D2CからD2H(Direct to Home)へ
Covid-19で様々な消費変化が顕在化しているが、最近急成長のECやD2C (Direct to Consumer)も、場や時間市場変化の観点から、”D2H”(Direct to Home)と捉え直す事にしている。
テレワークなどで人々の在宅時間が圧倒的に増えて、家時間・空間が重要になる流れは、開疎化よりも明確な中長期トレンドであり、製品サービス・接点開発も含めて、ブランドが家の中にいかにアクセスし、居場所を見つけるかは多くの業界の課題として捉えるべきだ。
今までと本質的に違うのは、外でしか出来なかったことが外出の制約で家時間にシフトしていること。”家中イノベーション”が急加速しているのだ。
在宅仕事や余暇時間に入り込んだサービス(例: Zoom、NetflixやSpotify)が、家時間消費で大幅成長したのはもちろん、家着、家肌ケア、家スポーツ、家学習、家医療、家食、家カフェ、家飲み、家温泉、家旅行、家ライブ、家農など様々な市場が再定義され始めている。
最近の個人的な買い物では、グラスサウンドスピーカーなども、家時間市場の拡大で存在感が大きく高まったものですね。
SPAでもユニクロが売上減でニトリが大幅売上増なのも、後者が「地域×家」市場の掛け算で積極浸透に成功したことが大きい。
飲食店もテイクアウト・デリバリー(Uber Eatsの劇的躍進)の他、家市場にダイレクトにアクセスできる業態開発は面白い。スタバですら店舗を大量に閉め始めているが、移動式店舗・屋台や自宅サーブ・キッチンサービスなどのニアバイ・プレイス/インハウス市場もある。この辺すでにネスレなどは勝ち組だが。
Airbnbなどのシェアリングサービスも、旅行先のホテル代替市場ではなく、「居場所としての家」市場の代替需要を広げるチャンスにシフトし始めている。
クルマは従来主に外の空間に属するプロダクトだったが、守られた家族の滞在・移動空間として、家の時空間の延長に改めて位置付け直されるかも知れない(キャンピングカーの話ではなく)。
メディアはどうだろう。テレビやスマホはもちろん、家時間拡大でタブレットは接触時間が増え、オンライン学習や閲読メディアなど家市場で重要性が高まっている。
トラディショナルではポスティングやラジオなども、家時間・空間浸透のまたとないチャンスを、戦略的に開拓できるだろうか?
今いくつかの企業で、After Covid-19におけるD2Hの市場再定義で、ビジネス機会の検討をしているところだが、意外に面白いのは、家に製造やサービスプロセス自体を持ち込む、新しい「サービス家電」型モデルかもしれない。