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【小説】鏡越しの君

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小説「鏡越しの君」をまとめています。
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#オリジナル小説

鏡越しの君 #6 ダブルパラレル(完結)

まるで、妻とお義母さんの生活を支えているATMみたいだ。もやもやとした気持ちを抱えたまま、なんとなく妻との距離が離れていった。

家に届いた請求書を見ると、またこんなに出費が増えてる。妻は休日も友達と遊びに出掛けて殆ど家にいない。
貯金もどんどんと減っていき、弁当は作ってくれなくなり、会話が減った。
お小遣いは増えず、弁当はコンビニで出来るだけ節約する。

最近、夜遅く帰ってくるようになったり、触

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鏡越しの君#4 バタフライエフェクト

スマホの目覚まし時計が鳴る。スマホの画面は五月十六日になっていた。
時間は不可逆的だ。

下に降りると、見慣れたエプロン姿が振り向いた。
「おはよう。今日はちゃんと起きてきて珍しいわね。今日は雹かしら」
「母さん。良かった」

じんと鼻の奥が痛くなる。
ほんの数日会っていないだけのはずなのに、懐かしさを感じる。
慌てて欠伸が出た素振りを見せる。

俺が犯してしまった罪の申し訳なさと情けなさ、一瞬で

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鏡越しの君#3 絶望と喪失

ぼんやりとご飯を口に運ぶ。
「お腹空いたな。腹が減ってはなんとやら」矢本は俺の隣に座った。
「今日はハンバーグ定食か。得した気分だな」
「うん」
昨日のことでそれどころではない。
ご飯が喉を通らない。

「なんか元気ないよな」
やっぱり矢本には見透かされている。
だけど、こういう時はいじってこない矢本の優しさに余計に惨めな気分になるから言うのはやめておく。

「俺の唐揚げあげる」
唐揚げ定食の大き

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