【24限目】相手の心に共鳴する/本読み大会
2020.9.11
相手の心に共鳴する 「は~い。」と、言う返事
私が初めて小学校の先生になった時の学年主任の先生は、穏やかで、優しい先生でした。一緒に仕事をさせて頂いて、素敵だなあ、こんな先生になりたいなあと、思うことがいっぱいありましたが、一番の私のお気に入りは、「は~い。」と、言う返事でした。
彼女は、私よりも一つ年下で、いつも、謙虚で、優しく接してくださいました。「はい。」にも色々ありますが、本当に少し高い優しい声で、返事をして下さいます。
子どもが、話しかけたときの「は~い。」は、「どうしたの?」「なあに?」という言葉に代わるものでした。子どもに寄り添って話を聞いている時も優しかったです。子どもが先生に話を聞いてもらって、先生から離れるときは、「大丈夫、大丈夫。」のオーラが出ているのをなんども見ました。
私は、子どもへの対し方も学ばせていだきましたが、その他にも、学年通信の書き方、ノートの使い方、連絡帳の書き方、授業の進め方、保護者への対応の仕方等、教えて頂きました。
私は、体育が専門だったので、体育の授業でのポイント、運動量、安全面等を話しますとすぐに取り入れて下さり、いつも、褒めてくださいます。初めて経験することが多く、至らないことも多々あったと思いますが、褒めて育てて頂きました。
その後、家族ぐるみのお付き合いになりました。ご主人が、頼みごとをされると、「はぁ~い。」と、言って、すぐに言われたことを喜んでされている姿は、すごいなあと、思いました。ご夫婦仲も良く、ケンカをしている所を見たことが有りません。
先日、黒柳徹子さんの徹子の部屋で、三浦友和さんと山口百恵さんの息子さんで最近ご結婚された三浦祐太朗さんが出演されていて、「お父さんとお母さんがケンカをしているのを見たことが無い。」と、言っていました。
「それは、お二人がお互いに信頼されているからでしょう。」と、黒柳さんがおっしゃると、「そうだと思います。今でも二人で映画を見に行ったりして、仲がいいです。」と、話していました。
その時、学年主任のご夫婦も、お互い信頼されているからあの「はぁ~い。」という返事ができるのだと思いました。
私たち夫婦も、意見の違いはあっても、ケンカにはなりません。それで、夫に「私たちも信頼しあっているから、ケンカしないのかなあ。」と、夫に言いますと、「がまんや。」と、・・・・ガッカリです。
「は~い。」に戻りますが、「は~い。」の時も「はい。」の時も返事をするときは「受け入れる。」という気持ちがあり、相手の立場に立って返事をしているのだと思いました。一年目に彼女に出会ったことは、私の教師人生にとって、とても大きな出会いになったと思っています。
本読み大会 音読力の向上と、子ども同士の共育
私は、物語文・説明文の学習が終った時、本読み大会をします。
ルールは、順番に音読をしていきますが、間違ったら、私が「はい。」と言います。そしたら、次の子が続きを読みます。私が審判なので、子どもたちが判定することはできません。私語も禁止です。
「はい。」と、言う時
・読み間違ったとき。
・漢字が読めなくて詰まったとき。
・同じところを読んだとき。
・3秒以上止まったとき。(3秒ルールと、呼んでいます。)
二つの方法があります。
1.全員参加の個人音読大会
全員が順番に読んでいきます。読む人と、次に読む人が立ちます。間違ったら、私が「はい。」と言い、次の子が読みます。間違わずに読めた子は、1ページぐらい読めたら「次。」と私が言いますと、座って次の人が読みます。
そして、最後の文が終るとまた最初の文からスタートします。全員が終っても、時間の許す限り音読が途中で止まった子が、もう一度リベンジします。
2.グループ対抗での音読大会
班ごとに順番を決めておきます。4人組です。もし、欠席があったら2回読む子を決めておきます。その子の2回目は4番目に読みます。
班の読む順番は、班長が出てきて、くじを引きます。くじは割りばしの後ろに1~8までの番号を書いておき、それを封筒に入れて、先だけ見えるようにしておきます。このくじは、色々な場面でも順番を決めるときに使えるので便利です。
いよいよ始まりです。班全員が立ちます。4人全員が間違うまで読み続けます。間違った子は座ります。終ったところまでの記録を黒板に書きます。〇班 〇ページ 〇行目と、上手に読む子がいたら、全員が読まないうちに終わってしまうこともあります。その時は黒板に、〇班 終わり 残り〇人(まだ読んでいる子も数に入れます。)と、書きます。全部の班が終ったら1位~8位までが決まります。
このように、途中で終わった班は、全員が読めます。最後まで読めた班は、読まないで終わってしまう子もいますが、最後まで読めたことをみんなで喜んでいます。
最初に、間違った子を責めたりしないこと。審判には文句を言わないことを約束しておきます。
始まったら、みんな真剣です。普段、あまり発表しない子が間違わずに全部最後まで一人で読んで、みんなから、すごいと!言って拍手をもらいました。
感情移入してみんなを驚かせた子。大きな元気な声でびっくりさせた子。ちょっとしか読めなくて笑ってしまう子。
普段見られない姿が見えたりすることもあって、大盛り上がりの本読み大会になります。ここで大切な事は、決してうまく読めなくても、責めないことです。
本読みの宿題を毎日出していますが、本読み大会が近づいてくると、保護者の方から家に帰っても真剣に本読みしています。と、お返事をもらうこともあります。
本読み大会は、どの学年でも授業に取り入れて、授業のまとめにしています。時間がかかる時もありますが学級会の時間とあわせてするときもありました。
音読を通して、自分を表現し、聞いてもらって、認めてもらうという経験を積み重ねることで、文字の一つ一つを丁寧に読み取ることが出来るようになりました。
国語の単元の最後に本読み大会をすることで、グループ別に順番を決めたり、作戦を立てたり、本読みの練習をして子ども同士で共に学び育てあう活動が出来ました。
【編集担当より】
「ラベンダーとレモン」
先日、日経新聞で、教育×AIの記事を読みました。エドテックのベンチャー企業のアタマプラスが特集されていました。東京の武蔵野大学中学校では、デジタル教材を進めているようです。数学の授業では、1週間4コマのうち半分はAIが担っているようです。その際に、先生にしかできない役割は何だろうと考えると、同校の方は、「数学が日常生活とどんなつながりをもっているのかなど興味関心を引くこと」と回答されています。エドテックは先生の再定義を迫る。そう記事に書かれていました。
今回、読書がテーマです。知人に教えてもらったのですが、上記のエドテック(AI)での授業の文脈で考えたときに、AIでの授業は、数学や理科などはかなり効果があるそうですが、国語領域はカバーする範囲が広すぎて、数学や理科よりも効果が出にくいそうです。子供のころからの読み聞かせや、授業での文章や文学への興味関心というのは、大事なことなんだろうなと、素人ながらに思いました。
またも油絵復活ですね。個人的には、花の写真の方が好みです。次回は何でしょうか。
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