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『三田文學』2024年秋季号(159号)のご紹介

こんにちは!編集部員Aです。10月19日に『三田文學』2024年秋季号(159号)が発売されます。秋の訪れを感じる木の実イラストの表紙です。

特集は永井荷風。実は弊誌の創刊に携わった方でもあります。(『三田文學』は1910(明治43)年に永井荷風を編集主幹として創刊されました。)

昨年『おとめ座の荷風』(慶應義塾大学出版会)を上梓した持田叙子氏は「世界を怖がる子ども――荷風論」で、小石川にあった荷風の生家をモチーフにしたであろう、子ども目線で描かれる「狐」という短篇を切り口に、柳田国男・森鷗外にも言及して荷風の魅力を語っています。大濱普美子氏は「荷風邸逍遥」で自身の荷風との関係をまるで荷風邸を歩いているかのように幻想的に綴り、清松大氏は、荷風の作品や生涯が船旅と縁が深いとして、「船旅の詩学――航海者・荷風の航跡」としてまとめてくださいました。

小説は村松友視氏が入院する主人公の目線で書かれる「隣人」の姿を描いています。戦後の平和の欺瞞を突きつけるかのような青来有一氏の「独りよがりの空まわり」、謎が謎を呼ぶ不思議な読後感が印象的な長野まゆみ氏の「釣りびとABC」、過去や未来、すべての時間に思いを馳せたくなるいしいしんじ氏の「窓がひらく」、命の尊さをつづった岳真也氏の「姉の死・生還」も必見です。

今福龍太氏の新連載「群島創世記」第1回目は、川満信一さんのご逝去を受け、散文と詩でおふたりの魂の交わりが語られています。言葉のリズムがとても心地よく、琉球・奄美の風を感じられます。

◆巻頭詩
井坂洋子 「海へ」他一篇

◆小説
村松友視 隣人
青来有一 独りよがりの空まわり
長野まゆみ 釣りびとABC
いしいしんじ 窓がひらく
岳真也 姉の死・生還

◆詩
駒ヶ嶺朋乎 低気圧と魔法の渦巻き

◆追悼 粟津則雄
吉増剛造 粟津紀雄追悼 永い沈黙

■特集 永井荷風
持田叙子 世界を恐がる子ども——荷風論
大濱普美子 荷風邸逍遥
清松大 船旅の詩学——航海者・荷風の航跡

◆評論
池澤夏樹 小国の運命——琉球/沖縄と台湾の並行史

◆新連載 群島創世記
今福龍太 はじまりはいつもここ﹅﹅にある 川満信一頌

■連載
◆対比列伝 作家の仕事場[第五回]
前田速夫 よみがえる野性 中上健次vs津島佑子
◆詩/リレーエッセー 詩から明日へ[第六回]
森本孝徳 私の失敗
◆演劇随想/舞台の輝き[第六回]
柴幸男 日本と台湾と
演劇時評[第二回]
長谷部浩 團菊爺から勘三津爺へ——八月納涼歌舞伎を観て
◆短歌/随筆 歌評たけくらべ[第十二回]
水原紫苑×川野里子 塚本邦雄『日本人霊歌』
◆俳句/随筆 融和と慰謝の俳句[第十一回]
髙柳克弘 擬人法
◆映画評 電影的温故知新[第二十五回]
佐藤元状 『冬物語』、あるいは信仰について

■書評
諏訪哲史『昏色の都』 金原瑞人
アニー・ライアンズ『ユードラ・ハニーセットのすばらしき世界』(金原瑞人・西田佳子 訳) 河内恵子
庵原高子『青あらし』 加藤宗哉
向坂くじら『いなくなくならなくならないで』 松村美里
坂崎かおる『海岸通り』 佐藤述人

■新同人雑誌評 佐々木義登/加藤有佳織
■会員投稿欄・ろばの耳 岡田アンリ/小野寺裕/高田朔実
■レポート 巽孝之 慶應義塾ニューヨーク学院でカズオ・イシグロを読む
■『三田文學』創刊100巻820号記念賛助金寄附者御芳名
*弊誌夏季号から連載の始まった朝吹真理子氏と索南才譲氏の往復書簡(第二回)は、都合により今回休載させていただきます。次の2025年冬季号から再開しますのでご期待ください。
*大和田俊之氏の連載は今号休載いたします

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