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名は体を表す ~アサクサゲンキ~

こんにちは!栗東の青木です😊
2025年が始まり、早1ヶ月ちょっとが過ぎましたね。みなさま体調を崩されていませんでしょうか。
テレビから聞こえてきた「最強で最長の寒波」という新しい寒波フレーズ。その影響で土曜日の京都開催は中止、起床してカーテンを開けると栗東もうっすら雪景色でした。
お世話になっている助手さんに「今週は特に寒いですね。」と言うと、「さすがに-4℃は凍るかと思ったわ~。0度なんて全然マシに思える笑」と言っていました。
冬の寒さにも負けず(負けていられないのでしょうが)、毎日馬たちのお世話をしたり調教をつけたり、厩舎の方々は本当にすごいなと痛感します。
また、真っ白だった京都の馬場が整備員の方々のおかげでその日のうちに緑に戻っている光景をXで見て、競馬を楽しめることが当たり前ではないんだなと改めて感じました。
競馬を支えている方々に尊敬と感謝の気持ちを忘れず、今年も楽しんでいきたいと思います。

そんなこんなで、2025年も細々とでも記事をつくっていきたいと思いますので、お付き合いいただけますと幸いです。



1月1日、競走馬たちは一斉に歳を重ねます。

「今年でもう10歳かぁ。最年長だったりするのかな。」
美味しそうに人参を食べる愛馬を眺めながら、会話の中でこう仰ったのは橋本真悟調教助手。アサクサゲンキの担当をされています。
「ゲンキちゃんについて記事を書きたいのですが、よろしければ取材させていただけませんか?」とお聞きすると
「ぜひどうぞ。厩舎ももうすぐ解散だし、めったに無い機会ですから。」と快諾していただきました。
というわけで、今回はアサクサゲンキについてお届けします。


アサクサゲンキ(騸、10歳)
🌟2015年4月17日生 鹿毛
🌟父  Stormy Atlantic 母 Amelia
🌟主な勝鞍
・2017年 小倉2歳S ・2021年2022年 小倉サマージャンプ
・2024年 イルミネーションジャンプS

2024/11/30 イルミネーションジャンプS

ゲンキは元気

ー担当されたのはいつ頃からですか?
2歳の時に入厩してからずっとです。
その頃は今よりもやんちゃで、バンバン立ち上がるし馬っ気もひどかったんですよ。
他の厩舎の人たちもそれを知っていたので、なるべく迷惑をかけないように人がいないタイミングを確認してから運動に行くようにしていました。(信号を渡るときみたいに、誰もいないか周囲を確認していたそうです。)
なので、気性的にも血統的にも短距離を使ってました。ストームキャットの血も入っていますし。
ダートかなと思って最初そっちで使ってみたけど、芝のほうが合っていましたね。

ーストロングポイントをひと言でいうと?
これはもう「元気なところ」ですね。
体も丈夫だし。ただ、元気すぎてウィークポイントでもあります。

2021年 小倉サマージャンプ

障害馬、アサクサゲンキ

ーレースを見ていると、飛越の踏み切りが他の馬より手前なのかなと思うのですが。
加矢太(騎手)が言うには飛越がかなり上手いみたいで、前を行く馬に追いつきたくなくても飛ぶ毎に追いついてしまうみたいです。
「じっくり乗ろうとしても上手すぎて追いついちゃうんです。」って言ってました。

ー「飛びが上手い」のは経験が豊富だからでしょうか。
もちろんそれもあると思いますが、ゲンキの場合は障害を練習し始めた時から周りで見ていたジョッキーたちから上手いなって評価されてました。
一番最初の練習をしに行ったとき、北沢さんから「あんな馬見たことない。」って言われたんですよ。
でも何日か練習して慣れてくると、飛ばなくなったんです。それを見て今度は北沢さんが「いるんだよ。慣れてきたら飛ばなくなる馬。」と言っていました。
そのせいで障害試験を2回も落ちてるんです。試験でも飛びが悪くて。
3回目は併せ馬にしてやっと受かりました。

ー障害に向いてるなと思ったところなどありますか。
今だから言えるんですけど、2歳の京王杯の当週に放馬したんですよ。
普通の馬なら厩舎地区を走っていくだけなんですが、ゲンキはなぜかボロボックスを飛び越えたんです。
たぶん火曜日だったと思います。掠ったかなにかで外傷はあったんですけど、歩様は問題なかったので毎晩厩舎に来て腫れた部分を冷やしてましたね。

ー本当に「元気」ですね。体が丈夫な理由ってどこにあるんでしょうか。
なんですかね。脚元にこないっていうのは馬体重もあるかもしれません。500㎏を超えることがないので、負担がかかりにくいのかも。
障害馬としては、飛越が上手いと変なテンションもかからないですからね。ちょうどいい具合に手を抜くこともできるので、自分の仕事が分かっているんでしょうね。

ー熊沢騎手から小牧加騎手に主戦が変わったことで、変化があったりしましたか?
ジョッキーの性格が全く違いますからね。
加矢太の場合は自分の手の内で操作したいタイプ、熊沢さんは馬のやりたいようにやらせるという感じでしたね。
操縦性は今のほうがいいのかもしれないですけど。
でも、今のゲンキがあるのは熊沢さんが3回も試験を受けてくれたからなのは間違いないです。1、2回で諦めることもなくはないですから。

ー坂井TMのXで加矢太騎手が「乗り手の技量がそのまま出る馬」と評していたとあるのですが、担当者としてはどう捉えますか?
加矢太はもともと馬術選手だし、上手く乗っていましたけどね。競馬力がついてきたのかなと思います。
僕が偉そうに言えることじゃないんですけどね。

ー竹柵を食べた話が有名ですが、熊沢さんはなにか仰っていましたか?
「やめろっていうのに食べるんだよ笑」って言ってました笑
熊沢さんはゲンキが何をしてもニコニコしていただけてましたね。

音無厩舎のアサクサゲンキ

ー橋本さん的ベストレースはありますか?
ありすぎて難しいですね笑
加矢太とならやっぱり前走のイルミネーションJSでしょうか。熊沢さんとなら最多勝に並んだ小倉サマーJは思い出に残ってます。石神騎手の全重賞制覇でも勝っていますし。
改めて考えてみるとメモリアル勝利がたくさんあって、なにか縁を持ってるんでしょうね。
なので最後に音無調教師と加矢太で決めてくれたらかっこいいですよね。

ー競馬場で見てほしいポイントはどこでしょうか。
10歳とはいえ、まだまだ若々しくてかっこいい馬体ですかね。
あとはパドックで「止まれ」がかかってから前かきするところもですね笑
調教中にも「ちょっと止まろうか。」と言って止めても、すぐに前かきをし始めるんですよ。
勝った時の口取り撮影でもやるから、なかなか止まらないんですよね。

ー前走のイルミネーションJSは最後外から行ったのは意外でした。
手応えが全然違ったみたいです。バッチリ折り合ったって言ってましたね。
中山はアップダウンが激しいじゃないですか。馬が疲れるコースだって分かってるからか、中山だとあんまり引っかからないらしいんです。

ーファンの多い馬ですよね。
10歳まで安定して走れる馬って、障害馬だとしてもなかなかいないですからね。
3月に厩舎が解散したら行き先はそれぞれ違いますけど、ゲンキの現役生活は続くのでぜひ応援してあげてほしいなと思います。

ー音無厩舎解散まであと少しですが、思うことなどありますか?
担当して7年ですからね。こんなに長くやれることはなかなかありません。
一緒に競馬にいける最後の1回、いつも通り丁寧に仕事をして無事に次の場所に送り出したいなと思います。

いつもはスマホで撮るのですが、この日は一眼で。
20倍くらい可愛く写りました📸

あとがき

音無厩舎はフォトパドックの撮影でお邪魔することの多い厩舎の一つで、建物をバックにして立たせてもらうことが多いのですが、よく馬房からじっとこちらを見ているかわいい馬が気になっていました。
ある時、厩舎の方とお話する機会があったので「今度アサクサゲンキを撮らせていただけませんか。」とお願いし、翌週厩舎に伺って馬房の場所を教えてもらうと、以前から気になっていたその馬こそがアサクサゲンキでした。

Xを見ていただいている方にはご存知の方も多いと思うのですが、思わず「ゲンキちゃん」と呼んでしまうくらい、あまりにもかわいい顔をしているんです。
可愛くて強くて、とても丈夫な体を持つゲンキちゃん。
橋本さんとお話すると、必ずと言っていいほど「元気」という言葉が出てきます。まさに【名は体を表す】馬だと思います。そんな素敵な名前を付けられた馬主さんも素晴らしいですよね。

会うたびに「本当にかわいいですよね。」と言うと、「おっさん超えてじじいだけどね笑」「10歳・騸馬っていう字面は可愛くないけどねぇ。」と橋本さんは仰います。
でも、それを言うときの優しい表情や声のトーンだったり、そう言いながら丁寧に人参を切って食べさせている姿を見ると、2歳の頃からとても大事にされてきたんだろうなと感じます。

2月15日の小倉ジャンプステークスが橋本さんとアサクサゲンキのコンビ最後のレースです。

どうか無事に、橋本さんの元に帰ってきますように。

精一杯応援したいと思います。

橋本さんとアサクサゲンキ✨
「ゲンキは僕のこと好きじゃないみたいなんだよね」と笑っていました

青木慶子(1999/6/21生 2023年入社)

ついこの間まで年末年始を実家でぬくぬく過ごしていたのに、早いことにもう2月。大学生あたりから年々時間の流れが加速しているように感じます。

冬は好きな季節なのですが、冷えからくる腹痛に毎年悩まされます。女性は特に寒さの影響を受けやすいと言いますよね。
しかし、今季取り入れた足首ウォーマーのおかげか、今年は快適に寒さを楽しめています。「首」を温めるのが効果的というのは本当みたいです。

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