【映画】グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
私、なんと……一作目、未見です!!
でも前作は2000年と、観た人も忘れてるぐらい以前の作品なのでそこはあまり気にせず、せっかくなのでIMAXで観てみることにしました。
ちなみにIMAX制作ではない映画なので本当はドルビーシネマの劇場で観られるといいんですけど、近くに劇場がないので残念です。
それと今作、パンフレットが作られていないので情報確認がしづらくて不満です!!
こんな大作なのに。
『グラディエーター』、去年ぐらいに配信で観ようと思って再生開始したんですけど、5分ぐらい観たところで時間がないって気づいて停止して、そのままという状態です。
リドリー・スコットの史劇系ですと、昨年の『ナポレオン』は劇場で鑑賞しました。
配信で『最後の決闘裁判』『エクソダス:神と王』(史劇というにはファンタジーが強いですが)も観ています。
その中では『最後の決闘裁判』が圧倒的に面白かったですねー。
黒澤明『羅生門』形式の脚本で中世の性的抑圧をありありと描き、暴力描写も凄惨でスコットの最初の長編映画『デュエリスト/決闘者』との関連が最も強い映画でした。
『ナポレオン』の主人公の変人ぶりや『エクソダス:神と王』における神の傍若無人ぶりも強烈でした。
それらに対して『グラディエーターII』はきわめてティピカル、どストレートな貴種流離譚、かつ権力をめぐる謀略の物語で、物語上の特徴があまり感じられませんでした。
デンゼル・ワシントンが、奴隷ビジネスでのし上がる食えない男を見事に演じており、彼がキャラクター的には見どころですかね。
ゲタとカラカラという兄弟の皇帝も、『時計じかけのオレンジ』のアレックスをダメにしたような感じで魅力ありました(アレックス役のマルコム・マクダウェルはカリギュラ演ってましたね……)。
あと、ビル・マーレイかと思った元老院議員のひとりもちょっと面白かったですね(ビル・マーレイじゃなくてティム・マッキナリーという俳優でした)。
それ以外は主役含め、普通といってはなんですが、しっかり仕事してるとは思うものの、強い印象というほどではなかったかも。
ペドロ・パスカルは相変わらずカッコ良かったですが……
ファーストシーンはローマ軍による上陸戦で、迎えうつヌミディアは海岸線に砦を築いているので『プライベートライアン』+『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの味わいで、スゴいアクションを堪能できます。
その後もこの映画では派手なアクションシーンが魅力で、とりわけコロシアムで奴隷に獣を放って戦わせるシーンがいくつも出てきてこれが実に面白い。
最初にヒヒで、毛を剃られたのか丸裸の個体もいてエイリアンのような不気味な姿で人間に襲いかかってくるのは、実に新鮮な映像でした。
次がサイ。
『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』かと思わせます。
予告でも使われていて本作のスゴさを印象づけるのが、海戦を再現するといってコロシアムに海水を張ってサメを泳がせ、その上で船に乗った剣闘士が戦う場面でした。
戦って海に落ちればサメに食われるわけで、世界のサメ映画ファンを狂喜させたと思われますが、私は『ジュラシック・ワールド』のモササウルスの給餌ショーを思い出しました。
なぜなのかわかりませんが、水モノのショーって魅力ですよね。
たっぷりと水をたたえた水槽は、映画のような、目で見ることができる異世界だからなのかも。
一方で、このスペクタクルを楽しむことは、残酷なショーを楽しむローマ市民と同じでもあって、それを考えることに一抹の批評性があります(が、批評性のない描き方と区別する方法がないような気もするので、監督の意図にそれがなくてもおかしくはありません)。
そんなコロシアムにどうやって水を張ったのか、翌日にはすっかり乾いているのを見ていかにもフィクションだなとは思ったのですが、ああいうものが実際にあったことはあったんですね!
こうしたアクションとスペクタクルがとにかく面白くて、監督の年齢を考えると驚異的なものがあります。
一方で、上にも述べた通り、物語は普通という印象なので、ドラマシーンでさほど興味が惹かれず眠気を誘われました。
前作を観た人だと、それとの繋がりでより楽しめるようになっているのだろうとは思います。
そうでなかったとしても、劇場で観て損がないのも確かではあります。