自分へのご褒美
以前、父の作品がある会館で展示された時、知った画家の名前。
私と同じ名前だったことと、女性であったこと、そして何よりとても素敵な絵を描かれること。その3点でとても惹かれた方だった。
私の名前はよく男性に間違われる。
主人と並行して名前を連ねていたら、
「いえ、奥さんのお名前をお願いします。」
と言われる。
「え?私の名前ですが…」
「失礼いたしました。」
よくやった、そんなやり取り。最近は色んな名前が多いため、少しずつその機会は少なくなってきたけど、でもやはり、まだ、たまに。
小学生の時からしていた剣道では、試合の度に私の名前は男子のトーナメント戦で見かけたものだった。学年が上がり、名が知られてくるとそんなこともなくなっていったけれど。
嫌いではない。よく間違われるけど。風変わりな自分には合っていると思うし、とっても気に入っている。ぜひ名前で呼んで欲しいと思う。
そんな私の名前と同じ名前の女性が、こんな素敵な絵を描いている!知りたい!どんな方なのか。私の指は彼女の名前をなぞる。
みつけた。
興奮冷めやらず、DMを送ってしまった。そしたらなんと、その日のうちに返事が返ってきて、しかも出身地は私の今住んでいるこの地であること。しかも、いま住んでいるのは、私の出身地であることを知った。とても丁寧な方で、それだけでも魅了された。
それから彼女のインスタを通して個展の存在を知り、これまでに3度見に行った。1年間に何度も行われる展示会。かなり作品数のある方であることが分かる。
最初に見つけた作品はアクリル画だった。
海を見ている女の子の絵。
これは後に娘さんだということがわかった。
色んなモノが彼女のモデルとなっていることを知った。動物、植物、女の子。手法もアクリル画、水彩画、テンペラ画、ペン画、油絵、デッサン、銅版画、エッチング、モノタイプと様々。しかも、作品を布に転写して、光にかざしたりして。
本当に絵で生活を楽しんでいる方だった。
お家の様子も素敵で!白を基調とした壁に彼女の作品の数々。すぐにでも作品作りに取り掛かれそうな材料の置かれたスペース。庭に隣接していて、光が満ちている。雑誌に出てきそうな風景が、私の実家のすぐ近くに広がっているなんて。
もう、完全な彼女のファンである。
何より魅力なのは、彼女の繊細な線。
専門家でも感心するそうだ。彼女の線の細さとその表現力にはため息が出る。
あと1つ気に入っているのは、彼女のテンペラ画によく金色を使っているのだが、全く派手さを感じないところ。中世の絵画に見られる金色は、これでもか!という煌びやかさを感じるけど、彼女の金は絵によく馴染んでいる。これだけ自然に金を使っている方は、余程の感性の方だと思う。
そんな彼女の個展を観に、昨日行ってきた。
家から50km離れた場所で行われているため、やっとの休暇に行けるか、自分の体がもつのか迷ったけれど、行かなかったら後悔するかどうか、と体の疲れを天秤にかけた。
行かなかったら絶対後悔する…
それなら行かなければ!
今度は彼女の作品を買いたい。そう思って、少ないけど予算の1万円を手にして。
可愛らしい。彼女らしい。
中に入るとコーヒーのいい香りと一緒に彼女の作品を満喫。
その建物は、もともとoririさんという方の木の作品を展示する場所だそうで、その時々で色んな方の作品を展示するみたいだった。
小さな場所で、作者のカワタケイさんと、コーヒー屋の店主と、ケイさんの作品を見に来たお客さんと。oririさんの心地のいい椅子に腰掛けて、ケイさんの作品に囲まれて、創作に纏わる話しを聞けた、とても楽しい時間を過ごした。
それだけでもう胸いっぱいで、お昼を食べていないのも忘れるくらい、お腹までいっぱいになって。
そして、1つの作品を頂いて帰った。
もう飾るところは決めている。リビングに堂々と置いているピアノの上。ここが1番存在感がある。
また額が可愛い。
この冬新しい洋服も買わなくていい。キッチン用品も、美容品もいつものでいい。特別何を買わなくてもいい。これが1番欲しかったから。でも、もちょっと言うなら、もっと素敵なエッチングを見たから、いつか欲しい。いつか飾る!それまで、また頑張ります!
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