組織が拡大出来ないのは何故?
人がすぐ辞める。クレームが多い。常に忙しい。
これから組織化したり、現組織を拡大しようと考えている経営者が直面する問題点ですね。
売上や利益が出ていて対外的には上手くいっているように見えても「人材定着率」「顧客満足度」「業務量」に悩む経営者は意外と多いんです。
また、その弊害として「自社にノウハウが溜まらない」「サポート不足で解約率が高い」「評判が悪く新規獲得コストが上がる」それらを要因として結果的に「組織化が出来ずスケールしない」状態に陥っている事が多いでしょう。
【解決するための前提知識】
素人向けの内容なので今更かも知れませんが、これらを解決するには「間接部門」「直接部門」またはその比率を示す「直間比率」の理解が必要です。また、経営者自身が「営業脳」に寄り過ぎないことも必要です。
【直間比率とは】
ざっくり言うと営業・製造・開発などの売上に直接影響を与える部門が「直接部門」で、経理・法務・人事・労務・カスタマーサポートなど間接的に売上に影響を与える部門を「間接部門」と言います。で「直間比率」とは組織構成の直接間接割合を示します。商品やビジネスモデルなどによって異なりますが、一般的に適正な比率は(直)7:(間)3~(直)9:(間)1と言われています。
【個人や小規模組織との違い】
小規模の段階では「全部自分で行う、直接部門や営業に全て兼務させる」で上手く回るかも知れません。ただし取引数が増えたり、それに纏わる間接作業が増えれば増える程に対応が徐々に厳しくなります。
顧客数増に対して「作業量を足し算」的に考える方も居ますが、実際は「ある一定数を超えた段階からは作業務量は乗算」的に増えます。直接部門が兼務してては売上・顧客満足度・従業員満足度のいずれかを諦める必要が出てきます。
【とりあえず外注・業務委託は解決に成らない】
当然外部へアウトソーシングする事は可能です。が各業務に対する状況把握する前にとりあえずで行うのはおススメ出来ません。というのも現場から忙しくて回らないと言われ、経営者が『安易に外注してみては?』と外注費を増やしてみたとします。
経営者側からすると「人件費&外注費」の二重コストを支払っている感覚ですが、実際蓋を開けてみると思ったほどの効果は得られないでしょう。
何故なら「社内人材の外部に対する応対コスト」を計算していないからです。
【間接部門に対する考え方で変わる】
直接的に売上に寄与しないからと、そもそも経営陣が「間接部門」の位置づけを「コストと見ているかどうか」で組織構築の成否が変わります。本当にコストならば圧縮するのに越した事はないでしょう。
ただし実際には上記で挙げたように間接部門とは「間接的に売上に影響を与える部門」です。必要な人員数は確保し、バックを円滑に回す事で「目先で利益率を上げる」よりも「売上の最大化」を狙えるでしょう。
利益があっても売上が縮小傾向だと既に削れないところから削るしかなく選択肢は多くないですが、売上が上昇傾向であれば取れる手段自体がたくさんあります。
【直間比率が高いと利益率は下がる】
当然間接部門の比率が上がれば、利益率は下がります。ただし中長期的に安定した組織運用が出来るようになります。
間接部門をコストとして考えない
適正な直観比率にする
考え無しにすぐ外注は辞める
外注で全部解決すると考えない
この事によって得られる恩恵はとても大きいです。
人員圧縮による異常な利益率は良く見ますが「誰かの我慢の上に成り立っている」というケースが一番最悪です。その我慢してくれている相手が顧客なのか、従業員なのかによりますが、多くの場合は長く続きません。
【顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)】
業務量多い → 人が辞める → 顧客満足度が下がる → 業務量多い → 人が辞める
CSとESが密接な関係にあるのはご存じの方も多いでしょうが、何も考えずに拡大したり、拡大せずに取引数が多くなるとまさにこんな感じになります。負のループの出来上がりです。
売上を作るノウハウがあるのに組織規模をスケール出来ないという方は居ますが、考え方を変えるだけで圧倒的に大きい組織規模まで成長している事例があるので本当にもったい無いです。
【こう考えてみよう】
人が辞めるサイクルを止めれば、採用費が安くなる
CSが上がるとESも相対的に向上
兼業より専任の方が速度が速く、質も高い
サポート充実によるクロスセル、リプレイス、アップセルの期待値向上
【最後に】
長々と書きましたが、経営者が利益至上主義、売上至上主義に寄り過ぎてしまうと見落としがちな事です。
人員圧縮による異常な利益率は良く見ますが「誰かの我慢の上に成り立っている」というケースが一番最悪です。その我慢してくれている相手が顧客なのか、従業員なのかによりますが、多くの場合は長く続きません。
企業において至上命題は「利益を上げる事」である事は否定しませんが、当然そのために準備期間も必要です。
思った通りに組織をスケール出来ていない場合は一度立ち止まって、人員のバランスや1人@業務量などを見直しから始めて地盤を固めてみても良いと思います。