BRASSERIE LIPP(ブラッスリー・リップ) | パリ6区
パリ6区、サンジェルマン・デ・プレ界隈をご存知でしょうか?
この地区はパリの中でも地価や家賃等が最も高い高級住宅街の一つであり、また商業地の一つでもあります。
サンジェルマン・デ・プレ地区の"心臓部"とされている、地区の中心にはこの地区と同名の教会 サン・ジェルマン・デ・プレ教会が、その南側にはサン・シュルピス教会が位置しています。
第二次世界大戦後、サン・ジェルマン・デ・プレ地区はパリの知的・文化活動の一大中心地となり、多くの哲学者、著述家、俳優、映画監督、音楽家などの文化人や、ボヘミアンが連日ナイトクラブ、ブラッスリーやカフェなどで楽しんだとされています。
とくに有名なのは「レ・ドゥ・マゴ」、「カフェ・ド・フロール」で、一時代を築いた芸術家や文豪などはここで議論をしたり、新しい作品へのイメージを作っていたそう。
2021年の現在でもこの二つのカフェは健在で、多くの観光客で常に賑わっており、週末の晴れの日のテラスはコロナを感じさせない人の多さ(汗)です。
そんな界隈で、忘れてはならない古くから存在するブラッスリーがあります。
BRASSERIE LIPP(ブラッスリー・リップ)
あの文豪ヘミングウェイが、パリ滞在中に原稿料が入ると必ず食事に行っていたといわれている歴史あるブラッスリーです。
このブラッスリーは、普仏戦争の際にアルザス=ロレーヌ地方からパリに移住したLéonard Lipp(レオナール・リップ)氏が1880年に創業しました。
一昔前は高級ブラッスリーといった雰囲気で、常に行列が出来るため有名人であっても並ばなくてはならない…そして予約は受け付けていない…といった感じでしたが、現在は時代の流れのせいか一部の常連は足繁く通ってるが行列が出来るほどではない…ようです。
ホームページも日本語に対応しており、そこから予約ができ、料理の写真も見られるようになっています。
まずビールを飲みながらメニューを決めて…
ヘミングウェイも飲んだとされるここのビール…歴史を感じます。
私が頼んだのは、
Salade LIPP avec thon(リップ風サラダ、ツナ添え)
このサラダ、ニース風に見えますが、このラデッシュの飾り切りが特徴のような気がします。
そしてメインは、
Choucroute speciale LIPP, au jarret de porc(リップスペシャリテ、シュークルート、豚のすね肉添え)
リップはドイツに隣接した地域・アルザス地方から来たブラッスリーなので、アルザス料理がスペシャリテ(名産料理)です。
なぜリップ風かと言うと、普通ならジャガイモやソーセージ、他の肉類もシュークルートと一緒に火を入れて、ほのかに酸味などを入れたり、ほかの素材の味をシュークルートに纏わせるのですが、ここは別々に火を入れ、各素材を味わってもらいたいということみたいです。
最後の締めには、
Mille-feuille(ミルフイユ)
これはもうクラシックど真ん中ですね。このカスタードクリームの量がフランスを感じさせてくれます。
サービスは、サービス業一本で生きてきたような経験豊富そうなおじいちゃん達が、黒スーツに白いタブリエ(エプロン)をつけ手入れされた革靴を履き、バシッときめています。そんなムッシュー達が優雅にサービスをしてくれます。
ラフな格好で行くと何となく場違いな感じがしてしまいますが、昔のフランスの雰囲気を味わいたいのであれば、リップはお薦めです。
コロナ禍で営業が出来ないなんてこともありましたが、いつまでもパリの歴史を守り、感じさせてくれるような存在であって欲しい限りです。