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日本における伝統的な雇用スタイルの3つの弊害に対してどう対処するか

先日これからの雇用の在り方について人事コンサル会社のマーサージャパンの講演を聞きにいった。

もともとぼくが思っていたことを専門家に言われると会社の人事上の課題は明確になるし、自分の働いている会社がいかに伝統的な日本のスタイルを踏襲しているかがわかるものだ。

もちろん、そういったコンサル会社もビジネスなので危機をあおって自社のサービスに誘導しているということは踏まえた上でも、やはりぼくの働く会社をみていても閉そく感は強いし、変わらなければならない機運は高まっている。

それでもなかなか変われない現状があるので経営企画で働くメンバーとしてはやきもきしてストレスがたまるものだ。この船を浮上させるために貢献していくのか、完全に沈没する前に下船するのか。つねにそんなことを考えながら働いている人も多いだろう。

■日本の伝統的な雇用の在り方

そのセミナーでマーサージャパンが講演していた要旨を簡単にご紹介する。

まず、日本における伝統的な雇用の在り方は流動性の低い状態が基準となっている。そういったクローズドコミュニティを成立されてきて、新卒を一括採用して年功序列であがっていくモデルの上に成り立っていて、ポストが年長者で抑えられていることや、責任も分散する日本のスタイルは今も続いていて、特にこういった体制の弱みが最近強く出てきているのが今の状況という前置きがあった。

その中で特に大きな弊害として出てきているのは、日本経済の地位低下、キャリア自立度の低下、外部人材の獲得の難しさ、若年層のキャリア意識の変化、報酬期待値の低下などだと指摘されていた。

たしかにそうだと思う。ぼくなりに付け加えるとすると、日本の株式市場が外圧を加えられないということも大きいと考えている。株主も短期的な配当とか株のアップダウンにしか興味がないため経営の中身については議論をしないと任されている社長が独裁的に経営に当たることができてしまうので、元社員の社長を中心とした独裁政権が出来上がってしまい、そういったクローズドな環境では年功序列が前提となっていて新卒一括採用と、中途を排除するようなとても閉鎖的な文化が育ってしまうのだ。

そんな弊害がたくさん出てきてしまっている日本企業に対して外資のコンサルはどういった提案をしてくれるのか。

■変革した方が良いというポイント

セミナーではそういった日本の伝統的な企業の在り方も徐々に変化しており、大企業も終身雇用を約束できないということを公でいうようなトレンドが作られつつあるという環境の変化があるという話が合った。そういったことはいいつつも、まだまだ企業文化や採用方法をガラッと変えたり、流動性を上げるような状況にはなっていないのが現状だ。

マーサーの説明では以下のような変革のポイイントがあるようだ。

1)経営戦略に併せて人員を変化させられず、人事と事業の結びつきが弱かったので、より密接にすべき。

→これはぼくもそう感じる。いわゆる人事に配属される人員は最前線の人員とは言えず内勤で会社の事情や方向性に対してあまりアンテナをはっていない場合が多い。また、事業サイドも人事をただのスタッフ部門と扱う会社も多く、人事部が事業や各子会社の経営にまでゴリゴリ入り込んで人事戦略を考えていくというよりは、便利屋的に使われている場合も多く、志をもって人事部にいったけど結局できることは少なくて嘆いている人も多い。

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2)人材の流動化を高めるべき。人材獲得能力を上げる。ブランディングなど。辞めてもらう人を増やすには個々のキヤリアの自立を促す異動や配置を個人が決められるようにする。

→確かにこういったことを企業はやっていく必要はある。流動性を上げるということは、獲得する中途人材を事業の変化に応じてとっていくということばかりに発想がいってしまうが、外に人材を出すということも必要になってくる。

リストラをするのかということになるが、社会で考えればその辞めていただく人についてもより良い環境で働いて次のステージに進めるような状況を社会として作り上げることが出来ればと思う。会社側が終身雇用を約束せず人も流動的になれるような未来が来たらどういった未来なのだろう。

以前記事を書いたことがあるが、アメリカは解雇の自由度は高くキャリアの自立度も高い国で格差がとても開いているという特徴がある。欧州は解雇の自由度はとても低く容易に解雇できないかが、キャリアの自立度は高く自分で臨めば転職もできるし仕事によいって階級を分けるような制度をとっている。

日本は解雇の自由度も低く、流動性が低いのキャリアの自立度も低いので、結果としてぶら下がりの社員がたくさん生まれて一部の優秀な人が会社をひっぱるような仕組みといえる。

流動性については日本の社会全体の動きが必要になるので容易ではないが、少なくとも優秀な人材を獲得し、そういった人を活かせるような会社にしていく必要性はとても高いといえる。

日本企業は終身雇用を約束する代わりに、個人の言い分を無視して会社の都合でどんどん配置転換をしてきたというモデルで動いているので、個人個人のキャリアを選択できるようにするには、もっと自由度が高く、個人のキャリアパスについて真剣に考える必要がある。

会社任せにしている社員が悪いとか、企業側が押さえつけているというようなどっちが悪いという問題ではなく、いままさに変化を必要としている状況で、欧米式をまねる必要もないが、日本企業はどういった個人と会社の関係を築いていくか、変化の次期に差し掛かっている。

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3)評価と処遇の関係性を弱めて人材活用を徹底できるようにする。会社が選ばれる側であることを理解してエンゲージメントを高める。エンゲージメントと業績指標は高い相関がある。

→どちらかというと多くの会社で評価と処遇をもっと連動させるような動きが多いとおもったのでこの提言は新鮮だった。評価と処遇があまりにリンクしすぎていると短期志向になり、周りに対して教えることがなくなったり、自分さえ良ければよいという風潮をたしかに助長する可能性はある。どちらかというと欧米に多い雰囲気だと思っていたが、近年は日本の方が社員に対してドライになっている傾向が強く、育成する気もなく、とにかく評価と処遇を連動させるような動きが強く、果たしてそれで良いのかということを考えさせられる提言だった。

これだけ情報が拡散しやすく会社の評判も口コミであっという間に広がる社会で、さらに雇用の流動性が増していったらどうなるか。優秀な社員を囲い込んでいたつもりがバンバン辞められてぶら下がり社員ばかりの会社になる危険性もとても高くなるということも示唆している。

社員に対して自社で心地よくやりがいをもって働いてもらって、その社員が生み出すアウトプットを果実として会社がありがたく刈り取れるような関係を築く努力を会社側もより一層しなければならないということだ。やらされ仕事よりも、前向きにやる気をもってやってもらった仕事が、たとえ同じ仕事だったとしても結果は全く変わってくる。

そんな日本の雇用の在り方について、今までぼくの会社の課題だと思っていたことが多くの会社でも課題であることを確認できたのは良いことだったし、改めて長期的な課題として考えなければならないなと感じた日だった。

Keiky.

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