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古川愛理が、今ひとりで頑張っているシンガーに伝えたいこと / プロフェッショナル・インタビュー

本記事は、Profession Hubに参画頂いたシンガーソングライター古川 愛理(ふるかわ あいり)さんへのインタビュー記事です。


原体験は文化祭、そして上京

幼い頃から音楽が好きでした。とにかく歌うことが好きな子供だったと記憶しています。

そんな私がステージに立った原体験は、高校3年生の時に文化祭でバンド組んでHYさんの”366日”をカバーさせていただいたことです。

本番で、自分の歌を聴いた友達が泣いてるところをステージの上から見て「音楽の力ってすごいんだな」って全身で感じたんです。

その時の感動をきっかけに「私やっぱり音楽の道に行きたい」って思い始めました。

でも高校受験真っ只中だったので両親にそうは言えず、大学生になって音楽をやろうと岡山理科大学に進学したところ、そこで初めて路上ライブというものに出会ったんです。

ただ私、ギターが弾けなくて。ピアノは弾けたけど流石に持ち運びが大変だからギターを独学で勉強して、路上ライブに出るようになりました。

そんな中、お声をかけてもらってイベントとかライブとか出させていただくようになって、やっていくうちに「本気で東京でやりたいな」と。

で、両親に相談したところ、やっぱり反対されまして。でも「教員免許を取得して、大学を卒業したら好きなことをやっていいよ」と言ってもらえたので、まずは数学と理科の中高の免許を取得しました。

それで、大学卒業と同時に無事上京を果たしたのですが、まずは頼れる人を探さなきゃと思って、オーディションを受けまくったんです。でも、音楽業界には変なオーディションがすごくあって、騙された経験もすごく多くて。

デビューするために100万円払えって言われたりとか、オーディション当日に「この後何々駅集合ね」とかって言われて行ったら、訳の分からないイベントに無理やり出させられたり。他にも本当に、ひどい話が多くて…

今思えば、何にも分かってなかったんです。だからいいように利用されたり、裏切られたことがたくさんありました。

恩師との出会い

で、そんな中、あるイベントで一人の音響スタッフの方に出会いまして。向こうから声をかけてくれたんです。「君だけ他の子とレベルが違ったけど、何であそこにいたの?」って言ってくれて、それがすごく嬉しくて。

その方に「東京に出てはきたけれど、どうしたらいいか分からなくて」っていう相談をしたら、「プロデュースってほどじゃないけど、シンガーソングライターの子を何人か面倒見てるから手伝おうか?」って言ってくれて。

「ぜひお願いしたいです」って答えたら、その方は私とライブハウスの方を繋げてくれたり、良いイベントあるよって紹介してくれたり、すっごく助けてくれて。

そのあたりから作曲も頑張りたいと思って、毎日毎日歌詞やメロをその方に送り続けてたんですけど、律儀に毎回修正が帰ってきたんです。

その方もお忙しいのに、本当に助かりました。それで、私はのめり込むように音楽に没頭するようになりました。

そしたらある日、その方にこう言われたんです。「僕が面倒を見てる子で売れてる子はいないから、どこか他の場所が見つかったらそっちに行くなり、自分で判断してね」って。

衝撃を受けました。これまで散々お世話になったのに、そんなことを言ってくださることに、驚いて。かっこいいなあ、って思ったことをよく覚えています。

芸能の世界の厳しさ

その頃から自分なりに曲も書けるようになってきて、路上ライブを重ねるごとにファンの方が増えて、トントンってうまくいき始めた感覚がありました。

するとある日、とある個人事務所の方から「一度お話を伺いたい」とメッセージを頂いて。話を聞くと「古川さんをマンツーマンで売っていきたい!お給料や家賃は払うので、引っ越してきてほしい!」と言ってもらえたんです。

今までは「お金を払ってください」と言われてきたのが、初めて「払います」と言われて、ここしかないと思って事務所に入りました。その社長のご家族ともご飯をご一緒したりしていたのでとても信用していたのですが、一ヶ月足らずでセクハラを受けて…

事務所をやめて、家もすぐに退去することになりましたが、すぐに家が見つかることもなく、一時期ホームレスみたいな生活もしました。友達の家に転がり込んだり、知人のツテでなんとか社宅みたいなところを貸してもらったり。

自分の中で「東京で芸能で生きていくのは一筋縄ではいかないだろうな」っていうのは覚悟をしてはいたのですが、そこでリアルに闇の側面を体験したんです。「アーティストとして売れたければ体を差し出せ」っていう漫画みたいな修羅場もあって、そういう人たちからなんとか逃げて。

でも、挫けずに路上ライブだけは続けていたんです。「やっぱり歌を歌いたいな」っていう気持ちは常にあって。

すると、幸運にも路上ライブで生活費を稼ぐことができまして。本当にありがたいことに、会社員の方のお給料くらいは稼げたんです。むしろ、それよりも多かった。

変ですよね。ある程度のお金はあるけど家はない、みたいな。笑

でもそんな経験をする中、ちょっとずつ自己肯定感が増していったんです。 路上ライブのセットとちょっとの気概があれば、私はどこでも生きていけるんだな、って。

それまでは「事務所に入らないと…」とか思っていたけど、別にそんなことはないんだな、って思えて。

それからは、変な大人が一切近寄ってこなくなりました。面白いくらい、きっぱりと付き合う人の人種が変わって。結局、自信を持てるかどうかで環境は変わるな、というのが当時の一番の学びでした。

"後輩"から"先輩"になる

それくらいの頃から、若いアーティストの方から相談を受けることも増えて。「音楽を始めたいけどどうしたらいいかわからない」とか「上京してきて路上ライブとかやってるけど、うまくいかない」とか。

その気持ちが痛いほどわかるからこそ、私もできる限り丁寧に答えたりはしているんです。私自身、悪い人に出会ったことも多いけれど、本当にお世話になった方たちもたくさんいらっしゃるので。

「ボイトレを見てほしい」とかっていう技術的な相談から、「この事務所に所属すべきですか?」みたいな、業界の身の振り方の話まで、本当に悩みって多種多様で。

私も全然分からなかったなあ、って懐かしくも思いつつ、音楽の世界の歪さについても思うところがたくさんあって。

で、私がもうちょっと余裕ができたら、そういう音楽の世界で頑張る若い人を助ける場所を作りたいな、ってうっすら考えていた時に、Profession Hubについてお声がけ頂いて。「あ、同じこと考えてた人がいるんだ」って嬉しく思って、すぐOKしました。笑

個人的に、これからは事務所に入るとか入らないとかではなく、自分自身をよく知った上で「こうやっていきたい」っていう意志をもった上で音楽をやれるアーティストさんが増えていくべきなんじゃないかと思っていて。

いわゆる大手さんに入ってプロデュースしてもらうのも素敵だけど、そもそもシンガーソングライターって我が強い人が多いというか。笑

たぶん「売れたい」とかじゃなくて、自分の言葉や想いを伝えたいっていうモチベーションが大きいと思うんです。何より私自身がそうで…そういう気持ちって、やっぱり同じように歌ってる人にしか相談できないよね、って。

それに今思うと、私が上京して一番大変だったのは、とにかく信用のできる仲間探しでした。周りに相談もできないし、何が正しいのかも分からないし、本当に大変だったな…

なので私はこれからは、自分自身のアーティストとしてのキャリアだけでなく、これまで後輩としてお世話になったこの世界に恩を返す、と言うと偉そうですけど、ちょっとは先輩っぽいことをしたいな、って思ってます。

本当に、たくさんの方にお世話になってきて、今でもそうなので。

音楽は「忍耐」

私が若いシンガーの方に伝えるのは、「音楽は忍耐だよ」っていうことです。

今って、良くも悪くも「短くて早い」時代だと思うんです。一夜にして動画がバズったり、曲も頭の五秒だけで耳に残らないと聞いてもらえなかったり。だから、自分の世界が変わるのはほんの一瞬だと、錯覚してしまう。

でも、本質はちょっと違うと思っていて。あくまで「その時が来たらあっという間に広がる」ってだけで、「その時が来るまでの準備をすっ飛ばせる訳ではない」だと思うんです。

「TikTokとかSNSをすごい頑張ってるけど、なかなか伸びないんです」ってよく相談されるんですが、「大丈夫、忍耐だよ」っていつも答えています。

私自身、ある時に注目してもらって人気が出たタイプですが、それまでに実は四年かかりました。それまでは「なんで伸びないんだろう」ってずっと、同じことを悩んで苦しんでいました。

でも今になって思うのは、その下積みがあったからこそ、いざ日の目を浴びた時にしっかり実力が伴っていて、そこから長く生きていけるってことなんです。

逆に、自分自身の実力が伴わないうちに早くバズってしまって、物凄い才能があったのに短命に終わってしまったり、心のバランスを崩してしまう人がたくさんいました。

本人の意志に沿わず表舞台に引っ張り出されて「実際は微妙だった」とかアンチ的なコメントで心を病んでしまったり、大手さんと一緒になったものの方向性が合わず、何も形に残せなくて音楽自体を辞めてしまったり…

そうやって、才能が枯れていってしまうのを何人も見てきました。私はそのことがとても悲しいし、この業界の負の部分だとも思うんです。

私も今でも心と体が追いついてない時はたくさんあるんですけど、ちょっとずつ鍛えられてるなっていう実感はあって。

でもそれには、自分の身の丈にあったペースで並走してくれる仲間が必要で。本当に、心からそう思います。

お金があんまりないよ…というあなたでも大丈夫

「これから音楽を頑張りたい」「歌で生きていきたい」という方には、ぜひProfession Hubを利用してほしいです。

不透明な世界ですから、同じような生き方をしている人にしか打ち明けられない悩みってあると思うんです。なので、もしヘルプを出してくれるなら、少しでも役立てるように全力で頑張ります。

とはいえ、音楽を始めたての子って、正直お金もあんまりないと思うんです。私もそうでしたから…それで運営の方に相談して、特別に初回は3,000円で、時間制限も設けないようにしてもらいました。

運営の方は若干渋い顔をしてましたけど。苦笑

なので、もし困ったことや辛いことがあったら、一人で抱え込まずに連絡をください。もし素敵な歌を歌われる方でしたら、いつかライブにもご招待するので、ぜひ私のファンの方に自分の歌を聴いてもらってください。推し変されても大丈夫です!笑

音楽の世界に飛び込まれる皆様に、エールをお送りします。私も頑張ります。素敵な音楽をたくさん生み出していきましょうね。

歌はパワフルですが、
実際はとても柔らかいお人柄の古川さん。
なんと占星術にも詳しいらしく、
筆者はインタビュー後に恋愛運を占ってもらいました。

古川愛理(ふるかわ あいり) プロフィール

YouTubeにアップされているストリートライブ映像は300万回再生を越え、オリジナル曲はジャンルを問わず、自由な楽曲を生み出す。

岡山理科大学を卒業とともに中学・高校の数学・理科の教員免許も取得しており、学校などでの講演会も行っている。

Profession Hubは現役アーティストやクリエイター、音楽業界の中の人に、一対一で自分の悩みを相談できるサービスです。

古川愛理さんと話したい!という方はこちらからお申し込みください!

↓本インタビューの動画はこちら!


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