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餃子1人前12個の一人飯
冷凍餃子の12個入りを僕は、一人暮らしのために開発されたちょいスタミナグルメだと思っている。
ちょいとスタミナぐらいでボリュームを適度に感じているところに、実は魅力を秘めているんだと勝手に思っている。というかそれこそが食品メーカーのマーケティングなのではとさえ思のだ。
いつからかお家餃子は冷凍餃子の時代が到来した。
餃子が大衆化されるにつれて、家庭の冷凍庫に眠っていてい欲しいよね冷凍食品に躍り出てきた。
どうしたらお店のように羽根がついたパリッとした餃子ができるのだろうか、とお店では安くて美味しい餃子にありつけるのに難易度の高い餃子に人々は憧れた。
そこに革命を起こした冷凍餃子(記憶の範疇では天下の味の素様が開発したと思う、たぶん)。
フライパンに円状に並べ、蓋も油もいらずにただ火をつけて5分でパリッパリの餃子ができ上がるのだからもはや科学だ(冷静に考えるほどに、それは人類の奇跡なのではないかと思うのだ)。
味の素の餃子、大阪王将の餃子、この2大冷凍餃子の美味しさはご存知の通りだが、共通して12個入りというところに不思議な安心感がある。満足感というか。
一昨年まで勤めていた会社員時代、夜勤明けの帰り道にスーパーに寄り食べたくなった餃子を見て手を伸ばしたのが始まりだった。
大阪王将の餃子をかごに投げ込み、サクッとランチしようと12個を円盤のように並べた。
大抵の家に一つはある2〜3人前のフライパン。
12個の餃子はジャストフィットしたとき、グッと興奮した。
フライパンを温めると少しずつ羽根つき餃子が形成されていく様をじーっと眺める時間は何かヒーリング効果でもあるのではないか。
そうはいっても10分くらいは大体かかるのだが、きちんとパリッと焼き上がり、餃子のパリっとジューシーを叶えるのだから、お店の大阪王将はさぞ困っていることだろう。
またテフロン加工のフライパンとの相性が良いのがさらに家庭的だ。
円盤を崩す申し訳なさを味わうこともないのが、一人餃子。
孤独に12個の餃子を時計回りにつまみ上げ、一口に運ぶのがたまらない。
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パクパクと進んでいく時計回りは時計の針を刻むようでなんとも切ないのだが、それを食べればそれだけで刻一刻と餃子で満たされるいつもの幸福に向かっていくのだ。
ぺろっと12個平げた時、その事実と共にあぁ食べたと食事を終えたくなる。時を刻んだ終幕のそれ。
◯人前という考え方が好きではない。
2〜3人前と書いたもつ鍋だって絶対一人で食べ切れる量なのに、なぜか食べ過ぎなのか?と疑心暗記にかられる。
うるさい大衆の声にかられたくない。
孤独に一人飯をする時、12個の餃子はきっと一人前だ。
その速度に満足度に、口福度に、全てが一点に交わり食べ切ったと思える瞬間が、12個の冷凍餃子にはあるのだ。
餃子を食べたくなったおひとり様、冷凍ショーケースに手を伸ばし円盤のフライパンが描く餃子ドリームを味わうのだ。
美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。