イタリア政界、荒れております。

2月2日に行われた、イタリアのマッタレッラ大統領の記者会見の様子です。

1月26日にコンテ元首相が辞任してから、すったもんだが続いてたイタリア政界。政党間での折り合いがつかず、与党再編はかないませんでした。これにて、日本でも評判がよかったというコンテ元首相の第三次政権の可能性も完全になくなりました。

複数政党が常に小競り合いを続けているイタリアの国会を通さず、緊急事態宣言を延長しつつ内閣主導で物事を進めてきた手法を「独裁者」と批判する意見があります。賛否両論、イタリア人の彼に対する評価は色々でしょう。あくまで私の個人的意見を書きますと、27年間イタリアに住んでいて、初めて国のために働いてる政治家を見た気がしました。

さて、この会見の内容を下に簡単にまとめました。(間違いがあれば、ご教示くださいませ!)

・コンテ前政権をささえた与党再編はならなかった。
・残された道は二つ。一つは、この緊急事態に対応できる新政権を発足させること。もう一つは総選挙の前倒しである。
・選挙は民主主義を体現するものであるが、イタリアにとって運命の分かれ道ともいえるこの時期に起こるであろう長期にわたる選挙運動期間や、その間の政府の機能縮小を考慮しないわけにはいかない。
・ウイルスとの戦いが続く中、政府には万全の機能が求められる。
・ワクチン接種については、国と州との綿密な協力が必要である。
・コロナ禍で禁止されていた解雇が、3月末から可能となる。緊急の社会対策を取る必要があるが、選挙運動をしていては政府の機能は縮小せざるをえない。
・4月中にEU経済資金に関する最終計画書を示す必要がある。それにはまず計画書をEU委員会とイタリア政府間で検討する。それに2ヶ月かかる。その後、EU委員会の承認を得るのに1ヶ月かかる。そして、そうして得た資金を失わないためには、その後すぐに資金を活用していく必要がある。政府の機能が縮小されることは許されない。
・議会を解散してから選挙が行われるまで、少なくとも60日かかる。政権が発足して完全に機能し始めるまで、2013年には四ヶ月かかり、2018年には五ヶ月かかった。
・変異株の問題も抱える進行中のパンデミックの最中、選挙運動にともなって盛んに展開されるであろう各集会を必要とされるソーシャルディスタンスをとりながら行うことは不可能である。
・任期切れなどによる選挙を余儀なくされた他国では、重大な感染拡大が認められた。
・よって、政治的色合いをもたない新政府形成の任務を早急に出すものとする。

つまり、議員では決めれなかったので、大統領が適任と思われる人物を選び、臨時政権形成の任務を与える、ということになりました。大統領一任。なんという責任の重さ。
この記者会見後しばらくして、マリオ・ドラーギ氏に大統領府への招聘があったことが発表されました。イタリア銀行総裁を歴任後、2019年まで欧州中央銀行総裁だった経済学者です。その名はずっと噂になっていましたが、火中の栗を拾う任務だから、ご本人はあまり嬉しくないだろうなあ。はたして任務を受けてくれるのかしら?

「ダメだと思う時も、イタリアはいつもなんとかなってきたんだよ。だからやけになっちゃいけないよ。」と夫。そうだといいけれど。

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