子どもも他人も変えられない(10)
不登校の子どもが元気になる秘訣
不登校の子どもが元気になる秘訣は、「自己存在感」を持てることによって「自分を信じる」ことができるようになることだと、前回、お伝えしました。
このことは、大人にも当てはまることだと私は考えています。
もっと言えば、全ての人に当てはまるのではないかとさえ思っています。
自分が存在しても良い、自分は今、ここに存在していて良いのだと認識できている人は、本当に少ないと私は思います。
どんなに辛い状況であっても、多額の借金を抱えていても、多くの方に迷惑をかける可能性がある方でも、学校に行けない子どもでも、いじめられている子どもでも、今、ここに、自分は存在して良い、と思えれば、自殺は減るのです。
1年間に2万人以上が自殺でなくなる(厚生労働省令和4年人口動態統計月報年計(概数)の概況より)ことを防ぐことができるのではないかと思います。
話を戻すと、学校に通えない子ども達が元気になる秘訣は、今、ここに、自分は存在して良いのだという、自己存在感をしっかりと持つことができることです。
そのために、どうしたらいいのか、ということですが、学校に行こうが行くまいが、お母様が、我が子が「今、ここに、いる」ことを喜び、生きていてくれていることに感謝し、必ず元気になると「信じる」ことです。
何かをしなくてはいけないのではありません。
ただ、我が子の存在を喜び、感謝して、子どもが元気になることを、ただ、ただ、信じるだけです。
そんなことで元気になるのか?と疑問に思われるかもしれませんし、胡散臭いと思われる方もいらっしゃるでしょう。
その方に反対にお聞きします。
あなたは、お子さんが元気になると信じていないのですか?
目の前にいて、生きていてくれることを喜べないのですか?
そんな薄情な親なのですか?
違いますよね?
でも、学校に行っていない、何もしていないお子さんには、生きていてくれてありがとうとは思えませんか?
思えないかもしれませんね。
それは、そうかもしれないのです。
そのことを責めているのではありません。
そうなのです。
いつの日か、私たち大人は、子ども達が、
存在して当たり前、
学校に行って当たり前、
受験して進学して当たり前、
になっています。
そんなわけありません。
我が子が生まれたとき、うれしくてうれしくて仕方がなかったことなど、どこかにおいてきてしまったのです。
我が子が小さいときに突然、高熱を出してびっくりしてあたふたした記憶など、もうどこかに行ってしまったのです。
ご夫婦、パートナーとの愛情から結ばれた結果、誕生した命を、いつのまにか当たり前のように、大人の私たちは思っています。
そうではありませんよね。
何かをしたから尊いのではありません。
子どもは、何もしなくても尊い存在だと、私は思います。
「子どもは国の宝」だと言っていた昭和の時代が懐かしく思います。
「子どもは国の宝」だと言わなくなって、日本経済の成長は止まったのです。
でも、私は今でも「子どもは国の宝」だと信じています。
だからこそ、そう思わなくなった大人が反省をし、もう一度、自分達こそ、自己存在感が持てているかどうか見直し、学び直す必要があると、私は思っています。