ひなたのこころ~李連杰という生き方
私の記事では、いくつか系統を分けて記事を書いています。
この「ひなたのこころ」(note内のマガジンにしていきます)は、実際にお会いした方、あるいはお会いしてはいないけど、その思いに強く共感している人などの記事を書いていければと思います。
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いきなり、実際に会った人ではないのですが、私が個人的に作品をずっと追い続けている、李連杰(リー・リンチェイ、ジェット・リー)という俳優がいます。
以前はただのファンだったのですが、彼の人生を追う毎に、それが尊敬の念へと変わっているような気がします。そして、こんな状況の中でこそ、彼の行動や理念に習いたい。そんな思いを伝えたく、今回はそのことについて書きたいと思います。
アクションスターとしての顔~輝かしい武術
李連杰とは、一言で述べるなら中国出身(現在はシンガポール国籍だそうですが)のアクションスターです。
まず、一般的な李連杰のプロフィールを転載(allcinemaより)します。
少し古いところで情報が止まっているプロフィールではあるのですが、大まかにアクションスターとしての李連杰を追うのであれば、この内容でも充分です。
5回連続で中国全国武術大会総合優勝という記録は今も破られていないそうです。そんな凄まじい実力をもって、連杰は『少林寺』で映画デビューしました。
そして、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』という映画に出演します。連杰は、この映画で主人公の黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)という、清朝末期に実在した人物を演じます。
黄飛鴻は、医師で南派少林拳の達人、という絵に書いたような国民的英雄です(このリスペクトなのか、ジャッキーチェンの酔拳など、主人公が「フェイフォン」という設定のカンフー映画は多くあります)。
もちろん、この時期の中国映画は少なからず国策映画としての色合いもあるのですが、清廉でとにかく強く、ユーモアもあるこの役を見事に演じきり、映画は大ヒット、連杰もその人気を不動のものとします。
そして、メル・ギブソンが出ていることで有名な『リーサル・ウェポン4』で悪役としてハリウッドデビュー。このときからグローバルネームとして、ジェット・リーと名乗るようになります。
このとき、悪役でしたが、当時は視覚効果のような技術もない中、その動きの凄まじさに目を引かれた方は多いはずです。
先に売れていたジャッキー・チェンがコミカルな路線であったのに対し、李連杰はストイックな路線の表現が多い印象です。
ジャッキー・チェンの敵役はどれだけやられても「まだ多分生きてるな」というのが分かるところがありますが、李連杰は確実に息の根を止めるような、そんなストイックさがありました。主観ですが、その対比でも人気が出ていたのかもしれません。
英語習得の意義
1つ、印象的な話があります。
これは、現物がないので、私の記憶でしか示せません。
『ドラゴン・キングダム(原題:The Forbidden Kingdom)』という映画で、ジャッキー・チェンと共演を果たした連杰。
パンフレット内のジャッキー・チェンとの対談で、「若手の俳優がこれから活動するのに必要なもの」を聞かれた二人は、口を揃えて「英語を習得するべきだ」と答えます。
ハリウッド作品に出演するには必要なスキルであるし、語学ができれば、また1つ見る世界が変わる。
英語を習得し、グローバルな視点を得たことで、彼は活動の幅を広げることができたのだと思います。
その後も、多くの主演映画でその武術の実力を発揮し、ブルース・リー、ジャッキー・チェン以来、なかなか成されなかった、世界的アクションスターとしての地位を確固たるものにします。
写真:Recordchina
ここまでが、彼の、アクションスターとしての顔です。
慈善家としての顔~「壹基金」の設立
李連杰という人にはもう1つ、慈善家(慈善活動(チャリティー)を行う人という定義付けで良いでしょうか)という顔もあります。
2004年、連杰は壹基金を設立します。
これは、連杰が親善大使となっていた、中国赤十字と協力して設立された基金です。
壹基金では、「1人あたり毎月1元(15円ほど)」という理念のもと、孤児や障害児にお年玉を送るなどの活動をしているそうです。
基金の運営は苦労も多かったようですが、苦労の甲斐も実り、壹基金は軌道に乗り、2008年、連杰は米「フォーブス」誌選出した「アジアの慈善家48人」に選出されます。さらに2009年、“世界経済フォーラム(ダボス会議)”でクリスタル賞を受賞します。世間が彼を評価しました。
2010年、連杰は、ノーギャラで『海洋天堂』という映画に出演します。
これは自閉症の息子を持つ父親の話なのですが、その父親役として、連杰は、最期まで息子の将来を案じる父親の深い愛を見事に表現します。
この映画はまさに壹基金の活動が深く関連しており、
先日、連杰は共演した文章(ウェン・ジャン)と共に”海洋天堂計画”を立ち上げ、自閉症や脳性マヒの子供たち等への支援を続けています。
先日、4月2日は、「世界自閉症啓発デー」という、国連が定めた、自閉症を認知度を高めるような日が定められていますが、連杰は例年、“ライトイットアップブルー”というイベントを開催し、自閉症への理解を呼びかけています。
俳優としての知名度も惜しみなく使い、チャリティーに身を捧げる。
これが、彼の慈善家としての顔です。
写真:Imaginechina/アフロ
李連杰の根底にあるもの~その身に起きた苦難さえも
アクションスターとしての顔と、慈善家としての顔。
アクションスターである連杰が、チャリティーを行い始めた理由。
それは、連杰自身の身に起きた苦難が大きく関わっているとされます。
スマトラ島沖地震
2004年、連杰はインドネシアのスマトラ島沖地震に巻き込まれるも軽傷で済み、家族は無事に避難したそうです。
連杰は、この時、自身も家族も死に直面したことをきっかけに壹基金を立ち上げ、チャリティーに専念するようになりました。
甲状腺機能亢進症
連杰は、2010年に甲状腺機能亢進症であることを公表しました。甲状腺ホルモンの分泌過多により、心臓をはじめとするほぼ全ての臓器に機能低下をもたらす病で、全身疲労と体重の減少が主な症状とされているそうです。
闘病とともに、連杰はいったん俳優業から距離を置き、よりチャリティーに力を注ぐようになります。
写真:Recordchina
スマトラ島沖地震との遭遇と、自身の身に起きた病気との闘い、いずれの苦難にも連杰は折れることなく、チャリティーへの意思を強くします。
慈悲の人
なぜ、このようなことを書くのかといえば、彼のような生き方こそが、仏教的生き方ではないのだろうかと常々思います。
現に連杰は仏教徒としての顔もあるのですが、自身がどのような苦難に見舞われても、それに染まることなく、利他に務めます。
不染世間法 如蓮華在水
武術家としての強さを持つ彼が、新たな境地として得た強さ。
私はアクションスターとしての李連杰のファンですが、最近は李連杰自身の生き様も格好が良く見えます。
李連杰のような人が、仏教的であり、ヒーローと呼ばれるべき人なのだろうなと最近思うようになりました。
長くなりましたが、今回はそんな李連杰のことを好き放題書かせていただきました。読んでいただきありがとうございます。
森下 恵王 合掌
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