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2021年9月の記事一覧

ARGUS / WISHBONE ASH

ARGUS / WISHBONE ASH

 一時期70年代のブリティッシュ・ロックを集中的に聞いていた時期がある。ハードロック的なバンドやプログレはもちろん、フォーク・ロックやジャズ・ロック、ありとあらゆるブリティッシュ・ロックを聞いていた。

 そんな中でも印象に残っている1枚がこの『ARGUS』だ。72年発表の3rdアルバムで、邦題は『百眼の巨人アーガス』。なかなかインパクトのあるタイトルだ。しかし、実際は百眼などというおどろおどろし

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DESTROYER / KISS

DESTROYER / KISS

 KISS4枚目のアルバムにして彼らの出世作。3枚目のアルバムまでどちらかと言えばあっけらかんとしたロックンロールバンドだったKISSは、このアルバムで一気にシリアスさを持つハードロックバンドとして認識されるようになった。

 アルバムはすっかりおなじみの名曲"Detroit Rock City"で幕を開ける。ハードロックに名リフは数多いが、これだけシンプルなのにかっこいい曲も珍しいだろう。

 

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レコード・コレクターズのネタは繰り返す

レコード・コレクターズのネタは繰り返す

 雑誌『レコード・コレクターズ』は、同じネタを繰り返し特集する雑誌だ。古いロック、特にハードロックやプログレについて度々掲載されるのでときどき買う。

 何十年も代わり映えしない感じの『レコード・コレクターズ』だが、そんな感じなので、ディスクユニオンとかに行くと古本でいっぱい並んでいる。雑誌の背中に特集されているバンド名が書かれているので、それをみて100円とか200円で売られている『レコード・コ

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メタリカをカヴァーしたアルバムがやりすぎだと思う

メタリカをカヴァーしたアルバムがやりすぎだと思う

 今や名実ともに世界一のメタルバンド、いやロックバンドとなったメタリカ。つい先日、彼らの楽曲を様々なアーティストがカヴァーしているアルバムが発売された。

 その名も『METALLICA BLACKLIST』。そう、単にメタリカのカヴァーアルバムというだけでなく、メタリカのブラックアルバムこと『METALLICA』の楽曲に絞ってカヴァーしているのだ。

 単一アルバムをテーマにカヴァーなんて、もう

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BLIND TO REALITY / OUTRAGE 全曲レビュー

BLIND TO REALITY / OUTRAGE 全曲レビュー

 アウトレイジ2枚目のアルバム。1stにも増してスラッシュメタルのスタイルを貫いていて、極めてアグレッシブなサウンドが特徴と言える。

 アルバムのオープニングを飾るタイトル曲の1曲目"Blind To Reality"は、わずか5分半の中に多様な展開と凝りに凝ったリフを詰め込み、それでいてスラッシュメタルのパワーを失わない名曲だ。1stアルバムはメタリカに似ているところを感じさせたが、この1曲目

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メタリカのリマスターアルバムの話

メタリカのリマスターアルバムの話

 メタリカの通称ブラック・アルバムが30周年を記念してリマスターで甦った。

 もうすでにアウトレイジの話題のところで書いたように、30年前の僕はそれほどメタリカに興味はなかった。しかし今聞いてみると、メタリカのブラック・アルバムはメタルの新境地を切り拓く先進性がある。ただ単にヘヴィなリフができあがりましたということではなく、バンドの音楽に対するアプローチが多彩な発想からなされていて、それが新たな

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BLACK CLOUDS / OUTRAGE

BLACK CLOUDS / OUTRAGE

 さて、そんなわけでアウトレイジの昔のアルバムを聴いている。まずは1stフルレングスの『BLACK CLOUDS』だ。

 アルバムは正統派疾走スラッシュメタルの"Curtain of History"で幕を開ける。ザクザクとしたギターサウンドも頼もしく、ジェイムズ・ヘットフィールドを念頭に置いたかのようなヴォーカルもクールだ。

 いや、確かにこれを和製メタリカと言ってしまうのはまったくもって正

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OUTRAGEのアルバムを聞きたい

OUTRAGEのアルバムを聞きたい

 僕がメタルを聞き出したのが1989年〜1990年頃。L.A.メタルのバカ騒ぎも去り、MTVでメタルブームの残滓のようなPVがちらほらと流れている。そんな時代であった。

 やがて時代はニルヴァーナの『NEVERMIND』やメタリカの『METALLICA』といったアルバムに牽引され、グランジ、ヘヴィネス、グルーヴといったキーワードが支配するダークな音楽観が支配的になっていく。

 そんな中で僕はア

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PORTALS / TESSERACT

PORTALS / TESSERACT

 TESSERACTは英国ミルトンキーンズ出身のプログレメタルバンド。ギタリストのアクル・カーニーを中心に2003年から活動を続けているバンドだ。

 今作は3年ぶり5枚目のスタジオアルバムとなる。1曲めから15分を超える大作で、一見さんを寄せ付けない本物のプログレっぷりが頼もしい。

 ダニエル・トンプキンスの浮遊感たっぷりのヴォーカルで幕を開け、幻想的かつ神秘的なヴォーカルメロディとアンビエン

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OUTRAGEの『RE:prise〜The Final Day 30th Anniversary』が楽しみな話

OUTRAGEの『RE:prise〜The Final Day 30th Anniversary』が楽しみな話

 OUTRAGEの名盤『The Final Day』。このアルバムが今年で30周年を迎える。

 もう各種メディアでも情報が流れているが、このアルバムの30周年を記念して『RE:prise〜The Final Day 30th Anniversary』という記念アルバムがリリースされる。

 CD2枚+DVD+ブックレットという豪華な内容の商品だが、CD1枚目の『The Final Day Rem

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METAL HAMMERを再び購読し始めた話

METAL HAMMERを再び購読し始めた話

 少し前に、1年間の予定で『METAL HAMMER』の電子書籍を購読しているのが終わらないという話を書いた。

 結論から言うと、その後2ヶ月ほどで定期購読は終わったようだ。余分な支払いも発生していない。一安心だ。

 しかし、定期購読をやめてみると日々のメタル要素がなんか足りないような気がしてくる。実は今年から『BURRN!』誌の定期購読(こっちは紙の雑誌)なんてものも始めてみたりしているのだ

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戦術 / IRON MAIDEN

戦術 / IRON MAIDEN

 アイアンメイデンのニューアルバムが満を持して登場。タイトルの『戦術』も日本人の我々には印象的だ。

 昨年、アイアンメイデンのライブチケットが抽選販売に当選して、その日を待ち焦がれていた。しかし、残念ながら来日は中止となり、アイアンメイデンを間近で見る機会は夢となった。

 そのアイアンメイデンが、どうやら2019年頃には完成させていたというニューアルバムがようやく発売になった。前作からのインタ

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ATBPO - And The Band Played On - / NIGHT RANGER

ATBPO - And The Band Played On - / NIGHT RANGER

 ナイト・レンジャーのニューアルバムが思いの外よかった。しばらく繰り返し聞いている。

 前作から4年ぶりということで、これぐらいベテランバンドになるとアルバムリリースの間隔も空きがちになるのが常ではあるが、キャリアの割にはいいペースで新譜を届けてくれているのがナイト・レンジャーというバンドだ。

 特に前作『DON'T LET UP』は、突如脱退したギターのジョエル・ホークストラ(WHITESN

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