文章がわかりにくい原因は、「文章力が足りないから」ではない
ありがたいことに「文章がわかりやすい」と言っていただくことが多いです。
でも、語彙力や表現力が優れているわけではありません。
さらに暴露すると、小学校時代の読書感想文は大っ嫌い。
大学受験のときは、国語だけ偏差値が50台。
第一志望に落ちたのは、間違いなく国語力の乏しさのせいです。
まったく同じ文章でも、状況によっては伝わらない
国語力が低くてもわかりやすい文章を書ける理由は、「書き手や話題について、読み手がどれくらい知っているか」を意識しているからだと思います。
会話に置き換えて考えてみましょう。
たとえば自分が明日、結婚式に出席するとします。
一緒に出席する友人に対してなら、「明日、何着て行ったらいいと思う?」だけで話が通じます。
翌日に結婚式があること、開催場所、誰の式なのか。
こうした情報がすでに共有されているからです。
ワンピースがいい、和服はどうかなど有益なアドバイスがもらえるでしょう。
一方、翌日に結婚式があることをまったく知らない友人に「明日、何着て行ったらいいと思う?」と聞いたら、「知らんがな」的なリアクションをされること間違いなし。
着る服すら決められないヤバい奴認定される可能性すらあります。
同じ言葉なのに、相手への伝わり方、自分が享受できるメリットがまったく違います。
結婚式があると知らない友人に相談するなら、「明日、会社の同僚の結婚式があるの。レストランウエディングって初めてなんだけど、何着て行ったらいいと思う? ホテルの結婚式しか出たことなくって。上司も来るし、服装悩んでいるんだよね」など、話題に対する補足説明が必要です。
「明日、何着て行ったらいいと思う?」は、日本語としてちゃんと通じます。
でも伝える相手や状況を間違えると「何言っているの?」と思われる。
つまり、「わからない」と思われる。
文章がわかりにくい原因の大半は、相手に対して言葉のチューニングをしていないことにあると私は考えています。
「相手目線で書け」って、どういうこと?
では、言葉のチューニングをどうすればいいか。
よく言われるのが「相手目線で考えて書く」です。
確かのその通り。
大正解です。
文句なし。
お見事。
でも「それができないから苦労してるんじゃん!」と思う方も少なくないはず。
そんな方におすすめの方法が、クレーマー気質の人が読むことを想像しながら書くことです。
私の相手に合わせて言葉を選ぶスキルは、実はコールセンター勤務で身につけたもの。
マニュアル通りに話していると、「全然わからない! もっとちゃんと説明して!」とか「そんなの知ってるよ。だからどうすればいいの?」などと言われ、嫌な気分になることもありました。
だから私はお客様の話しぶりや顧客情報の画面を見て、「初めてで心配そうだから、不明点を確認しながらゆっくり進めよう」「急いでいるのかな。ちょっと巻きで話そう。商品の案内は省略」「フレンドリーな方だから、マニュアル通りの敬語だと不快に感じるかも。ちょっとくだけた感じで話そう」などと対応を変え、ゴタゴタ言われることを予防していました。
つまり、「お客様のため!」ではなく、「文句言われたらめんどくさい」という、自分勝手な気持ちが原点です。
ほめられた態度ではありませんが、クレーマー気質の人が読むことを想像しながら書くと、「わかりにくいって言われそうだから、これも載せておこう」「この表現はやめておこう」など、自分の文章に自分でツッコミが入れられるようになります。
おためしあれ。
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