『ささやく恋人、りきむレポーター』~読書感想文#10
面白い本を見つけました。神戸大学教授の定延利之先生が書いた、『ささやく恋人、りきむレポーター』です。
これは、”文法”の範疇からは外れてしまいそうな、言い淀みやつっかえなどについて、とてもまじめに考察している本です。
例えば、あなたがお母さんから映画に誘われたとしましょう。
こんなとき、
などと答えることは、まずないはずで、大体は
というように、”意味のない言葉のほうが多いんじゃないか”、と思われるような会話になりがちです。
でも、本当にそれって”意味ない”の?
ということを考えているのが本書です。
「えー」と「さー」のニュアンスの違い。
「はいはいはい」というときの独特の節回し。
通信速度がどれほど速くなり、即時にメールが受け取れるようになっても、LINEの必要性は薄まらないでしょう。それは、単に伝わる速さの問題だけではなく、スタンプで表情が付けられるからというのも一つの理由でしょう。
メール(特にビジネスメール)では、絵文字がつけづらく、内容によってはメールを送った後に電話をして事務的にならないように配慮する必要があります。
では、電話がなぜ事務的にならない配慮として使えるのかというと、お母さんに聞かれて予定を確認するときのように、無駄な言葉があったり、言い淀んだり、アクセントやイントネーションが付けられたりするからです。
それらは、無駄なように見えて実は無駄ではなく、それぞれの役割があるというのであれば、それらをはぐくんできた人類もまた素晴らしいものだと自画自賛してよいのではないかと思えるのです。
いや、こんな壮大な話が書かれているわけではないのですが……
まあ、面白いので、よかったら読んでみてください。
では、また。
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世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。