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趣深い日本の色彩 #25 紅梅色
こんばんは。グラフィックデザイナー、カラリストの藤田です。
今日は梅の花の色。
春を告げる梅の花
梅は日本人にとって、古くから付き合いのある身近な花。
冬から春への移り変わりを告げてくれます。
新春のお祝いに飾られる梅の花、食卓に並ぶ梅干し。
梅を漬けて梅酒を作るお家も多いのでは?
紅梅色で表すのは、名前の通り、
ほのかな赤みのピンクが可愛らしい紅梅の色です。
梅はもともと中国から輸入されたもので、紅梅は奈良時代からあるそうです。
色として人気を集めたのが平安時代。
『枕草子』や『源氏物語』にも出てくる色で、前者では「おめでたい色」として記されています。
確かにおめでたい時に使われる紅白に、梅の花の白・紅を当てることも多いですよね。
襲の色目にも
十二単などに使う配色、襲の色目にも梅を表す配色パターンがあります。
紅梅の襲は、表:紅梅に裏:蘇芳という配色。
落ち着いた紅が美しい配色です。
これが「梅の襲」になると、表:白に裏:蘇芳という配色になります。
紅白の配色になるのが面白いです。
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また濃さも種類があり「淡・中・濃」で染め分けられます。
梅の名のもとに、多くの色合いが生み出されてきた歴史を考えると、本当に愛されている花なんだなぁと感じます。
花を楽しむ品種、実を楽しむ品種
梅の品種は300種類くらいあるそう。
花を楽しむ花梅と、実を育てて食す実梅とに分かれています。
実梅の方は仄かの色合いの花が、
花梅は鮮やかなピンクなども含めた色どり豊かな花が楽しめるとのこと。
梅を見どころとしているところもあるので、
自由に動けるようになったら、梅の花を楽しむ旅に出るのも良いかもしれませんね。
今書かないと時期を逃すので、梅の花の色のお話でした。
和の色を語る上で欠かせない色ですし、
清少納言さんも『時期を過ぎた梅の色は興醒め』だとおっしゃられていますしね。
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