Book125『指揮者は何を考えているか』ジョン・マウチェリ

タイトル通り、アメリカで指揮者を務める作者が指揮者という存在について様々な角度から解説している本。

私は指揮経験はおろかクラシック音楽も全くズブの素人であるが、職業としての指揮者という存在が非常に興味深く、音楽知識なしでも楽しめた。

音楽を発信する側と受け止める側の間に立ち、全てを導く役割。だが、一方で作者は『指揮者はリーダーシップを発揮できなければいけないが、指揮者でいられるか決めるのはオーケストラである』とも記している。仕事で様々な機能のチームを有機的に動かして成果を得ることもorchestrate というが、指揮者の黄金律はビジネスにも非常に近しいと感じた。

特にマーケティング関連の仕事の捉え方とは近く、最終的にはどんなに苦労して音楽を解釈し、チームを束ねて満足いく音楽を発信しても『聴き手がどう受け止めたのかが真実』である、という点もまさに合致する。全体を見渡し、演奏者の一歩先を常にイメージし、最適な音を作り出す。とても高度だがその分作り出せたときの喜びは言葉にならないものを手に入れられそうな職業そうだ。


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