【育児】ちいさくて愛しいものたちへ
引っ越しに備えて、息子の持ち物の整理をしている。
できるだけ感情を伴わないようにしているんだけど、息子のものをひとつひとつ手に取ると、当時を思い出してなかなか作業が進まない。
乳児期から入園前までは、何を買うにしてもよく調べて慎重に選んでいたし、私服で過ごす時間も長かったから、息子の物や服すべてに愛着があり思い出がある。
二人目がいればお下がりにするけれど、私は散々悩んだ末、息子一人を育てると決めた。
いつかは思い出のものとお別れしなければならないし、その一歩が今なんだと思う。
離乳食期に買った椅子や、ジュニアシートにもなるチャイルドシートはまだまだ健在。
だけど、抱っこ紐は1年半くらいしか使わなかったし、トイレの補助便座も1年だけだった。
ベビーバスやバウンサー、歩行器、転倒防止クッションにいたってはほんの数ヶ月しか使わなかった。
たったの数ヶ月から1年しか使わなかったものたちに、溢れるほどの思い出と愛しさが詰まっている。
***
子育てのつらさを親に話すと
「今だけだよ」
「あと○年もすれば楽になるよ」
「この時期の悩み事なんて可愛いものだよ」
なんて言われていた。
「その“今”が大変だから相談してるのに」
と思っていたけれど
今ならわかる。
乳児期は、あっという間だ。
授乳とオムツ替えで何度も起こされた夜も、
抱っこ紐の中で泣きわめく息子をあやし続けたスーパーでの買い物も、
後部座席のチャイルドシートに座る息子の安否を気にしながら運転したことも、
自分の食事やトイレでさえ落ち着いてできなかった日々も。
永遠に続くかと思っていたあの頃が、今となっては一瞬のように感じる。
***
この引っ越しで、抱っこ紐と補助便座を手放そうと思う。服は、思い入れのあるものは取っておいて、少しずつお別れをするつもりだ。
新生活が落ち着いたら、自転車を買ってあげようかな。もう5歳。周りには補助輪付きで乗れる子も増えてきた。
自転車を買ったら、もう三輪車に乗る息子は見られなくなる。そんなの『グローイングアップップ』じゃないか。私はたぶん、絶対、泣いてしまう。
子どもの成長は『グローイングアップップ』の繰り返しなのかもしれない。
なかでも、乳幼児期の成長はとくに、親にとって万感胸にせまるものがある。
かけがえのない時間を共にした、ちいさくて愛しいものたちへ「ありがとう」と「さよなら」を告げ、私は今の息子と生きていく。
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