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note創作大賞のビジネス部門で入選したきっかけ話
こんにちは、unnameの代表取締役の宮脇啓輔です。
今回はちょっと趣向を変えて、先日入選したnote創作大賞2024についてのミニインタビュー形式でお送りします。(聞き手:澤山モッツァレラ)
創作大賞2024とは
あらゆるジャンルの作品を対象にした、日本最大級の創作コンテストです。受賞作は各メディアにて、書籍化、連載化、映像化などを目指します。
2024年4月23日〜7月23日に開催した「創作大賞2024」には、52,750作品のご応募をいただきました。中間選考を通過した305作品を各メディアとnote運営事務局で選考し、各メディア賞、note賞、入選、読者賞が決定いたしました。「#創作大賞感想」企画のベストレビュアー賞とあわせて、ここに発表いたします。
あらためて、たくさんの作品を投稿し、コンテストを盛り上げていただき、ありがとうございました!
偶然が重なった創作大賞へのエントリー
――まずはnote創作大賞2024、入選おめでとうございます。
宮脇:ありがとうございます(笑)。受賞自体は偶然で、完全に「棚からぼた餅」だと思ってます。ただ、この言葉の本来の意味は「棚の下にいないと、ぼた餅は降ってこない」というものらしいですね。今回の受賞は創作大賞を狙って書いたわけではないですが、「質の高い情報発信を続けてきた先」の偶然なので、必然の要素も少しはあるのかなと思っています。
確かに運が良かったのですが、それだけでなく日々の地道な発信活動があってこそ幸運を掴めたというか。それでも、このような形で評価していただけるとは思っていなかったので、素直にうれしいですね。
――エントリーのきっかけを教えていただけますか?
宮脇:実は、創作大賞のことは当初全く知らなかったんです。今回のnoteを書いた時に、たまたま日経COMEMO(コメモ)の「#仕事のコツ」という企画があるのを知っていて、そちらにエントリーしていました。そのときも「ハッシュタグを付けるだけでエントリーできるなら、やってみよう」くらいの軽い気持ちだったんです。
その後、知人とのメッセンジャーでのやり取りの中で、たまたまnote創作大賞の話が出てきて。「最近のnoteがXでバズっていたので、創作大賞でも引っかかるんじゃない?」と言われて。調べてみたらこちらもハッシュタグでエントリーできると分かったので、参加してみることにしました。
正直なところ、どんな賞なのかもあまり把握していない状態でのエントリーでした。でも、基本そんな感じなのですが、リスクとデメリットがなければ基本やってみるというスタンスで、今回もエントリーしました。
仕事現場から生まれる示唆を、鮮度高く言語化
――このnoteを執筆した背景について教えていただけますか?
宮脇:もともとは創作大賞とは関係なく、社内のSlackでさまざまな発信をしていたんです。それを見た弊社のPR担当・澤山モッツァレラさんから「せっかく社内でいいことを言っているんだから、もうちょっと毒を抜いて外に発信しましょう」と言われたのがきっかけでした。それで、月10本くらいのペースでXに割と長文の投稿していました。
その中で、フォロワーがほとんどいなかった頃に100いいねくらいリアクションがついた投稿があって。それが「頭の回転の速さ」というテーマについての投稿だったのですが、それを改めて書いたところXでバズりました。その投稿を、もう少し深掘りしてnoteでも書いてみたら、こちらでも大きな反響があったという経緯ですね。
他に印象に残っている記事の一つが、「なぜ安易に了解してはいけないのか」というタイトルの記事です。これは元々Xでの投稿が800いいねほど集めたもので、それをnoteで深掘りして書いたところ、4.6万インプレッションもの反響をいただきました。
この経験から「Xでの反応の良い内容を、noteでより深く掘り下げ、図解も交えて解説する」という発信パターンが確立されていきました。
「頭の回転が速い」とは「累積思考量が多い」ことだと思います。「過去に似たようなテーマについて考えたことがある」から、すぐに自分の意見が出てくるし、回転が速く見える。考えたことがないと、その場で思考してしまい、遅く見える。そういうことだと思っています。…
— 宮脇 啓輔 / unname 代表取締役 / 総合マーケティングカンパニー (@keisuke_unname) March 21, 2024
生成AIを活用し、執筆1歩目の心理的ハードルを緩和
――記事制作のプロセスについて、具体的に教えていただけますか?
宮脇:基本的に着想は、マーケティング支援の現場や、メンバーとの1on1、社内Slackでのフィードバックの中でヒントが生まれることが多いです。特に1on1では、その人に合った言い回しや具体例を真剣に考えてフィードバックするので、おのずと人とは違った言い回しが生まれるのだと思っています。
世の中にある既存の言葉を使うと、どうしても抽象的で汎用的になってしまい、本当に伝えたいことが相手に届かないことがあります。だからこそ、各メンバーに対して「この人にはこういう言い方、こういう具体例を示せば伝わるのでは」というように、個別具体的なアプローチを心がけています。
実際のプロセスとしては、業務の中で示唆が得られ、それをストックしていく。実際のフローは下記の通りです。
①ストックされたネタを週1回のZoomで録画しながらインタビュー
↓
②いったん生成AIで粗く書き起こして澤山さんがリライト、
↓
③私がチェック・修正を行い投稿
という流れです。このプロセスで毎月5~10本程度の長文をXで投稿をしていました。
「機会損失」は、機会を得ることでしか気づけないという話。いろんな人々の消極的な意思決定を目の当たりにした時に「手を挙げないことで何を失うか、認識していますか?」と思うことが少なくありません。機会損失は「将来得られる可能性があった機会が消失するだけ」なので、今何も失うことがない。な…
— 宮脇 啓輔 / unname 代表取締役 / 総合マーケティングカンパニー (@keisuke_unname) March 27, 2024
排除すべき無駄と、無駄っぽい重要なものを分けて考えようというお話。よく仕事において「移動時間はムダ」「リモートワークのほうが効率がいい」なんて言われることが多いですが、本当にそうなのでしょうか?もちろん出張先からのMTGや、子育てによるリモートワークなど、都合のいい面はある一方、移…
— 宮脇 啓輔 / unname 代表取締役 / 総合マーケティングカンパニー (@keisuke_unname) April 23, 2024
たたき台は『叩ける余白があること』が重要です。たたき台自体の必要性は説明するまでもないですが、「どんなたたき台なら良いか」は意外と議論されてないように思います。真面目な人ほど完成度の高く、仕上がったものを出してきたりしますが、たたき台は「議論の余地があり、適度に叩きやすいこと」が…
— 宮脇 啓輔 / unname 代表取締役 / 総合マーケティングカンパニー (@keisuke_unname) June 21, 2024
特に生成AIの活用は、記事作成の最初の心理的ハードルを下げるのに役立っています。「一人で全部やらなければ」と思うと大変なんですが、AIをうまく使うことで質の高いコンテンツを効率的に生み出せています。
――Xとnoteでのコンテンツは、どのように使い分けているのでしょうか?
宮脇:最近ではXが画像付き投稿(短文)、noteは長文という組み合わせが多いですね。Xのプラットフォームで大きな変化を感じています。以前は長文投稿でも反応を得やすかったのですが、最近はアルゴリズムの変更があったのか、画像付きの投稿の方が注目を集めやすくなっています。
特に興味深いのは、当初インナーブランディングを目的として投稿していたカルチャーブックの内容が、予想以上に反響を呼んでいるという点です。このように、プラットフォームの特性や変化に応じて、コンテンツの出し方を柔軟に調整しています。
ビジネスシーンにおける会話で、「結論から話せ」「構造化して簡潔に話せ」と同じくらい大切なのが、枕詞を巧みに扱うことです。
— 宮脇 啓輔 / unname 代表取締役 / 総合マーケティングカンパニー (@keisuke_unname) July 24, 2024
枕詞には「会話の形式を伝える」ものと、「発言の期待値を調整する」ものがあり、これをうまく付け加えるだけで、聞き手の情報処理負荷を下げることができます。 pic.twitter.com/H0rkgjHIcG
――noteを書くことでどのようなメリットを感じていますか?
宮脇:大きく3つあります。1つ目は、「これ読んでおいて」と共有できる記事ができること。そしてそれが、自社内だけでなく、他社のSlackにも共有されていると信じています。いわゆるダークソーシャルでの伝播を期待しています。
2つ目は自分の代表作ができること。あ、「あのnote書いた人ね」というやつです。今回は創作大賞で入選させていただいたので、完全にここは達成できました。noteさんに大感謝です。笑
3つ目はnoteを書くことで感じる適度なプレッシャーによって、言語化力が磨かれることです。話す分には多少ロジカルエラーが起きていても気にならないですが、文字にするとそれは許容されず、かなり気合を入れる必要があります。
そして、noteはXと比べてストック型のメディアなので、より丁寧に書く必要があります。Xだと少しラフな投稿でも許されますが、noteではそういうわけにはいきません。その分真剣に言葉と向き合うので、言語化力と構成力を上げるトレーニングになっています。また、
また、興味深い発見として、Xでバズった投稿は「ミーハーな人がめちゃくちゃ拡散してくれる」傾向がありますが、noteの場合はビジネス界で実力のある人たちが真剣に読んでシェアしてくれる。つまり、より本質的な部分で評価されている感覚があります。Xはハックができるが、noteはハックができず、中身で勝負しないといけないなと痛感しています。
これは非常に重要な違いだと感じています。Xでの拡散は一時的な盛り上がりを生むかもしれませんが、noteでの評価は、より持続的で本質的な価値を持っているように思います。
独自の言い回しが生まれる理由
――宮脇さんの記事には独特の言い回しが多いと感じますが、それはなぜでしょうか?
宮脇:最初はたまたまだったのですが、最近は意図的に本からのインスピレーションを避けているんです。自分は本から学ぶより、経験や体験などの一次情報から学んだ方がいいタイプだと最近メタ認知できました。
確かに本から学ぶ方が早いのですが、そうすると著者の言葉に引っ張られてしまい、独自の言い回しが出てこなくなる。また既存の本の受け売りになってしまうと、言語化するモチベーションも湧きにくい。それよりも、実際の現場で課題に向き合い、必死に解決しようとする中から生まれた言葉の方が強いんです。
ドラッカーの本を読んで良いと思った人たちよりも、現場から得られた言葉の方が戦闘力が強い。なぜなら、経験に基づく解像度の高い説明を、熱量を持って語れるからです。自分自身の経験から紡ぎ出された言葉こそが、本当の意味で価値があるものだと考えています。
――記事を書く中で得られた気づきはありますか?
宮脇:noteでの発信には一種の「オフィシャル感」があるということですね。Xの投稿は時として「コンテンツの一人歩き」が起きやすく、投稿者の意図とは異なる文脈で引用されることもあります。Xでは「全然そんな主張していないのに」と思うシーンも多々ありますが、noteの場合は、書き手の人格ごと相手に届くような感覚があります。変な引用をされることも少なく、より本質的なコミュニケーションが可能になります。
反響は嬉しいが「目的にしない、一喜一憂しない」
――今後のnoteにおける発信活動はどのように考えていらっしゃいますか?
宮脇:ちょっと欲張りですが個人的には3つの目標があります。来年の創作大賞でメディア賞を取ること、書籍の出版、そして日経COMEMOでのKOLに選ばれることです。これらは単なる野望ではなく、これまでの発信活動の自然な延長線上にあるものとして捉えています。
会社としては、生成AIを活用して、より多くの人が発信できる環境を作っていきたいと考えています。時間がなくて書けないという人は多いと思います。でも、生成AIを使ったり、誰かとタッグを組んだりすることで、小さな成功体験を積み重ねることができる。
これは筋トレを一人でやるより、パーソナルトレーナーとジムに行った方が続くのと同じ理論です。誰かの時間を使って作っているという意識があれば、より良いものを作ろうという緊張感とモチベーションが生まれます。そういった「最初の一歩」をサポートできる仕組みを作っていければと思っています。
――「週1でnote更新」のような定量的な目標設定については、どうお考えですか?
宮脇:個人的には微妙だと思いますね。仕事に本気で向き合う中で、自然と言葉が生まれてくるものだと思うからです。ルーチン的なアウトプットではなく、実際の仕事の中から生まれた気づきや発見を共有していく。アウトプットするためには、アウトプットの時間を増やすのではなく、インプットを増やす方が重要である。それが私の考える理想的な発信の形です。noteを書くことが本職ではないという前提でもありますが。
特に、ビジネスコンテンツの場合、単なるエッセイとは異なり、実際の経験や知見に基づいた価値ある情報を提供する必要があります。そのために必要なのは、決まった期間での投稿ノルマではなく、本質的な価値を生み出すための時間と努力だと考えています。なので、仕事でいい体験や成果を積まないといい言葉は生まれないので、いいnoteを書きたければ、いい仕事をしていくしかないと思っています。
――最後に、これから情報発信を始めようと考えている人へのアドバイスをお願いします。
宮脇:重要なのは、最初から完璧を目指さないことと、自分の作品に期待しすぎないことです。生成AIやチームでの協業など、利用できるツールや方法は様々あります。それらを上手く活用しながら、まずは小さな成功体験を積み重ねていくことをお勧めします。ただし、自分では「かなり良い内容かけた!!」と思ってもあんまり反響がないことがあるので、反響をもらうことを目的とせず、一喜一憂しすぎず積み重ねていきましょう。
また、本や他の媒体からの引用に頼るのではなく、自分自身の経験や気づきを大切にすることも重要です。たとえそれが小さなことでも、実際の経験に基づくインサイトは、必ず誰かの役に立つはずです。
そして、形式的なノルマに縛られるのではなく、本当に価値のある情報を、適切なタイミングで発信していく。そんな姿勢を大切にしていただければと思います。
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