【「競争」から「共創」へ】

時代の大展開は,予想を遙かに超えるスピードで進んでいます.私は大学という,社会と特有の距離感をもつ環境に籍を置いているにも関わらず,このことが実感できるため,よほどのことだと思われます.この時代の展開に付随して,社会の価値観が変わる今,一番の影響を受けるのは多感な若い人(大学生)かもしれません.

学生は,スマートフォンやタブレットの情報端末を巧みに操り情報収集に必死になり,生きていく上で何が自分にとって重要な情報か,または不必要かを,自分の価値観と照らし合わせる処理を短時間で且つ繰り返し行っているのです.

この価値観が曖昧なものであると,すべてを受け入れることにもなり,一説にはネット依存症や注意多動性障害との関連も示唆されています.そのため我々は日々の勉学を通して,価値観を築き上げる必要性を学生に説くのですが,あまりに抽象的な言葉は,学生に受け入れられないのが現状です.

私の研究室には,学部4年生と大学院生16名が在籍しております.彼らのほとんどは,他の機関と共同で研究を進めています.課題や問題について相手との議論が必要となるのですが,議論の際の情報量に重きを置くように指導しています.便利なネット環境に頼るのではなく直接会い,視覚や聴覚を十分に活用して,多くの情報をやりとりすると良いコミュニケーションが生まれ,局面が好転するかもしれません.情報機器はムーアの法則を超えるスピードで急速に発展を遂げましたが,人の本質は何も変わらないのです.こんな時代だからこそ学生には不変なものの価値を見いだして欲しいと思っています.

現代は多様化,多極化を求めています.その中で,これからは「競争」から「共創」へ移りゆくのではないかと感じています(共創の中に競争は内包化されている).かつての日本の電機メーカやアメリカが独り勝ちしていた時代はとうに終焉を向かえ,現在はすべてが連携し合い,全体でなくとも一部ででも共創なくして社会は成り立たないのが現実です.より良い共創社会に,働き方改革を含め,日本の教育も変革する時期かと感じています.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?