取得の意味ない?銀行業務検定で年収は上がるのか
銀行業務検定試験は、銀行業務の専門知識を認定するための試験として、多くの銀行員にとってキャリアの一環とされています。
しかし、「銀行業務検定は本当に銀行員の役に立っているのか?」という疑問が私にはあります。
果たして銀行業務検定は年収アップに直結しているでしょうか。
この記事では、銀行業務検定の現状とその実効性について深堀りし、銀行員と業界全体にとっての価値を探ります。
銀行業務検定の意義と実情
銀行業務検定は、銀行業務に関わる広範な知識と技術を証明するものです。
理論上は、検定を通じて銀行員が専門知識を習得し、顧客へのサービス向上につながるものと期待されています。
しかし、現場からは「検定試験の内容が実務と乖離している」という声が上がることも珍しくありません。
試験に合格しても、実際の業務で直面する具体的な課題解決に生かせない場合が多いからでしょう。
銀行員キャリアにおける検定の意味
銀行内部では、検定試験の合格を昇進や評価の条件にしている場合もあります。
キャリアアップのために検定試験の合格を目指さなくてはいけない状況の銀行員は数多くいます。
しかし、検定が真に銀行員のスキル向上に貢献しているかは正直なところ疑問です。
試験勉強に費やす時間と労力が、実務能力の向上に直結しない場合、その効果は限定的といえるのではないでしょうか。
検定と実務の乖離
銀行業務検定のもう一つの問題点は、試験内容が昨今の銀行業務の変化に追いついていない点です。
金融業界は急速に進化しており、デジタル化や新しい金融商品の登場により、銀行員が知っておくべき知識やスキルは変化しています。
しかし、検定試験のカリキュラムがこれらの変化に即時に対応しているとは限らず、銀行員が直面する課題に対処できる知識を提供するには不十分ではないかと思っています。
「天下り」への批判
また、銀行業務検定が「天下り」の温床となっているとの批判もあります。
実際、日銀や金融庁などから退職した金融系の元幹部の再就職先として「銀行業務検定協会」があり、この団体が検定試験を管轄しています。
銀行業務検定の受験料は1回あたり5,000円前後から10,000円前後まで幅広いですが、決して安価ではありません。
コロナ禍の2022年度でも受験申込者数は16万8千人もいます。
銀行業務検定協会が受け取る年間の受験料収入は単純計算でも10億円前後になります。
この団体は既得権を持ち、金融系官僚の天下り先として存在しています。
誰が何の目的で設立された団体なのかも、実際よく分かりません。
このような状況は、検定試験が本来持つべき「専門性の向上」や「質の保証」という目的から逸脱し「特定の利益集団の利権構造を生み出している」と指摘されてもおかしくありません。
銀行業務検定への提言
私は、銀行業務検定が銀行員にとって真に価値のあるものになるためには、いくつかの改善が必要だと考えます。
まず、試験内容を実務に即したものに更新し、銀行員が日々の業務で直面する現実の問題を解決するための知識とスキルを習得できるようにすべきです。
金融業界の最新動向やテクノロジーを反映したカリキュラムの見直しが欠かせません。
また、実務経験が豊富な現役の銀行員や専門家を試験の作成や監修に関わらせ、より実践的な視点を取り入れることも必要だと考えます。
次に、検定の学習過程自体が銀行員のスキル向上に役立つよう、継続的な学習支援や実務に密接した研修プログラムの提供も考えられます。
例えば、検定合格後に実務での応用方法を学ぶワークショップやセミナーを開催すれば、理論だけでなく実践的なスキル向上に繋げることもできるのではないでしょうか。
さらに、銀行業務検定を銀行員のキャリア形成だけでなく、顧客サービスの質の向上に直結させる視点も必要です。
検定を通じて習得した知識とスキルがどのように顧客満足度の向上に貢献できるかを明確にし、それを銀行員個人の評価や報酬に反映させることも一つの方法です。
最後に、銀行業務検定の運営においては、透明性と公正性を確保することが不可欠です。
もし検定試験が天下り先の収入源になっているのであれば、それは改めるべきです。
公平な環境を提供してこそ、検定の信頼性は高まります。
結論:年収やキャリアとは無関係に近い
銀行業務検定は銀行員のキャリアにおいて、現時点では重要な試験かもしれません。
しかし、銀行業務検定によってキャリアが大きくステップアップしたり、年収アップが期待できるかといえば、その効果は限定的といえるでしょう。
その価値を最大限に引き出すためには、実務との連携強化、カリキュラムの現代化、学習支援の充実など、さまざまな改善が求められます。
銀行員に対して実質的な価値を提供し、同時に業界全体のサービス品質向上に貢献するような検定試験に改善されることを期待したいです。
銀行員一人ひとりが検定を通じて自身の専門性を高め、顧客に対する質の高いサービス提供こそ、銀行業務検定の真の目的であり、最終的な目標ではないでしょうか。
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