季節をとわず、ホラー名作映画を鑑賞しませんか【洋画編】
季節とジャンルを問わず年中ホラー映画を見ている筆者が、おすすめのホラー映画を紹介します。
邦画はまた紹介します。
※ネタバレには気を付けていますが、ネタバレされたくない方はご注意下さい。
ミッドサマー
村の風習にまつわるホラーとなっている。
風習が異様で気持ち悪いのは確かだ。
村の人々は歓迎しており、風習に参加させてもらえるということがこの話のネックだ。
どういう風習で何が起こるのか気になる方は是非観てみて欲しい。
【ここがすごい!】
他のホラー映画とは決定的に違うことがある。
幽霊や悪魔が出てくることはないのだが、ホラー映画に有りがちな靄のかかった薄暗い雰囲気がない。
さらに、暗いシーンや夜のシーンは殆どなく、妙に明るくて鮮明な色、目も眩むくらいの陽の当たる昼間のシーンが多い。
ホラー映画を観ていると、暗いシーンで不安に駆り立てられ、明るい場所のシーンでホッとするという物が多いがその真逆をいっている。その異様さがさらに怖さを掻き立てる。
笑えるほどの衝撃的なグロいシーンやセンシティブなシーンなどがあるので、家族や恋人と見るのはオススメしない。
伏線などがあり、裏テーマなどかなり練られた作品となっている。ネットで解説を書いている方がいるので詳しくはそちらを読んでもらえると、より楽しめると思う。
パール(pearl)
夢見る少女のサイコホラー、シリアルキラーの話なのだが、怖さではなく、どこか物悲しさを感じる。
『ジョーカー』や『ザリガニの鳴くところ』というミステリー映画でも少し似たところがあるのだが、彼らの裏には満たされないものがあるのだ。
このパールも抑圧された生活で彼女の力ではどうしようもない環境や壁があり、この世の中に憂いて、自身の理想とのギャップにもがき苦しんでいる。
少しの情状酌量の余地がある気がしてくる。
ホラー映画としては、気持ち悪いシーンはあるものの怖いシーンはあまりない。
鬱屈とした感じや古めかしい映像の美しさと軽快さ、シリアルキラーが観たい人はどうぞ。
へレディタリー継承
とにかく気持ち悪い、の一言。
幽霊がバンバン出てくるようなホラーでは無かったが、言いしれぬ薄気味悪さがずーっと続くようだった。
ポルターガイストや地縛霊かというと、もっと違うもの。
そんなに多くないがグロとサイコ、心霊現象、家族の絆や複雑な関係が垣間見れた。
ジワジワと嫌な予感がやってくる。
嫌だ、最悪だ。悪夢のような展開。
主人公のアニーは母親で娘と息子、夫の四人暮らしで、アニーは仕事としてミニチュア模型を作っていた。
そのミニチュア模型が妙にリアルで題材も気味が悪いので、注目してもらいたい。
【一番のみどころ!】
娘の演技が光っていた。
娘がずっと気持ち悪くて、全ての行動に違和感がありゾクゾクした。娘のせいでトラウマシーンができてしまった…。気づけば許してくれと呟いていた。
胸がザワザワする薄気味悪さと、常に何かの伏線なのではないかという演出。
あぁ、なんか嫌だなぁ見たくないというシーンが多い。
唯一救われたのは、夫が常識人だったところだ。
監督はミッドサマーと同じ監督であの時と同じ感覚に陥った。見たくないのに続きが気になるみたいな。
そして日本の映画は、まず現象が起きて、それには必ず理由があり、理由を解明しつつ対策を練り、恐怖から逃げながら最後には除霊したりしなかったりという物が多い。(着信アリ、貞子、残穢、アナザーなど)
しかし作中で解説要素が無いため、見終わった後にいくつか結局分からなかった部分もあった。
詳しく解説をしている方がいるので、解説を見てもらえれば、より理解が深まるだろう。
ミーガン
ミーガンという人形のフォルムの気味悪さ。
人間の無意識に嫌がる顔だ。
綺麗で可愛いように見えて、不気味の谷現象のような人間じゃない違和感。
途中までは少し見え隠れする異様さで、ケイディと仲良く微笑ましい生活だった。
あれ、やっぱり少しおかしいんじゃないかと気づき始めてから、エスカレートしていく行動。
え、そこまでしなくてもよくないか?と人間離れした行動。
待っていましたこの展開の大暴れに、期待通りだった。
チャッキーの『チャイルド・プレイ』や『グレムリン』、『アナベル』の昔ながらの暴走する人形や動物の類に近い。
ただ怖いだけではなく、最後にいい話で終わったので良かった。
【メイキング】
アニマトロニクス(ロボット)やCGは使われているが、実はミーガンは実際に子役が特殊メイクを施して演じていることに驚いた。
映画の予告で見られる気持ちの悪い動きも子役自身が演じているので見どころだ。
IT(イット)
the END前後編
見ないと勿体ない。
間違いなく一番推している。
「スタンド・バイ・ミー」のような青春の爽やかさがあり、キャスティングもよくこんな子役を見つけてきたなと感心する。
2017公開と思えない、懐かしき時代の映像。
これはホラー映画には珍しく、凄く清々しかった。
かといって、完全に青春物かと言うと、ホラー要素も大きい。
いにしえのホラー要素を色々と詰め込んだ映画だ。それぞれの悩みがあった。
恋の悩みや葛藤と家庭についてセンシティブでそれぞれの深い恐怖で、意味不明な怖さに感情が揺さぶられる。
現実か妄想か。
鮮明な実体を持った"それ"はやってくる。
人間誰しもトラウマや嫌なことがある。
それをギュッと凝縮した感じで、どれか一つは視聴している人の心のなかに引っかかるだろう。
不穏な音楽と赤い風船、主人公の弟の黄色いレインコートが印象的だ。
ペニーワイズというクリーチャーの容姿が気持ち悪いのは御愛嬌であって、そこはピックアップされない。
ここでお化け出てきたら嫌だなぁ、ここで振り向いたら嫌だなぁ、ここでアップになったり動き出したら嫌だなぁなど期待通りに網羅している。
是非、前後編どちらも違った面白さがあるので観てほしい。
聖なる鹿殺し
少し見るのを躊躇したのはタイトルの意味不明さとあらすじの面白くなさそうな感じからだった。
結論から言うと、展開の意味不明さ、怖さはあまりなく面白かったとは言えないが、何となく新鮮で衝撃的だったのでオススメしたい。胸糞悪いのが苦手な方は避けたほうが良いだろう。
そもそもの発端で悪いのは主人公なのだが、理解しようとしても到底理解できない理屈をつきつけられ、理不尽な事態に巻き込まれる。青年の異常性。そんなに重罪だったのか…と。
※ここからネタバレ注意⚠️
知りたくない方は次の記事まで飛ばして下さい。
ウェブサイトなどのあらすじでは本筋の部分も語っているところもあるが、子供たちが歩けなくなるというところがミソだ。
超常現象的な、ある日から一人ずつ『手足のしびれ、食事の拒否、目から出血、そして死に至る』
主人公は死ぬことはないが『誰か一人を殺さなければいけない。さもなければ、皆死ぬ』
原因不明の呪い?が進行していくなかで、迫りくるタイムリミットの中、主人公は究極の決断を迫られる。
急にオカルトチックになって、なんだかワクワクしてしまうではないか。
その元凶はマーティンという青年の悪意によるものだったが、なぜそんな事ができるのかは甚だ疑問だが、触れないことにしよう。
家族は皆どこか他人事で人間の愚かな面が見られた。
自分が死ぬかもしれないのに必死の命乞いはしない。だが、選択権のある主人公に対して冷静に媚び始める家族が気持ち悪い。
最後のロシアンルーレットシーンには恐怖を覚えた。
タイトルの意味が最後まで分からずにモヤモヤしていたが解説を読むと、神話になぞらえているらしい。
【最後に…ひとりごと】
どれもいい作品なので是非、見て頂きたい。ここからは完全に著者の独り言になるので、興味のある方か暇な方のみ読んで欲しい。
自分が良いホラー映画だったかと考える時の指針がある。
例えば、超常現象が起きて、その因果関係がそういう家系であったり、土地についているというのであれば、仕方ないと諦めるしかない。
多少の恨みをかっていたり、廃墟に侵入したり、コックリさんをやったり自分がそもそもの自業自得な原因というのも納得できる。
しかし、個人的には理不尽なホラーは嫌いだ。
チャッキーなど誰彼構わず、無差別的に殺したり呪ったりするものはなんだか、胸糞悪い。しかも逆恨みのようなもの。
その人は死ぬべくして死んだのかと。
(チャイルド・プレイの最初の被害者は確か家に来たベビーシッターか親族だったように思う)
意味のない死があっていいと思っていない。
サバイバルホラーはそれを楽しみに観ているので、死ぬのもしょうがないと思えるのだが、その他は納得できない。
つまるところ、腑に落ちないホラーはホラー映画として良作ではないと感じてしまう。