多様な学びの場と学校教育(2)
多様な学びの場を選べない
今日も私のnoteにお立ち寄りいただきありがとうございます。
「多様な学びの場」ということを、よく聞くようになりました。
小・中学生で不登校になった子ども達であれば、教育支援センター、オルタナティブスクール、フリースクール、ホームスクールなど、種類は限られていますが、それでも、20年前、30年前に比べれば、数は増えたことは間違いありません。
ところが、子ども達が通っているかと言われると、そうでないことも多いことは、よく知られています。
教育支援センターは、市町村教育委員会が実施していた「適応指導教室」が、名前を変え、システムも少し変えて、不登校や発達障害の子ども達に学習やイベントなどを通じて、元気になって学習もしていけるようにと行っている「市町村立のフリースクール」のようなものです。
ここは、通っている子どもも多く、ある一定の人数がいるのですが、ここに通えない子どももたくさんいます。
オルタナティブスクールは、ヨーロッパやアメリカの哲学的思想を基盤に発展した「オルタナティブ教育」を取り入れた学校のことであり、日本では、シュタイナー教育、モンテッソーリ教育、サドベリースクール、イエナ・プラン、フレネ教育、サマーヒルスクールなどが知られています。
フリースクールやホームスクールを、オルタナティブスクールに入れる考えもありますが、オルタナティブ教育を取り入れているところを「オルタナティブスクール」として、今はフリースクール、ホームスクールはここには含まないものとします。
このオルタナティブスクールは、その教育方針にあう方だけが通うため、一定数以上にはなりません。
また、NPO法人であっても、学費が私立中学、高校並みにかかることから、私立高校の代わりの選択肢というくらいの考えか、経済的に負担できるご家族でなければ通わせることができないこともあり、それほど多くの方が通えるところではないと思います。
フリースクールは、本当にいろいろな種類のフリースクールがあります。
どういうものをフリースクールというかについて、明確な基準や規定があるわけではありません。
ですから、様々な考え方のもと、運営されています。
現在では、小学校・中学校からフリースクールに通うことで、学校に通ったのと同じように、それを「出席扱い」と認定するということが、最近増えてきています。
ただ、これも明確な基準があるわけでなく、学校長の裁量に任されているのが現状です。
ホームスクールは学校に通わずに家庭や地域を拠点に、親や地域の大人が子どもを教育する形式のことを意味しています。
ご家族や地域の大人が支援するということなのですが、ご家族がお仕事がある場合はなかなかできず、地域のつながりも薄くなった現在では、都市部ではなかなか難しい点があることも事実です。
こういう民間教育にどれだけの子どもが通っているかという統計資料や調査はほとんどなく、オルタナティブスクール、ホームスクール以外の民間教育であるフリースクールでは、運営のためにはどうしても一定金額以上の費用がかかるため、通わせにくくなり、実際には、一部のフリースクールを除き、あまり、多くの子ども達が通えず、運営が厳しい状況のところが多いことも事実なのです。
どうして、子ども達が通いにくいかということを考えてみると、
・人に見られたくない
・人の視線が怖い
・人と話したくない
・人にどう思われるか不安
・外にに出かけたくない
・何をしていいかわからない
・まだ何もしたくない
など
こういうことを子ども達が言います。
ご家族側から考えてみると、
・子どもが動いてくれない
・送り迎えができない
・通わせた後どうなるかわからない
・遊ぶだけのところには通わせたくない
・少しは学習もして欲しい
・学校の出席扱い認定をしてもらえるのかわからない
・費用が高く、通わなかったら費用が無駄になる
など
ご家族としては、ずっと家にいて欲しくはないと思いながら、だからと言って、遊ぶだけにお金を出すのも考えもの、と思われるご家族もいらっしゃることは、気持ちとしてはわからなくもありません。
ここで、子ども達の考え、ご家族の思いは、どれもよくわかるものです。
そう思うことも、理解できます。
だから、必ずしもどこかに通うことが良いかどうかは、その子どもによって異なります。
ただ、いろいろな民間教育があるにもかかわらず、動けないことは、少し困ったことなのです。
このような状況で、「多様な学びの場」で大きな問題になることが、「15歳の高校受験」です。
この「高校受験」をどうするか、と言ったときに、ご家族は「何とか高校くらいは行ってほしい」という思いが出てきます。
子ども達にも、当然あります。
行けるか、行けないかは別として、高校くらいは行きたいと思うのです。
ですので、高校受験を考え始めると、問題になるのが「内申点」の問題なのです。
私立の通信制高校に通うのであれば、「内申点」はそれほど気にしなくていいのですが、全日制高校の公立・私立を受験したいと考えると、「内申点」について考えなければならなくなります。
小学校・中学校に通えなかった子どもが、高校では学校生活を楽しみたいと、全日制を希望した場合、この内申点問題をクリアできないのです。
なぜなら、「内申点」をつけてもらうためには、学校に通うか、通っているのと同じ扱いにならなければ、「内申点」がつかないからです。
これが、民間教育としてのフリースクール、ホームスクールを選択しにくくしていることが出てきています。
結局のところ、小中学校で不登校になった場合、この「15歳の壁」をどのように乗り越えていくのかを、真剣に考えないといけないことになってしまうのです。
この「15歳の壁」に対してどうするかを、次回は考えていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。