光る君へ 道綱母 『蜻蛉日記』うつろひたる菊
大河ドラマ「 光る君へ 」
財前直見 さんが演じる
藤原寧子(ふじわらのやすこ)は
『蜻蛉日記 (かげろうにっき)』の著者
藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)ですね。
百人一首では
右大将道綱母(うだいしょうみちつなのはは)です。
なげきつつ
ひとりぬるよの
あくるまは
いかにひさしき
ものとかはしる
和歌の意味
なげきながら一人で寝る夜が明けるまでの間がどれだけ長いかご存知?
きっとお分かりではないでしょうね。
『蜻蛉日記』には
夫・兼家が3日続けて訪ねて来ないことがあり、怪しいと思っていたら、他の女の元へ行ったことがわかったこと。
兼家が明け方に訪ねてきたけれど、気に食わないと戸を開けさせないでいたら、兼家がまた例の女の家へ行ってしまったこと。
その翌朝早くに「このままにしてはおけない」とこの和歌を書いてうつろひたる菊(色褪せた菊)に添えて送ったことが記されています。
和歌を受け取った夫・藤原兼家(ふじわらのかねいえ)はこう返しました。
げにやげに
ふゆのよならぬ
まきのとも
おそくあくるは
わびしかりけり
和歌の意味
本当に ほんとうに。
冬の夜はなかなか明けないものだけど、冬の夜ではない真木の戸でも なかなか開けてもらえないのを待つのは辛いことですよ。
「ほんとうだね。でも、私も辛いよ。」と
軽くあしらっていますね。
兼家もまひろも、赤染衛門も読んだ『蜻蛉日記』。
和歌の詠まれた背景を知ると面白いですね。
それにしても
色褪せた菊って。ちょっと怖いです。
あなたの愛が この菊みたいに色褪せてしまったの?
あなたが一番来てくれないから、この菊みたいに私は弱っています。
いろいろな想いが託されていると思うと
味わい深いです。