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徒然日勤

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エッセイや短編小説など、徒然なるままに更新しています。
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#別れ

消えた君と残り香

消えた君と残り香

ふぅ、と、一息ついて僕は少しだけカフェオレを口に含んだ。煙草は相変わらず美味いか不味いかの判断ができていない。喫煙はクセのようなもので、毎朝7時に目が覚めるだとか、脱いだ靴は揃えるだとか、そういう類のものだ。

ある朝僕は気がついた。目覚めなければ死んでいるのと同じだ。植物状態というやつである。点滴で栄養補給をしなければ死んでしまう。目覚めなければいいのにと、何度もそんな朝を迎えては、目覚めてしま

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