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3 はじめてだったシェアハウス

ロバンは悪い人ではない。
何をするにもまずは自分でこっちの都合は二の次だ。
やりたいことをする。キミもやりたいことをすればいい。
これってこっちも勝手ができる。

ロバンは暴力は振るわない。
口は悪いし暴言は確かにある。けれど手が出ないというのはこの国ではとても貴重。
4日にひとり、家庭内暴行で女性がなくなる国。

女の子同士でルームシェアをしていた時、隣の子の彼氏がこれ知ってる? と大きな手のひらから四方に尖った鉄細工を見せてもらったことがある。
「手裏剣じゃん、初めて見たよ」
「カッコいいだろ、ジャポネ(日本の)だぜ」
言うだけ言って彼女の部屋に帰って行った。
宝物を見せる男の子みたいな顔だった。

「あの変なの、前に血がついていたの」
ルームメイトは後から教えてくれた。
何の血か、怖くて聞けなかったと言っていた。

間もなく彼氏と一緒に住むとシェアハウスから出て行ったけれど、あの二人、今も一緒に暮らしているのか。
彼女は元気にしてるだろうか。

どうしてこんなことを思い出したんだろう。
今夜はなんだか感傷的。
はじめてのふたり暮らしの解消で、なんだか動揺しているからかもしれない。
明日新しい街に行く。

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KeiMIT
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