トルナトーレ監督が作った 新型コロナワクチン推進キャンペーン動画
賛否両論のイタリア政府コロナワクチン·キャンペーン動画です。監督は「ニュー·シネマ·パラダイス」のジュゼッペ·トルナトーレ。4連作になるそうで、第一弾がこの作品です。
高齢者施設と思われる場所の、ビニールシートで仕切られた面会室で抱き合う孫(?)と祖母。
祖母「もう会えないと思ってたわ」
孫「元気そうね」
祖母「なんとかね。で、あんた、どうするの?」
孫「まだわからない。疑問がいっぱいで」
祖母「疑問をもつことは大事よ。また会える?」
孫「もちろん」
そう言って去っていく孫に、マスクを外した祖母が言います。
「自分を大事にね」
そうして一陣の風がビニールシートを取り除き、幸せそうなおばあさんの顔。
最後に「ワクチンでイタリアは生まれかわる」のコピー。お花マークは、イタリアのワクチンキャンペーンのシンボルです。
Youtubeでの評価は、圧倒的に否定的。フェイスブックで見かけるコメントも、「不安になる」「これをみてワクチンを打とうと思わない」「なんの動画かわからなかった」と否定的なものが多いです。
イタリアではワクチン接種が始まっていますが、どれくらいの人がワクチンを打とうと思っているか、と言うと、なかなか微妙。癌研究で有名なウンベルト·ヴェロネージ財団の公式サイトの12月14日の記事によれば、「ワクチンを打つつもり」というイタリア人は57%なのだそうです。目標とされているのは75%以上なので、かなり低いです。残り43%は、「うちたくない」「信用できない」。このうち、「ワクチン反対」という否定派は16%、「あんまりうちたくない」と躊躇派は27%とあります。
興味深い分析は、ワクチンに懐疑的なのは女性と40歳以下の若者層が多く、「絶対うつ」という人は60歳以上に多く、この年代の75%をしめている、とあります。Youtubeやフェイスブックの意見に否定的なものが多いというのは、こういうツールを利用しているのは若い世代が多い、というのも関係しているのかもしれません。
コロナにかかると重症化する、死ぬかもしれない、というリスクを感じている世代の方がワクチン接種に積極的、というのは、私個人的には、至極当然であると考えます。インフルエンザのワクチンと同じではないでしょうか。私の両親も毎年うってますが、私はうってません。それは、高齢の彼らの方が重症化するリスクが高い、とシンプルに考えているからです。
この財団のサイトでは、ワクチンに対する一問一答形式のかなり詳しいページも見つけることができます。
例えば、「短期間で作られたワクチンは信用できるのか?」というよくある質問には、「従来のワクチン開発の10倍の数の人々が治験に参加してくれたので、開発が早く進んだ。」「開発における必要なプロセスが省略されたわけではない。」「開発期間が短縮されたのは、これまでもすでに研究が進んでいたこと、人的理由(治験者の多さ)と資金投入、承認機関が優先して作業を行なったことが理由」と答えています。
また、イタリアのIstituto superiore della sanità(高等保健研究所)(私の訳です。日本領事館からの在伊邦人向けメールでは、社会保障研究所と訳されていました)のワクチンに関する一問一答ページには、「ワクチンをうったからと言って感染力がなくなる確証は今のところない」「免疫は数ヶ月続くが、1年以上もつかどうかを判断をするには、これからの監察が必要」などとはっきりと書かれています。
今のところワクチン接種はイタリアでは義務付けされていないので、これらを見てどう判断するかは、個人次第ですね。
なお、上のアンケートの数字は12月初旬の数字ということで、最近は「ワクチンうちます」という人が増加しているとニュースでチラリと聞きました。が、私の周りでは、意見はまだ二分しています。