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事業の将来や自分のキャリアについてジョブ理論を応用して考えてみる

ぼくには好きなビジネス著者が何人かいる。そんな中でもクリステンセン教授はバイブル的に読んでいる著者の一人だ。

そんな彼が書いた「ジョブ理論」という本を最近改めて読み返した。
難しい内容ではなくて、改めて読み返すと「発想を変えるための思考ツールとして使えると思ったので簡単に書いてみたい。

このジョブ理論という考え方は今の自分の会社の事業が置かれた環境や顧客について考えるきっかけになるし、個人の働き方や、キャリア形成にも役立つ考え方だと思っている。 

■「ジョブ理論」を書いたクリステンセン教授

私が最も好きな方の一人、クレイトン・クリステンセン教授。アメリカユタ州の出身でボスコンで5年働いたあとホワイトハウスで働いてからハーバードの先生になったという経歴で、ぼくが今更説明する必要がないくらい有名で、イノベーションというものの研究の第一人者として親しまれている。
もっとも有名な彼の本は「イノベーションのジレンマ」。

だけどぼくが個人的にもっとも好きな本は「イノベーションオブライフ」。彼が体調を崩して降壇するときに学生たちに、どういったキャリアを築いたら良いか、どういった人生を歩んでほしいか?という最後に思いを込めた本で、これは会社を辞めようか転職しようか続けるか悩んだときにいつも手に取って読み返している本で、おすすめしたい本の一つ。

そんなクリステンセン教授が書いたのがジョブ理論。

■ジョブ理論について一行で説明

彼が本で書いているジョブ理論というのは、お客さんがその商品を何で買うか?ということを突きつめて考えるための考え方で、大きく「ジョブ」「雇用」「解雇」という3つのキーワードを使って考えるという理論と説明できる。

一行で説明するとこんな感じになってしまうが、ぼくたちの普通のビジネスの世界では「お客さんのニーズをつかめ」とか、「マーケティングをしろ」という発想になるが、彼の理論はそうではなくて、一つの大切な言葉を考えることから、お客さんにとって必要なビジネスをどう作るか?ということを考えるべきであると提起してくれています。

問い: お客さんはどんな用事(ジョブ)を片付けようとしているのか?

彼の理論でいえばジョブというのは用事。

こういう風にとらえると競合他社とのスペック競争だけにフォーカスしている近視眼的な考えに染まらずに済む。

自社の製品を売れ!ではなくて、お客さんは何をかたずけたいのか?というMBAでは必ず習うであろうマーケティングの「ドリルの穴」の話を理論まで引き上げたといってもいいかもしれない。お客さんはドリルそのものが欲しいのではなく、穴をあけたいのだということを考えようということだ。

また、この問いは直接的な競合以外もプレイヤーとして意識することができるというメリットがある。そうすると、5F分析(ファイブフォース分析)でいうところの「自社の代替産業」もとらえて考えることができる。
穴をあけるのであればドリルだけが競合ではなく、異業種やドリルを代替する産業だって競合になる場合がある。

また、新事業を始める場合にもどういった課題を解決したいというニーズやウォンツがあるかということを考えて今の主な解決手段ではない、全く新しい解決方法を考えてビジネスにするときにとても有効な考え方といえる。
どういうジョブを顧客が解決したいのか、終わらせたいのかということをまずは考えようといっているのが最初の1点目のポイントといえる。

■第二のポイントは雇用と解雇の概念

お客さんのジョブ(用事)を起点に発想することが第一のポイントであれば、もう一つのポイントはそれに加えて「雇用」と「解雇」の概念で理論を説明していることだ。この2点がこの本のだいたいのポイントともいえる。
ジョブ理論では、お客さんの用事(ジョブ)に最適な手段が「雇用」され、従来の方法は「解雇される」という考え方をしている。

例えばこんな例。

家では洋服をきれいにするというジョブがあって、父である僕が洗濯物を干すというタスクをやることで洋服を綺麗にするというジョブをもらっていた。

ところがある日、洗濯乾燥機がいえにやってきて僕の仕事は不要になった。僕は「ファイヤー」され解雇となった。その代わり新たにその仕事ができる洗濯乾燥機がそのジョブに対して雇用された。
ものはたとえという感じもするが、雇用されたと考えるのがみそ。

■会社の事業変革や自分のキャリアに応用

ジョブがあって、雇用されるものと、解雇されるものがある。

どんな消費者にもやりたいこと、やらないといけないことがあって、あるものを使ってそのやりたいことや片づけるべきことをやっている。

そんなジョブを片付けるために今使われている手段が陳腐化されるような新しい製品やサービスを考えていこうということにつながる考え方といえる。
普段、同じ市場で戦くことばかりに一生懸命になってしまうし、一見すると当たり前の理論ではあるが、発想を変えてみることで視野が広くなるので、そういった発想の転換をしていくにはちょうどよい理論と僕はおもっている。

もっといえば、自分の会社での仕事やキャリアを考える上でも当てはまる。
自分がやっている仕事がある日、優秀で給料も安い若手が出現されて社内でその仕事は引き継ぐことになり自分はその仕事からは解雇される。そんな時にどんなジョブが会社にあって、自分がそれを解決できる人材に進化していけるかと考えるときにも使える。

ただ、非常に有効的な理論ではあるが、ベースにある考えは日本の企業にはなじまないものもある。このアイディアは欧米式に"Job Description"という「あなたの仕事はこの範囲でこの結果をこれだけの予算や人員で達成せよ」という明確ジョブがある文化で培われたもので、それが終われば本人は解雇されるというプロジェクト型の採用が多いアメリカでの話がメインとなっている。

日本のようにジョブディスクリプションが不明確な考えがある会社でも通じにくいところはあるが、それでも面白い理論だとぼくはおもっている。

日本とアメリカのどちらのスタイルが良くて、悪いということではなく個性なのでそれぞれいい面と悪い面がある。

何かの機会にジョブ理論を起点に発想してみると面白いかもしれない。


keiky.


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