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日本と海外の人事の違いからそれぞれの良い点をかけあわせる発想をもつ大切さ
サラリーマンでいる限りは会社と自分の雇用関係について考えることは多いものだ。
ぼくの会社は結構海外展開をやっている方だが、人事部というのはもっともグローバル対応できておらず日本の常識でしか物事をどちらかというと考えられない部分がある。これは人事部が悪いのではなくて、各国で事情が異なるし、人事部にはなかなかグローバル人材が集まらないという傾向があるのでどうしても各国の現地任せになってしまっている現状がある。
人事のスタイルというのは大きく海外と日本で分けることができるので、そんな違いから今日はどういった人事部をめざすべきか、自分が経営者ならどうやって人をマネジメントしていけばよいかについて考えてみたい。
■ 日本企業の一般的な人事の習慣
1)職能資格制度
→日本は仕事の結果ではなく、職能、つまりは能力で何ができるかということで社員を序列をつけて職能に賃金を払う。この対比として出てくるのが海外のシステムでどちらかというと能力ではなく、パフォーマンスだったりポストにたいしてお金を払うというシステム。日本では結果はあまり関係なく、能力に対してお金を払う傾向が強いのであまり海外の人からは理解されない大きなポイントの一つでもある。
2)新卒一括採用
これも説明が不要なくらい大きな日本企業の特徴。他ではこういった現象は見られない。新卒を一括で雇って、まるで学校のように年次で管理していく。順番にポストを上がっていくイメージで飛び級は基本的に許されない。
デメリットとしては横並びの処遇なので、やってもやらなくても給料がたいして変わらないというところにある。個人の実績をほめることはあまりせず、いいときも悪いときも、仕事をする人もしない人も平等に年次で管理していくやり方でコントロールは会社にとってしやすい。一方で記載したように事業の成長スピードと人材の成長スピードにギャップが出てしまったり、中途採用をしづらいような面もあるといえる。
3)長期雇用
定年まで勤めあげるのが前提となっている。これは日本企業の代表的な習慣であり、今でも大半の企業でこういったモデルをベースとして給料体系などが組まれている。個人は自分の自由を会社に差し出す代わりに会社は定年まで雇用を約束するようなやり方といえる。副業禁止などをしている企業は大半がこのモデルに沿った人事体系をとっている場合が多いといえる。
この一番のデメリットはある事業がなくなる場合でも人は維持しなければならないというような制約がうまれることで雇用が硬直化してしまうところにある。事業を再編したくてもできなかったりするのでスピードが遅くなってしまう。いまでも電機業界などは大量にリストラを実行したり銀行などでも人員整理をしているので必ずしも流動性が全くもてないということではないが、雇用の流動性の観点からもまだまだ定年まで勤めあげることをよしとするモデルが多くの企業を占めている。
■海外の人事モデルの特徴
一方で海外ではどうか。
1)職務等級制度
仕事の能力に対して賃金を払うのではなくジョブディスクリプションという形で職務、つまりはポストや仕事内容に応じて給料を払うというシステムが一般的。ポストができる権限が明確だし、それを超えることはできないので自分の権限の中で最高のパフォーマンスをあげることが求められるし、年次も関係ないので、あくまでポストを担える人がそのポストをやるための給料をもらうという考え方になる。
デメリットとしてはポストで給料が決まるので、低いポストへの異動や配置転換がしづらくなるので、人がやめやすくなるということがいえる。あるポストが埋まっていれば人は取らないのであまり人を育てるというような文化も育ちにくいといった面がある。
2)期限付き雇用
定期昇給や退職金制度がないことが多く、定年まで雇用することは想定していない。定年まで雇う気がないので当然だが、優秀な人はやめていってしまう傾向が強まる。前述の職務等級制度とあわさって、あるポストがすでに埋まっているのであればその会社での出世はのぞめないので他に移ろうという考えになるのは当然だ。
常に優秀な社員を引き留める努力をしなければ優秀な社員ほど流出してしまうという懸念がある。
3)職種別通年採用
職種で通年人を採用するようなやり方で人をとることになり、日本のように新卒一括採用のようなことはしない。欠員があったときにそのスキルをもっている人を雇うというやり方なので、常に会社のブランドを上げておく必要があり人が来てくれる環境を整える必要性が高い。
■まとめ
このように日本と海外では全く違う慣習がある。どちらかに完全にあわせるべきとか、どっちの方が優秀という話ではなく、国や組織の特性などから考えてうまくブレンドしていくことが大切だと思っている。
海外各拠点で任せるところと、日本サイドでしっかりグリップをもってコントロールしていくところのバランスを間違えるとうまく運営できない事態に陥ってしまうことが多いので、うまく適所適材であわせていくしかないのが現状だと思っている。
Keiky.
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