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怒りの感情との付き合い方-怒りの「タネ」を見つけるー

前回の「怒りの感情との付き合い方-アンガーマネジメント-|フリースクールSTAGE (note.com)」では、アンガーマネジメント、つまり怒りをコントロールするとはどういうことかや、どうして怒りを感じるのかという怒りの発生のメカニズムについて紹介しました。

今回はさらに踏み込んで、怒りの感情への向き合い方や対処法について考えていきたいと思います。


怒りを感じていることは否定しなくていい

怒りの感情をコントロールする最初のポイントは自身が怒りを感じているということを自覚することです。怒りは自分がストレスを感じていることを知らせるセンサーといわれており、怒りを表すことで今のストレスのかかる状況を改善したいと身体やこころが反応しているのです。しかし、そのまま怒りを表に出すと怒りを相手にぶつけるだけになってしまいます。ここでは「怒りを感じる」ことを否定せずに、「怒りをぶつける」ことと分けて考えられるようになることが大切です。

また、「怒ってはいけない」「人には優しくすべきだ」との考えが強すぎることにも注意が必要です。自身の怒りの感情を否定していても限界はあります。すると、怒りの感情を否定できない、怒ってしまう自身を責めてしまうようになります。外部に対しての怒りを我慢し続けた結果、自身へ怒りの矛先が向き自責、自罰的になり悩んでしまうケースも見られます。

「怒りを感じる」ことは、人間である以上避けては通れません。ここからは、そのまま「怒りをぶつける」ことにならない方法に考えていきたいと思います。

何が自分を怒らせるのか傾向をつかむ

怒りの感情のコントロールのためには、まずは何が自分の怒りの「タネ」になっているのかを把握することが大切です。「タネ」が蒔かれた段階で自分の怒りに気がつくことで、怒りが育ち「怒りをぶつける」前に対処が可能になります。怒りの「タネ」を見つけるために、怒りの原因と怒りの結果の記録(モニタリング)をしてみましょう。記録するのは、以下の3点です。

怒りを感じた出来事について

どのような出来事があったときに怒りを感じたのか怒りの原因を記録しましょう。いつ、どこでなど具体的な日時や場所も記録しましょう。怒った理由は何だったのでしょうか。例えば、『〇月×日、19時頃、仕事を終え夕食の準備を始めようとすると遅れて仕事から帰宅した夫の第一声が「ご飯まだ?」であり、怒りを感じた』など。

どんな行動をとったのか

つぎに、怒りをどのように表したかを記録しましょう。仕事から帰宅した夫の「ご飯まだ?」との言動に怒りを感じたケースでは、『あまりにできてて当然かのように聞かれて「私だって疲れているのよ!」と大声で怒鳴った』など簡潔に記載しましょう。

行動の結果

とった行動の結果どうなりましたか。その行動をとったことによるメリットとデメリットについても考えてみましょう。上記の夫婦の例では、『夫もいきなり怒鳴られたことにカッとして「こっちだって疲れている」などと数分ほどの言い合いになった。平行線のまま結局はお互い沈黙しイライラとわだかまりと疲れが残った』のように記述できると思います。

怒りの「タネ」を見つける

このように、怒りを感じた出来事について記録を重ねていくと、自身の怒りに結びつく傾向が見つかってくるかもしれません。上記の夫婦の例では、自分も頑張っていることを夫に認識してほしい、お互いに尊重し合うのは夫婦として当然だといった思いや考えがあり、それがないがしろにされたことに怒りを感じていたのかもしれません。この傾向に気づくことで、お互いに怒りをぶつける前にこの件について話し合うことによって問題を解決できるかもしれません。つまり、怒りの「タネ」のうちに対策ができるようになるわけです。

参考文献

高山恵子(2016). イライラしない、怒らない ADHDの人のためのアンガーマネジメント. 講談社.
松井晴香(2023). 13歳からのアンガーマネジメント 我慢しない・傷つけない上手な気持ちの伝え方. 合同出版.

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